上 下
1 / 7

第1話 最弱召喚

しおりを挟む
俺は大学3年生、公務員目指して頑張ってたはずなんだが目の前には中世ヨーロッパを彷彿とさせる様な王宮がそこにはあった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~

俺がここに来る前、確か大学の図書館にいた。公務員試験の対策本を探しているときに突然足元が光りだしたんだ。そして気が付くとここにいた。
ちょっとよくわからないんだけど、この状況はいったい何なんだろうか。

「おお、最後の勇者が来たか」は

「へ?あの~誰でしょうか?」

「王様、まずは名乗らないとこの方もなにもわかってないですよ」

「すまんすまん、なにせ5人目となると慣れてきてしまっての」

「慣れてきて?」

「まずはわたくしから、私の名前ドール。この国の王の補佐官をやらせていただいてます」

「それでわしはこの【ベルレルト】という国の王のグリシャス=ロマノフだ」

そう語るこの二人。国王って名乗るぐらいだから異世界なのか?外国だったら大前提として日本語じゃ通じないはずだ。というより俺がわからん。

「それであなたの名前をお聞かせください」

「あ、俺は吉条斗真です」

「斗真様ですね、では今からあなたがなぜここにいるのかの説明をしますね」

補佐官のドールさんが言うには、この世界では今魔物の増加に伴い不安定の状態が続いているようでこのまま放置していくと火山の噴火や嵐の発生、
津波といった自然災害が引き起こされてしまうとのことだ。

ひいては人類では耐えられない数の魔物が増えてしまう可能性も現れるらしい。そこで異世界から勇者として人を召喚して魔物の数を減らして救ってほしい
ということだ。よくありテンプレ展開ってやつだな。

「でも俺なんかで救うことができるんですか?」

「そこは心配することはありません。すでに4人の勇者様方は神からの恩恵を授かっております。なので召喚された斗真様にもその恩恵による力が備わるはずです」

いわゆるチート能力が備わるってことかな。確かに日本にいたころの能力のまま戦えって言われても困るしな。

「それではこの水晶に触れてください」

「これはなんですか?」

「これは触れた対象の能力を照らし出すものです」

すごいハイテクな機能だな、さすが異世界というかなんというか。とりあえず手をかざしてみよう。

名前:吉条斗真
レベル:1
職業:テイマー
従魔:スライム【名無し】
従魔能力:不明
スキル:従魔鼓舞(低級)


「テイマー?しかもスライム?」

スライムって言ったらあの異世界ではテンプレのあのスライムか?レベルは仕方ないけどスキルが鼓舞だけ。というかこれって

「なんていうことだ、」

「えっとこれはどういうことですか?」

「私が聞きたいぐらいだ。なぜ貴様のステータスはこんなにも低いのだ」

もう名前すら呼ばなくなって貴様になってる。いくら何でもあからさますぎるでしょ。

「しかしほかの人先に来ているって言ってませんでしか?」

「ああ、確かに言った。だが私が説明するより直接見てもらったほうがはやいようだ」

そういうや否や後ろから4人ほど人がやってきた。その装飾日は煌びやかで華やかだ。

「そのかたが最後の勇者ですか?」

「いや、これはただのくずです。全く強くない。それで勇者様方にステータスをこの男に見せつけてほしいのです」

「そういうことね誰が行く?」

「ここは俺が行く。この中じゃ一番いい成績だったからな」

一人の金髪の男がさっき触れた水晶に手をかざす。

名前:翠明彰
レベル:1
職業:魔剣士
スキル:剣術【極】 敏捷向上 回避術 神の加護

「これが俺のステータスだ。どうだ、本物の勇者のステータスを見た感想は?」

男はあざ笑うかのようにそう言う。しかしぐうの音も出ないとはまさにこのこと、レベルは一律に1とはいえスキルが俺のとは明らかに違うのはわかった。

「極スキルはこの世界じゃあ最高レアリティなんだそうだ。まあ勇者として召喚されたんだ、当然のことだけどな」

「しかしあなたのステータス、ドールさんに聞いたけど全然強くないわね。本当にひどいわ」

「本当にあなたじゃなくてよかったわ」

「ああ、ちゃんと神様からの恩恵を授かれたのは大きかったぜ」

俺よりも先に召喚されたであろう4人が口々にそんなことを言い始める。俺のことを馬鹿にするように。

「まあ、気にすることはないさ。君の分は俺たち4人の勇者が頑張るだけさ。君がいても正直邪魔なだけだし」

反論したいが俺にはそれをするだけの資格、ステータスがない。おとなしく聞くことしかできない。

「そういうわけだ。頼むが速やかにここを出てくれないか?」

「なぜだ?俺が必要ないのなら元の世界に送り返せばいいじゃないか」

「それはできない」

「はあ!?」

ドールはそんなことを言ってきやがった。なんて無責任なことを。

「今回勇者たちに使った召喚魔法は一通で送り返すなんてできない。悪いが君にはこの世界で生きてもらうしかない」

「なんでだよ!」

「うるさいの。ドール、速やかにそのくずをこの王宮から出せ」

「かしこまりました、おい、兵士たち」

ドールが声をかけると近くで立っていた2人の兵士たちが俺のもとに近づき腕を取り始めた。

「おい、やめろ。くそ!はなせよ!お前ら!!絶対に見返してやるからな!!」

俺はこんな不条理な状況でただ、ただ叫ぶだけだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

出て行けと言って、本当に私が出ていくなんて思ってもいなかった??

新野乃花(大舟)
恋愛
ガランとセシリアは婚約関係にあったものの、ガランはセシリアに対して最初から冷遇的な態度をとり続けていた。ある日の事、ガランは自身の機嫌を損ねたからか、セシリアに対していなくなっても困らないといった言葉を発する。…それをきっかけにしてセシリアはガランの前から失踪してしまうこととなるのだが、ガランはその事をあまり気にしてはいなかった。しかし後に貴族会はセシリアの味方をすると表明、じわじわとガランの立場は苦しいものとなっていくこととなり…。

二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」  勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。  ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。  そんなある日のこと。  何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。 『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』  どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。  ……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?  私がその可能性に思い至った頃。  勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。  そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……

マスターズ・リーグ ~傭兵王シリルの剣~

ふりたけ(振木岳人)
ファンタジー
「……あの子を、シリルの事を頼めるか? ……」  騎士王ボードワンが天使の凶刃に倒れた際、彼は実の息子である王子たちの行く末を案じたのではなく、その後の人類に憂いて、精霊王に「いわくつきの子」を託した。 その名はシリル、名前だけで苗字の無い子。そして騎士王が密かに育てようとしていた子。再び天使が地上人絶滅を目的に攻めて来た際に、彼が生きとし生ける者全ての希望の光となるようにと。  この物語は、剣技にも魔術にもまるで秀でていない「どん底シリル」が、栄光の剣を持って地上に光を与える英雄物語である。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

団長サマの幼馴染が聖女の座をよこせというので譲ってあげました

毒島醜女
ファンタジー
※某ちゃんねる風創作 『魔力掲示板』 特定の魔法陣を描けば老若男女、貧富の差関係なくアクセスできる掲示板。ビジネスの情報交換、政治の議論、それだけでなく世間話のようなフランクなものまで存在する。 平民レベルの微力な魔力でも打ち込めるものから、貴族クラスの魔力を有するものしか開けないものから多種多様である。勿論そういった身分に関わらずに交流できる掲示板もある。 今日もまた、掲示板は悲喜こもごもに賑わっていた――

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...