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王の野望編
第21話
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私達の後ろから、ルースとベアトリスが現れた。
「ごめんねぇ。俺たち本当はそいつと同じ、悪魔なのよ。」
ルースがヘラヘラしながら言う。
「バレないかとハラハラして楽しかったわ。」
ベアトリスは冷酷な笑みを浮かべる。
「アリウス?どういうこと?」
私はアリウスに問いただした。
アリウスは何も言わず俯いていた。
「彼を責めるなよ。何も知らなかったんだ。なぁ?」
ルースは言うが、アリウスは俯いたままだ。
私達は罠に嵌められたのだ。
アリウスが知っていたかどうかは置いておいても、
ルースとベアトリスは間違いなくザヴァンと繋がっていた。
そこまで考えて、私は不可解なことに気付いた。
私達を始末するつもりなら昨日寝ている間にでも始末できたんじゃ?
「まぁ、落ち着きなよ。聖女様。
俺たちは悪魔だとは言ったけど、
ザヴァンの仲間だなんて言ったつもりはないよ。」
相変わらずヘラヘラしながらルースは言った。
昨日は優しそうな笑顔だと思ったが、いま見るとすごく不気味だ。
「ザヴァン、悪いな。気が変わった。
こんな幼気な仔猫ちゃんをいたぶるなんて俺にはできない。
ベアトリス、帰ろう。」
ルースとベアトリスは私達に背を向けて、去っていこうとした。
ザヴァンは、玉座に戻る途中で振り返ると、低く鳴り響くような唸り声を上げた。
「ふざけるな!貴様らが始末するというから警戒を解いたのだぞ?」
ザヴァンは玉座の間に響く大声で叫んだ。
「あら?悪魔の言うことを信じたの?
いけない子ね。
悪魔なんて信じるものじゃないわ。」
ベアトリスがザヴァンを挑発するように言った。
よく分からないが、
ルースとベアトリスは悪魔でありながら私達の味方をしてくれていたようだ。
二人が説得したからここまでの道中は全く警戒されていなかったのだ。
私は二人が何を考えているのか分からず、ただただ不気味に思った。
ルースとベアトリスの姿が見えなくなった後、ルースだけが戻ってきた。
「言い忘れてた。
その服についてるタリスマンには魔力を封じる力があるから、
外した方がいいよ。
・・・ダサいしね。」
それだけ言ってルースはまたどこかへ行ってしまった。
私は、急いで服についているタリスマンを引きちぎった。
そして、ザヴァンをもう一度注意深く見てみると、
彼の左の胸の辺りに赤黒い炎が見えた。
ルースとベアトリスが悪魔であることを気付かなかったのも、
このタリスマンのせいだったようだ。
「なめられたものだ。こんな小娘達に俺が倒せるとでも?」
ザヴァンは苦虫を噛潰したような顔で私達に再度近づいてくる。
私は左手に力を集中させた。
左手が赤く光り出すも、ザヴァンは怯むことなく近づいてくる。
左手に力が溜まりきったところで、私はザヴァンの弱点を撃った。
予想以上の力だったのか、ザヴァンは一瞬驚いた顔をした。
ザヴァンの上半身は消し飛び、下半身は後ろに倒れた。
「これで終わり?十邪星ではなかったの?」
あまりにあっさりしすぎて拍子抜けした。
私は終わったのだと思い、体中に張り詰めていた力を抜いた。
「イヴ、まだだ。」
ガイツが、ザヴァンを指さしながら叫ぶ。
私が、ザヴァンの方を向き直すと、ザヴァンの上半身は既に右半分復活していて、
そこまで間を置かず、左半身も復活した。
それと同時に消し飛んだはずの弱点がまた現れた。
初めての経験に私は困惑した。ザヴァンは他の悪魔と何か違う・・・。
「ごめんねぇ。俺たち本当はそいつと同じ、悪魔なのよ。」
ルースがヘラヘラしながら言う。
「バレないかとハラハラして楽しかったわ。」
ベアトリスは冷酷な笑みを浮かべる。
「アリウス?どういうこと?」
私はアリウスに問いただした。
アリウスは何も言わず俯いていた。
「彼を責めるなよ。何も知らなかったんだ。なぁ?」
ルースは言うが、アリウスは俯いたままだ。
私達は罠に嵌められたのだ。
アリウスが知っていたかどうかは置いておいても、
ルースとベアトリスは間違いなくザヴァンと繋がっていた。
そこまで考えて、私は不可解なことに気付いた。
私達を始末するつもりなら昨日寝ている間にでも始末できたんじゃ?
「まぁ、落ち着きなよ。聖女様。
俺たちは悪魔だとは言ったけど、
ザヴァンの仲間だなんて言ったつもりはないよ。」
相変わらずヘラヘラしながらルースは言った。
昨日は優しそうな笑顔だと思ったが、いま見るとすごく不気味だ。
「ザヴァン、悪いな。気が変わった。
こんな幼気な仔猫ちゃんをいたぶるなんて俺にはできない。
ベアトリス、帰ろう。」
ルースとベアトリスは私達に背を向けて、去っていこうとした。
ザヴァンは、玉座に戻る途中で振り返ると、低く鳴り響くような唸り声を上げた。
「ふざけるな!貴様らが始末するというから警戒を解いたのだぞ?」
ザヴァンは玉座の間に響く大声で叫んだ。
「あら?悪魔の言うことを信じたの?
いけない子ね。
悪魔なんて信じるものじゃないわ。」
ベアトリスがザヴァンを挑発するように言った。
よく分からないが、
ルースとベアトリスは悪魔でありながら私達の味方をしてくれていたようだ。
二人が説得したからここまでの道中は全く警戒されていなかったのだ。
私は二人が何を考えているのか分からず、ただただ不気味に思った。
ルースとベアトリスの姿が見えなくなった後、ルースだけが戻ってきた。
「言い忘れてた。
その服についてるタリスマンには魔力を封じる力があるから、
外した方がいいよ。
・・・ダサいしね。」
それだけ言ってルースはまたどこかへ行ってしまった。
私は、急いで服についているタリスマンを引きちぎった。
そして、ザヴァンをもう一度注意深く見てみると、
彼の左の胸の辺りに赤黒い炎が見えた。
ルースとベアトリスが悪魔であることを気付かなかったのも、
このタリスマンのせいだったようだ。
「なめられたものだ。こんな小娘達に俺が倒せるとでも?」
ザヴァンは苦虫を噛潰したような顔で私達に再度近づいてくる。
私は左手に力を集中させた。
左手が赤く光り出すも、ザヴァンは怯むことなく近づいてくる。
左手に力が溜まりきったところで、私はザヴァンの弱点を撃った。
予想以上の力だったのか、ザヴァンは一瞬驚いた顔をした。
ザヴァンの上半身は消し飛び、下半身は後ろに倒れた。
「これで終わり?十邪星ではなかったの?」
あまりにあっさりしすぎて拍子抜けした。
私は終わったのだと思い、体中に張り詰めていた力を抜いた。
「イヴ、まだだ。」
ガイツが、ザヴァンを指さしながら叫ぶ。
私が、ザヴァンの方を向き直すと、ザヴァンの上半身は既に右半分復活していて、
そこまで間を置かず、左半身も復活した。
それと同時に消し飛んだはずの弱点がまた現れた。
初めての経験に私は困惑した。ザヴァンは他の悪魔と何か違う・・・。
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