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書けなかったもの
避雷針
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眠り続けて、目覚めなければいいのに。
本気でそう思っている。
今の俺にはおかあさんがいる。おかあさんが俺を守ってくれるんだ。そうでないとおかしい。俺だって、ひいちゃんと同じく、この人の息子なのだから。俺が「おかあさん」と呼んでもおかしくない。俺が正しい。血は繋がってなくとも、書類がそう言っているのだからそう。年齢がそう違わなくたって、この人と俺とは母親と息子の関係性じゃあないか。社会的にそう。……なのに、この人は否定してくる。俺を受け入れてくれない。そっちから来たんじゃあないか。俺と父親しかいないこの家に上がり込んできたのはそっちのほうだ。どんな事情があってこんなことになってんのかは興味ない。ただ、俺のことを子どもだと認めてはくれない、この人がおかしい。俺は間違っていない。悪いのはこの人。
この人はおかしい。父親なんかより俺のほうが優秀だ。みんなが、俺は優秀だって、そう言ってくれる。どうしてこんな父親と再婚しようと思ったんだろう。みんなは俺を褒めてくれる。俺は成績も良くて、人当たりも良くて、いい子なんだ。この人に見る目がないんだと思う。
この人の娘であるひいちゃんは俺を「おにいちゃん」と呼んで慕ってくれる。嬉しい。この人よりもひいちゃんのほうが、人というものを正しく評価してくれている。
ひいちゃんは別の部屋で寝かしつけた。明日の朝まで寝てくれるだろう。
父親の酒には睡眠薬を入れた。もう二度と起きてほしくない。
死んでしまえばいい。
「ねえ、おかあさん」
何度目かな。数えるのもやんなっちゃった。俺は、この人――後妻さんに「おかあさん」と呼びかける。後妻さんはその唇を青ざめさせて「ちょっと、どうしたの?」と俺の父親の身体を揺すっていた。酒を一口飲んだだけでこう、パタリと仰向けに倒れたから、そりゃあ驚くよな。ゆさゆさと揺らすよりは早く水飲ませたほうがいいんじゃん? 医学部じゃあないけどそんぐらいはわかる。無理に水飲ますと窒息すんのかな。それはそれでいいや。じゃぶじゃぶ飲ませよう。バケツいっぱいぶん持ってくりゃあいい?
まあ、こんなことなんて人生の中で滅多に起こらねェイベントだから混乱してんのはわかるよ。
俺がやったんだけど。
「無視すんじゃねェよ」
後妻さんの肩を掴んで――なんて名前だったっけ。俺にとっては後妻さんだからいいか。ひいちゃんのママで、父親にとっての再婚相手、父親の息子である俺から見て、俺のママでもあるのに、俺のおかあさんにはなってくれない。そんな存在――こっちを向かせる。小動物みたいなくりっとしたまあるい目は、ひいちゃんのものと同じ形をしていた。ひいちゃんはおかあさんそっくりだから、順調に成長したらこうなってくれるんだろう。俺がひいちゃんを悪い男から守ってあげるね。
「何?」
まあるい目がきゅっと細くなる。俺が何をしたかも知らないくせに、全部お見通しみたいな視線を向けてくるじゃん。知らないでしょ。俺は気付かれないように準備してきたんだし。分かってんなら、旦那様が倒れる前に酒を飲ませないようにする。もし分かってて止めなかったんなら、俺と二人きりになりたかったってことじゃん。それならお望み通り、息子としてじゃあなくて、男として答えてやらなきゃいけないな。そういうもん。この人にとって俺は息子じゃあないんだから、誰かに咎められはしないさ。
「んぐっ!?」
血色の悪い唇に吸い付くと「ぃやっ!」足が出てきた。いるんだよなこういう女さん。嫌いだよ。蹴ってくる奴。何でもかんでも暴力で解決しようとすんのは知的生物の解決法じゃあないんだよな。
「何すッ!」
ピーキー騒ぎ出しそうだから口を右手で掴んで「ひいちゃんが起きちゃうだろ」と添えてやる。ぐっすり眠ってんのに起こすのは可哀想じゃん。大好きなおにいちゃんが自分の母親からいじめられてんのを見せたいってなら止めねェけど。さっきの蹴り、衝撃的映像でしょ。五歳児には刺激が強すぎるって。家庭内暴力なら父親で間に合ってんだよな。再婚相手からも殴る蹴るされんの、俺?
「……フゥー、フゥー」
「俺が息子なのが嫌だって言うのなら、旦那にしてくんない? そいつより絶対にいいと思うんだけど」
そいつ、と俺が大の字にいびきかいて寝てる父親をあごで指す。まったくどうしてこいつの、こいつのどこがいいのかわかんねェよ。俺のほうがマシじゃん。高卒の雇われ店長だよ? オーナーの匙加減ひとつで仕事を失うような立場のやつより、将来は有望な研究者になるって教授から太鼓判押されているような俺のほうがいいじゃん。未来があるし。別に研究したいもんねェけど。……口塞いだままじゃ答えられねェじゃん。離してやるか。
「わけわかんない……あんた、自分が何してんのかわかってんの?」
震えている。可哀想に。誰がこんなに怯えさせてるんだろ。俺か。
「ははは」
どうやったら好きになってもらえるのかわからない。息子だとしたら、おかあさんから愛してもらえるのは当然の権利であるはずなのに。この人はおかあさんのはずなのに、俺を愛してはくれない。こうやって拒絶するんだ。それならば、他の女さんにするみたいにするしかないじゃん。俺と付き合ってくれた、一時的に彼女になってくれたような人と、してきたようなことをすれば、きっとこの人も俺を好きになってくれる。後妻さんじゃあなくて、俺の彼女になってくれる。きっとそう。そうだ。なんでここまで気付かなかったんだろ。
「いやっ! やめてっ!」
馬乗りになったら抵抗された。
なんで?
なんでなんで?
彼氏と彼女ならこういうことしてもおかしくないでしょ。
「うるさい」
「いっ!」
「うるさい、うるさい、うるさい……!」
何度も床に後頭部を打ち付ける。静かにしてもらわないとひいちゃんが起きちゃうじゃん。ひいちゃんはこんなところ見たくないだろうし。
「やだ……やめて……」
「ははは、ははは」
俺だって、殴りたくて殴ってるわけじゃあない。ほんとほんと。あんまり殴りつけたくないし。嘘じゃあないよ。うるさくしなければひいちゃんも起きない。理解して、黙ってほしい。暴力に頼るなんてアイツと変わらねェし。
「どうすればやめてくれる……?」
甘ったるい声を出してくれる。こんな声も出てくるんだな。俺を認めてくれたみたいで嬉しい。
近所の人からはたまに言われてたんだけど。俺は息子だって認めてもらえてなかったからおかあさんかわいいねって言われても知らんぷりしてたな。悪いことしちゃった。
「俺に何されると思ってんの?」
何度もしてきたでしょ。ひいちゃんがその証拠じゃん。ひいちゃんは前の旦那さんとセックスした結果として生まれてきたんだってことぐらい、俺にはわかるよ。その前にも何度もしてるんでしょ。今更一回ぐらい増えたところで誤差だよ誤差。
「……私と、していいと思ってんの?」
ここに来てそう言う? 言うのか。そうか。おもしれェなァ!
この状況を生み出したのが誰のせいなのかわかってない? わかってないからそんなこと言えるんでしょ。びっくりしちゃうな。わかっていてくれよ。今、このタイミングで、俺のこと息子だって言い出すんだ。へぇーーーーそうなんだーーーーーー? 都合よすぎじゃない?
じゃあさ。
逆にだよ。
「おかあさんだって言うのなら、おっぱい飲ませてもらえるよね?」
まあ、何も出ないってのはわかってんだけど。
嫌そうな表情を浮かべてから、観念したように乳房をさらけ出した。この人のを生で見るのは初めてじゃあない。まじまじと見るのは今回が初めてだけども、風呂上がりとか着替えとか、一瞬だけ見ることはあった。好きにしていいんだ。
吸い付いてほしそうに勃っている乳首の期待にこたえれば「あんッ……!」と艶かしい声が頭上から聞こえてくる。子どもに吸われてそんな声を出しちゃうんだな。世の母親って年中発情期なの?
「んんっ……」
どれだけ中身を吸い上げようとしても一向に出てこないけど、ひいちゃんも小さい頃はこうしてたんだろうな。ひいちゃんと間接キスしてるって考えるとゾクゾクしてくる。直接ひいちゃんとキスするわけにはいかないし。ひいちゃんとキスしようだなんて思ったことないよ。ひいちゃんは俺の妹なんだから。妹に手を出す兄がいるかよ。
「……ね、やめない……?」
やだ。
ようやくおかあさんのおっぱいにありつけたんだからこれまでできなかったぶんを吸い尽くしたい。俺がどれだけこの時を待ち望んでいたと思ってるんだ。知らねェだろうなァ。俺はずっと、ずっと、おかあさんに愛してほしかったよ。父親から俺を守ってほしかった。それなのにおかあさんはいない。俺を産んでどっか行ったきり帰ってこない。他の家にはいるのに。俺にはいない。どうして? 俺が醜いから? 気持ち悪いから? 俺が悪いの? なんで? 俺は悪くないでしょ。俺は何もしてないよ。ただそこにいただけ。
なんでなんでなんでなんで?
俺を捨てないで。
産みたくて産んだんじゃないの?
置いていかないで……!
お前が置いていったせいで俺があいつからいじめられたんだ。
おかあさんが憎い。
名前も顔も声も知らない。
俺の苦しみは、お前のせいじゃあないか。
けど、いいんだ。
新しいおかあさんが来てくれたから。
――こうして新しいおかあさんがきてくれたのに、もう終わりなの?
それとも何?
「息子におっぱい吸われて、こんなにびちょびちょになるもんなの?」
「ッ!」
そういやアイツとこの人がヤってるとこ見たことないな。
俺が知らないだけ?
「したいんじゃあないの?」
「えっ! あ、違、」
口では違うって言おうとしてても、体のほうはだいぶ正直だ。女さんチョロいな。……たまにおっぱい舐めただけでドン引きして平手打ちされるけど。つらい。何が違うんだろ。だいたいその後連絡取れなくなるからわかんねェんだよな。
ひいちゃんが生まれてきた穴に、俺のを挿入する。ギチギチに締め付けてくる感じじゃあなくてむにむにと押し返してくる感覚。マッサージされているみたいで気持ちいい。何度もヤってるんだろうし今更ゴム付けてセックスしなくてもいいでしょ。むしろ付けたら物足りないんじゃあないかな。やっぱりナマでしたほうがいいよ。
「んあ……あっ……」
大きな声を出したらひいちゃんが起きちゃうってこと、わかってくれたのか、喘ぎ声は控えめにしてくれている。必死に我慢している感じが最高にエロい。
あーあ。
なんで彼女じゃあないんだろ。
ここでナカに出したら彼女になってもらえるんじゃあないかな。そうかも。そうしよう。
本気でそう思っている。
今の俺にはおかあさんがいる。おかあさんが俺を守ってくれるんだ。そうでないとおかしい。俺だって、ひいちゃんと同じく、この人の息子なのだから。俺が「おかあさん」と呼んでもおかしくない。俺が正しい。血は繋がってなくとも、書類がそう言っているのだからそう。年齢がそう違わなくたって、この人と俺とは母親と息子の関係性じゃあないか。社会的にそう。……なのに、この人は否定してくる。俺を受け入れてくれない。そっちから来たんじゃあないか。俺と父親しかいないこの家に上がり込んできたのはそっちのほうだ。どんな事情があってこんなことになってんのかは興味ない。ただ、俺のことを子どもだと認めてはくれない、この人がおかしい。俺は間違っていない。悪いのはこの人。
この人はおかしい。父親なんかより俺のほうが優秀だ。みんなが、俺は優秀だって、そう言ってくれる。どうしてこんな父親と再婚しようと思ったんだろう。みんなは俺を褒めてくれる。俺は成績も良くて、人当たりも良くて、いい子なんだ。この人に見る目がないんだと思う。
この人の娘であるひいちゃんは俺を「おにいちゃん」と呼んで慕ってくれる。嬉しい。この人よりもひいちゃんのほうが、人というものを正しく評価してくれている。
ひいちゃんは別の部屋で寝かしつけた。明日の朝まで寝てくれるだろう。
父親の酒には睡眠薬を入れた。もう二度と起きてほしくない。
死んでしまえばいい。
「ねえ、おかあさん」
何度目かな。数えるのもやんなっちゃった。俺は、この人――後妻さんに「おかあさん」と呼びかける。後妻さんはその唇を青ざめさせて「ちょっと、どうしたの?」と俺の父親の身体を揺すっていた。酒を一口飲んだだけでこう、パタリと仰向けに倒れたから、そりゃあ驚くよな。ゆさゆさと揺らすよりは早く水飲ませたほうがいいんじゃん? 医学部じゃあないけどそんぐらいはわかる。無理に水飲ますと窒息すんのかな。それはそれでいいや。じゃぶじゃぶ飲ませよう。バケツいっぱいぶん持ってくりゃあいい?
まあ、こんなことなんて人生の中で滅多に起こらねェイベントだから混乱してんのはわかるよ。
俺がやったんだけど。
「無視すんじゃねェよ」
後妻さんの肩を掴んで――なんて名前だったっけ。俺にとっては後妻さんだからいいか。ひいちゃんのママで、父親にとっての再婚相手、父親の息子である俺から見て、俺のママでもあるのに、俺のおかあさんにはなってくれない。そんな存在――こっちを向かせる。小動物みたいなくりっとしたまあるい目は、ひいちゃんのものと同じ形をしていた。ひいちゃんはおかあさんそっくりだから、順調に成長したらこうなってくれるんだろう。俺がひいちゃんを悪い男から守ってあげるね。
「何?」
まあるい目がきゅっと細くなる。俺が何をしたかも知らないくせに、全部お見通しみたいな視線を向けてくるじゃん。知らないでしょ。俺は気付かれないように準備してきたんだし。分かってんなら、旦那様が倒れる前に酒を飲ませないようにする。もし分かってて止めなかったんなら、俺と二人きりになりたかったってことじゃん。それならお望み通り、息子としてじゃあなくて、男として答えてやらなきゃいけないな。そういうもん。この人にとって俺は息子じゃあないんだから、誰かに咎められはしないさ。
「んぐっ!?」
血色の悪い唇に吸い付くと「ぃやっ!」足が出てきた。いるんだよなこういう女さん。嫌いだよ。蹴ってくる奴。何でもかんでも暴力で解決しようとすんのは知的生物の解決法じゃあないんだよな。
「何すッ!」
ピーキー騒ぎ出しそうだから口を右手で掴んで「ひいちゃんが起きちゃうだろ」と添えてやる。ぐっすり眠ってんのに起こすのは可哀想じゃん。大好きなおにいちゃんが自分の母親からいじめられてんのを見せたいってなら止めねェけど。さっきの蹴り、衝撃的映像でしょ。五歳児には刺激が強すぎるって。家庭内暴力なら父親で間に合ってんだよな。再婚相手からも殴る蹴るされんの、俺?
「……フゥー、フゥー」
「俺が息子なのが嫌だって言うのなら、旦那にしてくんない? そいつより絶対にいいと思うんだけど」
そいつ、と俺が大の字にいびきかいて寝てる父親をあごで指す。まったくどうしてこいつの、こいつのどこがいいのかわかんねェよ。俺のほうがマシじゃん。高卒の雇われ店長だよ? オーナーの匙加減ひとつで仕事を失うような立場のやつより、将来は有望な研究者になるって教授から太鼓判押されているような俺のほうがいいじゃん。未来があるし。別に研究したいもんねェけど。……口塞いだままじゃ答えられねェじゃん。離してやるか。
「わけわかんない……あんた、自分が何してんのかわかってんの?」
震えている。可哀想に。誰がこんなに怯えさせてるんだろ。俺か。
「ははは」
どうやったら好きになってもらえるのかわからない。息子だとしたら、おかあさんから愛してもらえるのは当然の権利であるはずなのに。この人はおかあさんのはずなのに、俺を愛してはくれない。こうやって拒絶するんだ。それならば、他の女さんにするみたいにするしかないじゃん。俺と付き合ってくれた、一時的に彼女になってくれたような人と、してきたようなことをすれば、きっとこの人も俺を好きになってくれる。後妻さんじゃあなくて、俺の彼女になってくれる。きっとそう。そうだ。なんでここまで気付かなかったんだろ。
「いやっ! やめてっ!」
馬乗りになったら抵抗された。
なんで?
なんでなんで?
彼氏と彼女ならこういうことしてもおかしくないでしょ。
「うるさい」
「いっ!」
「うるさい、うるさい、うるさい……!」
何度も床に後頭部を打ち付ける。静かにしてもらわないとひいちゃんが起きちゃうじゃん。ひいちゃんはこんなところ見たくないだろうし。
「やだ……やめて……」
「ははは、ははは」
俺だって、殴りたくて殴ってるわけじゃあない。ほんとほんと。あんまり殴りつけたくないし。嘘じゃあないよ。うるさくしなければひいちゃんも起きない。理解して、黙ってほしい。暴力に頼るなんてアイツと変わらねェし。
「どうすればやめてくれる……?」
甘ったるい声を出してくれる。こんな声も出てくるんだな。俺を認めてくれたみたいで嬉しい。
近所の人からはたまに言われてたんだけど。俺は息子だって認めてもらえてなかったからおかあさんかわいいねって言われても知らんぷりしてたな。悪いことしちゃった。
「俺に何されると思ってんの?」
何度もしてきたでしょ。ひいちゃんがその証拠じゃん。ひいちゃんは前の旦那さんとセックスした結果として生まれてきたんだってことぐらい、俺にはわかるよ。その前にも何度もしてるんでしょ。今更一回ぐらい増えたところで誤差だよ誤差。
「……私と、していいと思ってんの?」
ここに来てそう言う? 言うのか。そうか。おもしれェなァ!
この状況を生み出したのが誰のせいなのかわかってない? わかってないからそんなこと言えるんでしょ。びっくりしちゃうな。わかっていてくれよ。今、このタイミングで、俺のこと息子だって言い出すんだ。へぇーーーーそうなんだーーーーーー? 都合よすぎじゃない?
じゃあさ。
逆にだよ。
「おかあさんだって言うのなら、おっぱい飲ませてもらえるよね?」
まあ、何も出ないってのはわかってんだけど。
嫌そうな表情を浮かべてから、観念したように乳房をさらけ出した。この人のを生で見るのは初めてじゃあない。まじまじと見るのは今回が初めてだけども、風呂上がりとか着替えとか、一瞬だけ見ることはあった。好きにしていいんだ。
吸い付いてほしそうに勃っている乳首の期待にこたえれば「あんッ……!」と艶かしい声が頭上から聞こえてくる。子どもに吸われてそんな声を出しちゃうんだな。世の母親って年中発情期なの?
「んんっ……」
どれだけ中身を吸い上げようとしても一向に出てこないけど、ひいちゃんも小さい頃はこうしてたんだろうな。ひいちゃんと間接キスしてるって考えるとゾクゾクしてくる。直接ひいちゃんとキスするわけにはいかないし。ひいちゃんとキスしようだなんて思ったことないよ。ひいちゃんは俺の妹なんだから。妹に手を出す兄がいるかよ。
「……ね、やめない……?」
やだ。
ようやくおかあさんのおっぱいにありつけたんだからこれまでできなかったぶんを吸い尽くしたい。俺がどれだけこの時を待ち望んでいたと思ってるんだ。知らねェだろうなァ。俺はずっと、ずっと、おかあさんに愛してほしかったよ。父親から俺を守ってほしかった。それなのにおかあさんはいない。俺を産んでどっか行ったきり帰ってこない。他の家にはいるのに。俺にはいない。どうして? 俺が醜いから? 気持ち悪いから? 俺が悪いの? なんで? 俺は悪くないでしょ。俺は何もしてないよ。ただそこにいただけ。
なんでなんでなんでなんで?
俺を捨てないで。
産みたくて産んだんじゃないの?
置いていかないで……!
お前が置いていったせいで俺があいつからいじめられたんだ。
おかあさんが憎い。
名前も顔も声も知らない。
俺の苦しみは、お前のせいじゃあないか。
けど、いいんだ。
新しいおかあさんが来てくれたから。
――こうして新しいおかあさんがきてくれたのに、もう終わりなの?
それとも何?
「息子におっぱい吸われて、こんなにびちょびちょになるもんなの?」
「ッ!」
そういやアイツとこの人がヤってるとこ見たことないな。
俺が知らないだけ?
「したいんじゃあないの?」
「えっ! あ、違、」
口では違うって言おうとしてても、体のほうはだいぶ正直だ。女さんチョロいな。……たまにおっぱい舐めただけでドン引きして平手打ちされるけど。つらい。何が違うんだろ。だいたいその後連絡取れなくなるからわかんねェんだよな。
ひいちゃんが生まれてきた穴に、俺のを挿入する。ギチギチに締め付けてくる感じじゃあなくてむにむにと押し返してくる感覚。マッサージされているみたいで気持ちいい。何度もヤってるんだろうし今更ゴム付けてセックスしなくてもいいでしょ。むしろ付けたら物足りないんじゃあないかな。やっぱりナマでしたほうがいいよ。
「んあ……あっ……」
大きな声を出したらひいちゃんが起きちゃうってこと、わかってくれたのか、喘ぎ声は控えめにしてくれている。必死に我慢している感じが最高にエロい。
あーあ。
なんで彼女じゃあないんだろ。
ここでナカに出したら彼女になってもらえるんじゃあないかな。そうかも。そうしよう。
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