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王の野望編
第30話
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「どういう意味?」
私はロスタートに尋ねた。
ロスタートが鬼気迫る表情に変わると、
リスバートが腕で制止する。
「まぁまぁ、よくよく考えてみたらあれは数百年前の話なんだ。
伝わってなければ彼女たちが知るわけないだろう?
人間なんてせいぜい数十年しか生きられないんだから。」
リスバートが呑気な調子を取り戻して言った。
「どこから話せばいいやら、さてさて、どうだったかな?」
リスバートは遠くをじっと見つめて話し出した。
数百年前、今は地獄と呼ばれる、
ウルガリウスの作った世界は、
元はウルガリウス含む十人の使徒が作った理想郷だった。
年中花が咲き、緑に溢れ、澄んだ水が絶え間なく注ぐ泉。
それを臨む丘の上の宮殿で、
十人と、彼らの魔力によって生まれた従者とともに幸せに暮らしていた。
しかし、
何かしらの方法で男神アルテアの力を得た人間が、
突然彼らの世界に現れた。
ウルガリウスたちが戸惑っていると、
急に男は従者たちに切りかかった。
当時は十賢星と呼ばれた十人は、男を必死に止めようとした。
しかし、男はアルテアの力を使い、
次々に従者や十賢星をなぎ倒していった。
やがてウルガリウスの前まで辿り着き、
これまたどうやって手に入れたのか分からない
アルテアの力を持つ双剣の一振りを、
ウルガリウスの心臓へと突き刺し、玉座ごと貫いた。
アルテアの力によってウルガリウスには触れることもできなくなった。
ウルガリウスは一気に力を失い、瀕死の状態に陥った。
それとともに、花は散り、緑は枯れ、泉は干上がった。
それでは飽き足らず、男は十賢星と彼らの世界の姿を醜く変化させ、
男はそこを地獄と呼んだ。
そして、男は地獄を去ると、
アルテアの力を使って世界の門を閉ざしたという。
「それは裏切ったウルガリウスを封じたアルテア様の話ではないの?」
私は何がどうなっているのか分からず混乱していた。
その話は男神アルテアの伝説として聞いていたものとよく似ていた。
「アルテア様はそんなことしないさ。
私達ですらお姿を拝見したこともない尊いお方だ。
・・・・もしかして、お前達人間は
この神殿の外に建っていた男の像をアルテア様だと思っているのか?
違う違う、あの男こそ地獄を作った男オルテガさ。」
何かに納得したようにうなずいた後、リスバートは高笑いした。
「オルテガ?」
私は記憶をたどった。どこかで聞き覚えがある・・・。
「この国の最初の支配者なのだろう?
私達を悪者に仕立てて征伐し、民心を掴んだのさ。」
そうだった、オルテガはこの国の最初の支配者だ。
彼が地獄を作った・・?
だから彼らは入り口にある石像をわざわざ壊したのだ。
恐れからではない、怒りから・・・。
「滑稽な話だ。その子孫がまた扉を開いたのだろう?
さらなる力を求めて。
おかげで私達は助かったがな。」
リスバートは再度高笑いする。
「ウルガリウス様が失った力を取り戻すには多くの魔力が必要だ。
だからそれを人間たちから絞り取り、返してもらおうというのだ。」
ロスタートが冷酷な声で言い放った。
私は言葉が出なかった。
リスバートの話を信じるなら、すべてが自業自得ではないか。
人間が悪さをしたからそれが人間に返る。
私はどうしていいのか分からなくなった。
何が正解なのだろう。
「悪魔の言葉に騙されるな。イヴ。」
そういいながらもガイツは自信なさ気だった。
「信じるも信じないも勝手だが。
君の中のディメイアが何を考えているのやら。
彼女を御したつもりでいると、
手痛い寝返りを喰らうやもしれんぞ?」
リスバートはまたも高笑いする。
ディメイアの名を聞いたガイツは、驚いて私を見返す。
私は度重なるショックで、立っているのも精一杯だった。
やはり、私の力は、悪魔ディメイアのもの・・・。
私はロスタートに尋ねた。
ロスタートが鬼気迫る表情に変わると、
リスバートが腕で制止する。
「まぁまぁ、よくよく考えてみたらあれは数百年前の話なんだ。
伝わってなければ彼女たちが知るわけないだろう?
人間なんてせいぜい数十年しか生きられないんだから。」
リスバートが呑気な調子を取り戻して言った。
「どこから話せばいいやら、さてさて、どうだったかな?」
リスバートは遠くをじっと見つめて話し出した。
数百年前、今は地獄と呼ばれる、
ウルガリウスの作った世界は、
元はウルガリウス含む十人の使徒が作った理想郷だった。
年中花が咲き、緑に溢れ、澄んだ水が絶え間なく注ぐ泉。
それを臨む丘の上の宮殿で、
十人と、彼らの魔力によって生まれた従者とともに幸せに暮らしていた。
しかし、
何かしらの方法で男神アルテアの力を得た人間が、
突然彼らの世界に現れた。
ウルガリウスたちが戸惑っていると、
急に男は従者たちに切りかかった。
当時は十賢星と呼ばれた十人は、男を必死に止めようとした。
しかし、男はアルテアの力を使い、
次々に従者や十賢星をなぎ倒していった。
やがてウルガリウスの前まで辿り着き、
これまたどうやって手に入れたのか分からない
アルテアの力を持つ双剣の一振りを、
ウルガリウスの心臓へと突き刺し、玉座ごと貫いた。
アルテアの力によってウルガリウスには触れることもできなくなった。
ウルガリウスは一気に力を失い、瀕死の状態に陥った。
それとともに、花は散り、緑は枯れ、泉は干上がった。
それでは飽き足らず、男は十賢星と彼らの世界の姿を醜く変化させ、
男はそこを地獄と呼んだ。
そして、男は地獄を去ると、
アルテアの力を使って世界の門を閉ざしたという。
「それは裏切ったウルガリウスを封じたアルテア様の話ではないの?」
私は何がどうなっているのか分からず混乱していた。
その話は男神アルテアの伝説として聞いていたものとよく似ていた。
「アルテア様はそんなことしないさ。
私達ですらお姿を拝見したこともない尊いお方だ。
・・・・もしかして、お前達人間は
この神殿の外に建っていた男の像をアルテア様だと思っているのか?
違う違う、あの男こそ地獄を作った男オルテガさ。」
何かに納得したようにうなずいた後、リスバートは高笑いした。
「オルテガ?」
私は記憶をたどった。どこかで聞き覚えがある・・・。
「この国の最初の支配者なのだろう?
私達を悪者に仕立てて征伐し、民心を掴んだのさ。」
そうだった、オルテガはこの国の最初の支配者だ。
彼が地獄を作った・・?
だから彼らは入り口にある石像をわざわざ壊したのだ。
恐れからではない、怒りから・・・。
「滑稽な話だ。その子孫がまた扉を開いたのだろう?
さらなる力を求めて。
おかげで私達は助かったがな。」
リスバートは再度高笑いする。
「ウルガリウス様が失った力を取り戻すには多くの魔力が必要だ。
だからそれを人間たちから絞り取り、返してもらおうというのだ。」
ロスタートが冷酷な声で言い放った。
私は言葉が出なかった。
リスバートの話を信じるなら、すべてが自業自得ではないか。
人間が悪さをしたからそれが人間に返る。
私はどうしていいのか分からなくなった。
何が正解なのだろう。
「悪魔の言葉に騙されるな。イヴ。」
そういいながらもガイツは自信なさ気だった。
「信じるも信じないも勝手だが。
君の中のディメイアが何を考えているのやら。
彼女を御したつもりでいると、
手痛い寝返りを喰らうやもしれんぞ?」
リスバートはまたも高笑いする。
ディメイアの名を聞いたガイツは、驚いて私を見返す。
私は度重なるショックで、立っているのも精一杯だった。
やはり、私の力は、悪魔ディメイアのもの・・・。
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