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第2話 スライム登場!?

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「くそ、手荒な扱いしやがって」

俺を追い出した兵士たちはただ王宮から出したのではなく、わざわざ蹴りを腹部に入れてきやがった。武道の心得のない俺はまともに食らい今も少し苦しい。

「はあ、ここから離れるしかないか」

今すぐにでも王宮に戻って反論したいところだがこんな状態では行ったところでまた押し返される。場合によってはどこかで行動を制限される可能性すら出てくる。

「情報がなさすぎる。まずは俺の現状把握だ」

幸いすぐに門があり外に行けそうなのですぐに出ていく。門は兵士がいて俺の様子を見るが特に気にしないようだ。
門を出るとそこは平原だった。この景色を見ると確かに異世界だと感じさせる。

だがそれと同時になぜ俺はこんな状態で呼び出されたんだ。あまりにも理不尽すぎる。

「ええ、と。確か俺はテイマーだったな」

テイマーと言えば野生の魔物を仲間にするみたいな気がする。あんまり異世界小説とかアニメとか見てきてないからそんなにわからないけど。

「でもスライムってどうやって出すんだ」

全く何もわからない状態でこの世界に来てしまった。呪文とかあっても果たして口にしないといけないのか心の中で念じればOKなのか。

そんなことを考えているうちに俺の目の前には何かの円状の光が浮かび上がる。しかしその大きさはとんでもなく小さい。10㎝もあるのだろうかというぐらいのものだった。

「キュー!!」

そして魔法陣から現れてくるのは青色の丸いフォルムのゼリー、そうまさにスライムだ。

「キュー♪」

スライムは登場するやすぐに俺のもとに駆け寄ってくる。ぴょんぴょんと跳ねる。

「お前のせいで俺はこんなことになったんだぞ!!」

「!?キュ?」

俺はスライムを見て愕然とする。もし仮にドラゴンでも出せるのであれば状況は一変していただろう。さっきのやつらもそういうやつを欲していただろう。

だが俺の目の前にいるのはスライム。特に見ても全然怖くない、いたってただのスライム。俺は現実逃避したくなりその辺にあった枝木を投げる。

「くそー、くそー!!」

もうどうしようもないこの現実にただただ叫ぶ。悲痛な叫びをあげるしかできない。

「キュー...」

「なんだ!?」

「キュ!?」

突然背中に何かの感触がして急いで下げていた顔を上げる。よく見るとそれはスライムの触手で、俺が驚いたからかスライムは申し訳ない感じでびくびくしている。

「...お前に八つ当たりしても仕方ないか」

これじゃあ子供とかの問題じゃない。何も悪さをしているわけではないスライムに当たるなんて俺は最低だ。落ち着かないと。

「ごめんな、何もしてないお前にいきなり叫んでも」

「キュー!キュー♪」

スライムは触手を揺らして気にしてないようなしぐさをする。本当にいい子だ。なんか俺のことが余計みじめに見えてくる。

「でもスライムでもきっとどうにかなるさ」

そう心の中で言い聞かせる。言い聞かせないとすぐに心が壊れそうだ。まだこの現状に順応してない今は何かをしてないとまたさっきみたいになりそうだ。

「スライムって何ができるんだろうか?」

「キュ?」

あれ、自分でもわかってない感じか。俺もそうではあるけどスライムって一応モンスターだしなんか感覚でわかるものかと思ったけど。

「はあ、なにもわからないのなら仕方ないか。でもモンスターに襲われるのが心配だな」

今の俺は無力に近い。頼りにしていた従魔、スライムも全く動けそうになく八方ふさがり。お金も武器もない、食料もない。

「次の街に向かうしかないか。服を一枚でも売れば金にはなるだろう」

王宮で身ぐるみはがされなかったからよかった。1日分の食糧ぐらいにはなるだろう。

「道なりに進んでいくしかないか」

地図もないし方角も街の位置もわからない。平原にはおそらく馬車などの案内に使われてるような土で作られた道があった。この道を進んでいけば何とかなるかもしれない。

「それじゃあ行こう、ってスライムってなんか他人みたいだな」

なんかさっきからスライムスライムって呼んでたけどいい加減別の呼び方にしたほうがいいかな。俺の従魔なんだし

「名前つけてもいいか?」

「キュ?」

「はは、わからないのか」

かわいらしく触手を揺らしてこっまた感じを見せつける。そんな姿にふと笑い声が出てしまう。そういえばこの世界に来て初めて笑ったかもな。

「そうだな、スカイってのはどうかな?」

「キュ!?キュー♪」

「そうか、喜んでくれたか」

ちゃんと自分の名前だと理解したのかその場でくるくると回り始めるスカイ。その姿の青色がきれいな空色だったからこの名前にした。

「それじゃあスカイ、次の街に行こう!!」

「キュー!!」

スカイも触手を上げて応えた。
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