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けんか?
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自分には、どうしようも出来ない空間で、溜め息をつく。
考えることがめんどうになってきた。
沈黙の後、静が「馬鹿野郎」と呟いた。
「…中から誘われないと、ウチは絶対に行かないかんな」
静がもごもごと続けた。とにかく誘えば良いってこと?
「うん、一緒に行こ?」
「…良いよ。ウチもランドセルぶつけてごめん」
「いいよ」
自分たちの中では終わった会話だったけど、羽賀が食い付いた。
「え?ランドセル?」
羽賀の言葉に、バツが悪そうに、でも静らしく「さっき怒って中にぶつけた」と素直に答えていた。
「どこに?」
「「足」」
2人で答え、脛に出来ていた痣を確認すると、羽賀は溜め息をついた。
「怒っていても、手を出しちゃいけません!静さん、きちんと中くんに謝りましょう」
「えー?」
「もう良いよ。静の機嫌が直ったなら」
「中さんまで!いけません。怪我をしても良いよ、なんて言う関係性は間違っています」
羽賀の勢いに、教室に残っていた他の子どもたちが廊下に出て来た。
「大丈夫だから、給食にしよ」
空腹を意識して、先に動き出す。
「ほら、羽賀セン?中が良いって言ってるんだから、給食にしよーぜ!」
「静さん!」
「分かったって、中ごめん!もうしないから」
「いいよー」
何で静が怒っていたのかは、よく分からなかったけど、機嫌は直ったらしい。
給食を食べ、片付けをしていると、今度は自分だけが羽賀に呼ばれた。
「何?」
「朝、静ちゃんと何があったの?」
羽賀の声と表情は、心配というより興味を示していた。
朝、登校して基と話をして、学童を見に行くことになった話をする。
「静、ウチは行かないって言ったから、分かったって、良いよって返事をした」
羽賀は苦笑しながらも、ようやく頷いた。
「なるほど、中くんと基くんでお昼休みの約束をしちゃったから、静ちゃん嫌だったのね」
嫌だったのかどうなのかは、静に聞かないと分からない。
「嫌かどうかは分からないけど、静から行かないって言ってた」
「でも、そういう時は一応誘っておくのよ」
羽賀は「それが女の子なの」と分からないことを言った。
「何で?行きたくないのに、誘ったらそっちの方が怒るんじゃないの?」
羽賀は、「うーんと」と考えるように、額を抑えた。
「それは、話がきちんとできている時ね。静ちゃんは、中くんが勝手に決めたと思っているから、一応静ちゃんにも声をかけておくの」
「だって、絶対に行かないって言ってたけど、それでも誘うの?」
困ったように笑いながら、羽賀はそれにも頷いた。
「それで、怒ったら?」
羽賀はずっと笑っている。
「謝れば良いのよ」
確かに謝れば、話は進むか。
「そっか」
「それより、足の怪我は痛くないの?」
痛いと言えば、保健室に連れていかれそうな雰囲気。
「まぁ、触れば…?」
自分でも、気にしていないことを返答する。
「もう、中くんもされて嫌なことは、きちんと伝えるのよ?」
羽賀の言葉にしっかり頷く。
「うん、じゃなくて『はい』」
そこで、歯磨き体操の音楽が流れてきたので、羽賀が「行ってらっしゃい」と話を終わりにした。
歯磨きに行き、昼休みになった。
考えることがめんどうになってきた。
沈黙の後、静が「馬鹿野郎」と呟いた。
「…中から誘われないと、ウチは絶対に行かないかんな」
静がもごもごと続けた。とにかく誘えば良いってこと?
「うん、一緒に行こ?」
「…良いよ。ウチもランドセルぶつけてごめん」
「いいよ」
自分たちの中では終わった会話だったけど、羽賀が食い付いた。
「え?ランドセル?」
羽賀の言葉に、バツが悪そうに、でも静らしく「さっき怒って中にぶつけた」と素直に答えていた。
「どこに?」
「「足」」
2人で答え、脛に出来ていた痣を確認すると、羽賀は溜め息をついた。
「怒っていても、手を出しちゃいけません!静さん、きちんと中くんに謝りましょう」
「えー?」
「もう良いよ。静の機嫌が直ったなら」
「中さんまで!いけません。怪我をしても良いよ、なんて言う関係性は間違っています」
羽賀の勢いに、教室に残っていた他の子どもたちが廊下に出て来た。
「大丈夫だから、給食にしよ」
空腹を意識して、先に動き出す。
「ほら、羽賀セン?中が良いって言ってるんだから、給食にしよーぜ!」
「静さん!」
「分かったって、中ごめん!もうしないから」
「いいよー」
何で静が怒っていたのかは、よく分からなかったけど、機嫌は直ったらしい。
給食を食べ、片付けをしていると、今度は自分だけが羽賀に呼ばれた。
「何?」
「朝、静ちゃんと何があったの?」
羽賀の声と表情は、心配というより興味を示していた。
朝、登校して基と話をして、学童を見に行くことになった話をする。
「静、ウチは行かないって言ったから、分かったって、良いよって返事をした」
羽賀は苦笑しながらも、ようやく頷いた。
「なるほど、中くんと基くんでお昼休みの約束をしちゃったから、静ちゃん嫌だったのね」
嫌だったのかどうなのかは、静に聞かないと分からない。
「嫌かどうかは分からないけど、静から行かないって言ってた」
「でも、そういう時は一応誘っておくのよ」
羽賀は「それが女の子なの」と分からないことを言った。
「何で?行きたくないのに、誘ったらそっちの方が怒るんじゃないの?」
羽賀は、「うーんと」と考えるように、額を抑えた。
「それは、話がきちんとできている時ね。静ちゃんは、中くんが勝手に決めたと思っているから、一応静ちゃんにも声をかけておくの」
「だって、絶対に行かないって言ってたけど、それでも誘うの?」
困ったように笑いながら、羽賀はそれにも頷いた。
「それで、怒ったら?」
羽賀はずっと笑っている。
「謝れば良いのよ」
確かに謝れば、話は進むか。
「そっか」
「それより、足の怪我は痛くないの?」
痛いと言えば、保健室に連れていかれそうな雰囲気。
「まぁ、触れば…?」
自分でも、気にしていないことを返答する。
「もう、中くんもされて嫌なことは、きちんと伝えるのよ?」
羽賀の言葉にしっかり頷く。
「うん、じゃなくて『はい』」
そこで、歯磨き体操の音楽が流れてきたので、羽賀が「行ってらっしゃい」と話を終わりにした。
歯磨きに行き、昼休みになった。
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