子どもって

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基とのはなし

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「基おはよ」
ランドセルを背負ったまま、中は基のところに直行した。当の基は、椅子に座ったまま、動きもせず怯えた顔をした。中が動かないことが分かると、ようやく「おはよう」と小さな声で返事をした。
「今、話しても良い?」
中の言葉に、基は分かりやすく固まる。
「あ、あんまり」
「話すの、いや?」
「う、うん。今は…」
「そっか、じゃいいや」
中が側を離れると、基はほっとしたように強張っていた表情を崩す。

「次は昼」
「え?」
「次は昼に話しかけるから」
「えっ?」
基の顔が、再び強張る。
「な、何で、僕に話しかけるの?」
目をキョロキョロさせ、基はようやく言葉を紡ぐ。中は「うーん」と上を向く。
「何となく?基と話したいから」
中は静と元の視線を受けながら、基に手を振った。
2人視線に気付いていながら、中は何事もなかったようにランドセルをロッカーに置きに行った。

「やっぱり、ぼくらいないで良かったね」
「まーな、にしてもあいつ。変なの」
「中は、いつもあんな感じだよね?」
「中じゃねーよ。あいつは今更だろ?基だよ、あいつ何にビビッてんだろ?」
静の言葉に、元は疑問を感じながらも頷いた。
朝の会が始まるまで、まだ時間がある。中はグラウンドを見て何かに気付いた。手と目で、静と元に合図を送る。

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