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第11章 テイマーの街
第190話 闘士たちの会話
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「訓練の成果はいかがでしたか?シンジ様」
「ああ、結構手応えを感じたよ。こいつら全然容赦ないからな」
俺は宿屋に戻り、すでにいたシルたちと夜ご飯を食べていた。スライムたちは、えっへんと言わんばかりにドヤ顔?のような仕草をした。
「それぐらい強度を上げていかないと、あの3人に対抗するのは難しいだろうからな。なるべく後半にあたることを願うけどな」
「なかなか難しい話ですよね。遅め当たったとしても手の内をある程度晒した状態になりますから」
そう、トーナメント戦は早く当たっても遅い目に当たっても両方にメリットとデメリットが存在する。早く当たれば、手の内を晒さず思い切って戦える分相手の情報をあまり収集できない。逆に遅い場合は、相手の情報を多く手にいれる分、自身についての情報も相手に知れ渡る。
「だからこそ、トーナメントを勝ち抜いている選手は脱落してく選手とはかなり違うと思うよ」
勝ち抜くには、ゼノンさんやアイシャさんのように圧倒的な能力で戦う、もしくはダルトンさんのようにいろんな選手に高水準で対応できる能力、どちらかがないと上には勝ち上がれないと思う。
「相性もあるでしょうから、そこを考えるとさらに難しくなってきますね」
「一発勝負なところもあるから、作戦を実行に移せないまま終わる可能性もあるだろうし経験者がより優位かもな」
まだ対戦相手も分かってはいないが、シルとトーナメント戦について色々と話し合っていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「シンジ試合をみてどやった?ダルトン」
「そうだな、まだまだ実力を隠していると思うな」
ここはシンジが闘技場の闘志たちと出会った場所、そこでゼノンやダルトンといった一部の闘志が集まっていた。
「実際に対戦したグロッグ、どう思う?」
「最初の方は試合慣れしていないように感じたが、途中からギアが上がったように強くなったな。対応できてなかった攻撃にも対応し、かなり戦況を狂わされた」
「スロースターターかもしれないな、尻上がりに調子が上がっていたのは俺も感じた」
グロッグはシンジと対戦の経験を語る。最初はそこまで不利に感じなかったグロッグだったが、シンジがうまく突破口を見つけ立ち回られたのが敗因であると考えている。
「となると、先手必勝といったところか?最初に仕掛けに行くのがいいのかもしれないな」
「次の試合やったらそれでもええかもな。倒すまでいかなくとも、大きなダメージは与えれそうやな」
ダルトンは、先に高火力の攻撃を仕掛けて倒すべきだと判断し、ゼノンもそれに賛同するような言葉をかける。だが、
「これは俺の勘なんやが、おそらくその戦い方も勝ち上がるほど効かなくなるやろうな。シンジを見てると、戦闘中にも成長しているように感じるんよな」
ゼノンの言葉に、ダルトンやグロッグ、その他の闘士も驚く。
「確かに、戦闘を経て成長していくやつは少なくないがお前に言わせるほどなのか?」
ダルトンはゼノンにそう聞く。ゼノンは目を閉じて口を開く。
「確実な証拠はない、せやけど奴をそこらの連中と同じ物差しで見るべきではないと感じるの。なんか見ていてワクワクするんよな」
ゼノンはシンジの可能性を嬉々として話す。そして魔力が少しずつ高まり、
「せやから、奴を最高の状態でぶっ潰す!」
ゼノンは拳を強く握る。高まっている魔力はほとばしり、周りの人間が慌て始めた。
「おい、ゼノン魔力を抑えろ!!」
ダルトンを先頭に、複数人がゼノンの体を押さえつけて落ち着かせる。普段は冷静沈着なダルトンが大急ぎで止めに入る。
「おお、すまんすまん」
「ったく、興奮したらすぐに魔力高めるくせ、本当どうにかした方がいいぞ」
ダルトンは軽くゼノンの方に手を置いてそう告げる。ゼノンはわかっていると軽くうなづく。それを見て、他の闘士たちも一安心した。
「お前もそう思うやろ、アイシャ」
部屋の隅で静かに立っていたアイシャに声をかけるゼノン。アイシャは呼ばれるとすぐに近づき
「…そうね、見どころがある少年ね」
「アイシャが他人に興味を持つとはのう、しかも行動を一部ともにしとると」
「…何が言いたいの?」
少し踏み込んだような発言だったのか、アイシャは少しだけゼノンに鋭い視線を向ける。向けられたゼノンは両手を軽くあげて、
「別にそこまでおもてへんで、ただ違和感を覚えただけっちゅうわけや。気を悪くしたんやったらすまんの、何か飲み物でも奢ろか?」
「…いい」
そういってアイシャは部屋から出て行った。それを皮切りに他の闘士たちも出ていった。そして残ったのはダルトンとゼノンだけとなった。
「それじゃあ、俺たちもしばらく2人きりでは会わない方がいいかもな。今更だけどな」
「せやな、ないとはおもうが試合で情が湧いても困るしのう」
ゼノンとダルトンは拳と拳を合わせると、2人も部屋を後にした。
「ああ、結構手応えを感じたよ。こいつら全然容赦ないからな」
俺は宿屋に戻り、すでにいたシルたちと夜ご飯を食べていた。スライムたちは、えっへんと言わんばかりにドヤ顔?のような仕草をした。
「それぐらい強度を上げていかないと、あの3人に対抗するのは難しいだろうからな。なるべく後半にあたることを願うけどな」
「なかなか難しい話ですよね。遅め当たったとしても手の内をある程度晒した状態になりますから」
そう、トーナメント戦は早く当たっても遅い目に当たっても両方にメリットとデメリットが存在する。早く当たれば、手の内を晒さず思い切って戦える分相手の情報をあまり収集できない。逆に遅い場合は、相手の情報を多く手にいれる分、自身についての情報も相手に知れ渡る。
「だからこそ、トーナメントを勝ち抜いている選手は脱落してく選手とはかなり違うと思うよ」
勝ち抜くには、ゼノンさんやアイシャさんのように圧倒的な能力で戦う、もしくはダルトンさんのようにいろんな選手に高水準で対応できる能力、どちらかがないと上には勝ち上がれないと思う。
「相性もあるでしょうから、そこを考えるとさらに難しくなってきますね」
「一発勝負なところもあるから、作戦を実行に移せないまま終わる可能性もあるだろうし経験者がより優位かもな」
まだ対戦相手も分かってはいないが、シルとトーナメント戦について色々と話し合っていた。
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「シンジ試合をみてどやった?ダルトン」
「そうだな、まだまだ実力を隠していると思うな」
ここはシンジが闘技場の闘志たちと出会った場所、そこでゼノンやダルトンといった一部の闘志が集まっていた。
「実際に対戦したグロッグ、どう思う?」
「最初の方は試合慣れしていないように感じたが、途中からギアが上がったように強くなったな。対応できてなかった攻撃にも対応し、かなり戦況を狂わされた」
「スロースターターかもしれないな、尻上がりに調子が上がっていたのは俺も感じた」
グロッグはシンジと対戦の経験を語る。最初はそこまで不利に感じなかったグロッグだったが、シンジがうまく突破口を見つけ立ち回られたのが敗因であると考えている。
「となると、先手必勝といったところか?最初に仕掛けに行くのがいいのかもしれないな」
「次の試合やったらそれでもええかもな。倒すまでいかなくとも、大きなダメージは与えれそうやな」
ダルトンは、先に高火力の攻撃を仕掛けて倒すべきだと判断し、ゼノンもそれに賛同するような言葉をかける。だが、
「これは俺の勘なんやが、おそらくその戦い方も勝ち上がるほど効かなくなるやろうな。シンジを見てると、戦闘中にも成長しているように感じるんよな」
ゼノンの言葉に、ダルトンやグロッグ、その他の闘士も驚く。
「確かに、戦闘を経て成長していくやつは少なくないがお前に言わせるほどなのか?」
ダルトンはゼノンにそう聞く。ゼノンは目を閉じて口を開く。
「確実な証拠はない、せやけど奴をそこらの連中と同じ物差しで見るべきではないと感じるの。なんか見ていてワクワクするんよな」
ゼノンはシンジの可能性を嬉々として話す。そして魔力が少しずつ高まり、
「せやから、奴を最高の状態でぶっ潰す!」
ゼノンは拳を強く握る。高まっている魔力はほとばしり、周りの人間が慌て始めた。
「おい、ゼノン魔力を抑えろ!!」
ダルトンを先頭に、複数人がゼノンの体を押さえつけて落ち着かせる。普段は冷静沈着なダルトンが大急ぎで止めに入る。
「おお、すまんすまん」
「ったく、興奮したらすぐに魔力高めるくせ、本当どうにかした方がいいぞ」
ダルトンは軽くゼノンの方に手を置いてそう告げる。ゼノンはわかっていると軽くうなづく。それを見て、他の闘士たちも一安心した。
「お前もそう思うやろ、アイシャ」
部屋の隅で静かに立っていたアイシャに声をかけるゼノン。アイシャは呼ばれるとすぐに近づき
「…そうね、見どころがある少年ね」
「アイシャが他人に興味を持つとはのう、しかも行動を一部ともにしとると」
「…何が言いたいの?」
少し踏み込んだような発言だったのか、アイシャは少しだけゼノンに鋭い視線を向ける。向けられたゼノンは両手を軽くあげて、
「別にそこまでおもてへんで、ただ違和感を覚えただけっちゅうわけや。気を悪くしたんやったらすまんの、何か飲み物でも奢ろか?」
「…いい」
そういってアイシャは部屋から出て行った。それを皮切りに他の闘士たちも出ていった。そして残ったのはダルトンとゼノンだけとなった。
「それじゃあ、俺たちもしばらく2人きりでは会わない方がいいかもな。今更だけどな」
「せやな、ないとはおもうが試合で情が湧いても困るしのう」
ゼノンとダルトンは拳と拳を合わせると、2人も部屋を後にした。
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