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第11章 テイマーの街
第188話 王者の一撃
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試合が開始してから、おおよそ5分が経過した。ザークは短剣をメインに機動力を生かした戦法をとっている。予選のバトルロワイヤルであれば、単純な攻撃だけでもほとんどの選手を倒せていただろうが、相手はこの闘技場のカリスマのゼノンさんだ。
「あれだけ手数の多い攻撃にも関わらず、すべて正確に対処していますね」
ゼノンさんは攻撃の95%をかわし、時には蹴りで剣を弾くことでザークの攻撃を防いでいる。攻撃は喰らっていないが、いまだに自身から攻めに行っているシーンは一度もない。
「ゼノンさんは何か狙っているんですか?流石に何回かは攻撃に動いても良かったと思うんですが」
「ああ、ゼノンはあえて自分から動いていないんだ」
「?どういうことですか?」
「予選の時は派手に、かつスピーディーに戦う方が観客を沸かせられるけど、今回は瞬殺では流石に物足りないだろう。時間をかけすぎても、だれるからあんまりいいとも言えないが」
自分から行かない理由は、観客のためのパフォーマンスということか。普段相手にすることが魔物ばかりだから、そういう感覚は中々持てないな。
「そろそろやな」
「いつまで回避してるつもりなんだ。あんたが魅せるために回避に専念して時間を稼いでいるのはわかっている。俺に攻撃しないと意味ないぞ」
ゼノンさんが、ザークの言葉を聞くと大きなため息をついた。
「は~~、何をゆうとんねや。お前のためにこうして5分間は猶予を与えてやってんや。いきなり倒すのは流石に酷やと思って、チャンスを与えたのにのう。まあええか、それじゃあとっとと終わらせよか」
ゼノンさんは一気に魔力を込め始めた。魔力の動きは全く淀みがなく、それでいて力強い。遠くから見ている俺ですらこれだけプレッシャーを感じているのだから、目の前で対峙しているザークに対するそれは比べものにもならないだろう。
「(もしこのまま勝ち進めば、俺が相手になるのかもしれないのか)」
このトーナメントで結果を出すことを目標にするのであれば、避けては通れない相手である。そのことはもちろん最初から分かっていたことではあるが、改めて考えると背筋が凍るな。
「それがあなたの全力のようだな。つまり、その一撃を凌げることができれば俺にもまだまだ勝機があるということだ」
ザークはそう言うと、彼もまた魔力をためそして身体強化を施す。完全に防御態勢に入っている。
「中々悪ないやん。あと数年この闘技場で戦えばさらに強なりそうやな。俺のレベルには全く到達してないけどな」
「最後までどうなるかはわからないもんだろ」
「その意気込みだけは認めたるわ。そういう反骨精神は大事や、この闘技場でなり上げていくには常に挑戦し続ける必要がある」
ゼノンさんは仁王立ちの体勢から、腰を軽く落とし右手を少し前に突き出す。おそらくゼノンさんの攻撃が繰り出される。ザークもため込んだ魔力をすべて防御力に返還させている。
「いくぞ『飢餓狼の爪《ウルブスクロー》』」
独特の構えから、一瞬にしてゼノンさんはザークの背後に回っていた。そのザークは大きな切り傷を受けてその場で倒れ込んだ。
「そこまで、勝者ゼノン!!」
「やっぱしあっけなかったのう。怪我しなかっただけマシと考えるべきやろうけど、あんまし面白なかったの」
トーナメントに上がってきている選手だ。決して弱い選手ではないとは思う。そんな相手にも、たったの一撃、しかも完全に防御に徹していた相手をと考えると、本当に底知れない存在だ。
「シンジ、驚いているようだが、本気どころかあれはジャブ程度なものだぞ」
「へえ!?マジですか」
「うん、おおマジよ。今のは演出の一環で一撃性能が高いように見せているが、あいつは高火力を高機動力かつ圧倒的な手数で倒していく戦闘スタイルだ。今の試合はあいつの5%も見せていない。予選の時のほうが余程力を出していたな」
予選の時はひたすら暴れていたことを考えると、本来はもっと火力とその攻撃範囲も今の戦闘内容とは比べものにならないんだろうな。
そして、そんなゼノンさんの相手をするダルトンさんもまたさらに脅威に感じてしまうな。
「あれだけ手数の多い攻撃にも関わらず、すべて正確に対処していますね」
ゼノンさんは攻撃の95%をかわし、時には蹴りで剣を弾くことでザークの攻撃を防いでいる。攻撃は喰らっていないが、いまだに自身から攻めに行っているシーンは一度もない。
「ゼノンさんは何か狙っているんですか?流石に何回かは攻撃に動いても良かったと思うんですが」
「ああ、ゼノンはあえて自分から動いていないんだ」
「?どういうことですか?」
「予選の時は派手に、かつスピーディーに戦う方が観客を沸かせられるけど、今回は瞬殺では流石に物足りないだろう。時間をかけすぎても、だれるからあんまりいいとも言えないが」
自分から行かない理由は、観客のためのパフォーマンスということか。普段相手にすることが魔物ばかりだから、そういう感覚は中々持てないな。
「そろそろやな」
「いつまで回避してるつもりなんだ。あんたが魅せるために回避に専念して時間を稼いでいるのはわかっている。俺に攻撃しないと意味ないぞ」
ゼノンさんが、ザークの言葉を聞くと大きなため息をついた。
「は~~、何をゆうとんねや。お前のためにこうして5分間は猶予を与えてやってんや。いきなり倒すのは流石に酷やと思って、チャンスを与えたのにのう。まあええか、それじゃあとっとと終わらせよか」
ゼノンさんは一気に魔力を込め始めた。魔力の動きは全く淀みがなく、それでいて力強い。遠くから見ている俺ですらこれだけプレッシャーを感じているのだから、目の前で対峙しているザークに対するそれは比べものにもならないだろう。
「(もしこのまま勝ち進めば、俺が相手になるのかもしれないのか)」
このトーナメントで結果を出すことを目標にするのであれば、避けては通れない相手である。そのことはもちろん最初から分かっていたことではあるが、改めて考えると背筋が凍るな。
「それがあなたの全力のようだな。つまり、その一撃を凌げることができれば俺にもまだまだ勝機があるということだ」
ザークはそう言うと、彼もまた魔力をためそして身体強化を施す。完全に防御態勢に入っている。
「中々悪ないやん。あと数年この闘技場で戦えばさらに強なりそうやな。俺のレベルには全く到達してないけどな」
「最後までどうなるかはわからないもんだろ」
「その意気込みだけは認めたるわ。そういう反骨精神は大事や、この闘技場でなり上げていくには常に挑戦し続ける必要がある」
ゼノンさんは仁王立ちの体勢から、腰を軽く落とし右手を少し前に突き出す。おそらくゼノンさんの攻撃が繰り出される。ザークもため込んだ魔力をすべて防御力に返還させている。
「いくぞ『飢餓狼の爪《ウルブスクロー》』」
独特の構えから、一瞬にしてゼノンさんはザークの背後に回っていた。そのザークは大きな切り傷を受けてその場で倒れ込んだ。
「そこまで、勝者ゼノン!!」
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「シンジ、驚いているようだが、本気どころかあれはジャブ程度なものだぞ」
「へえ!?マジですか」
「うん、おおマジよ。今のは演出の一環で一撃性能が高いように見せているが、あいつは高火力を高機動力かつ圧倒的な手数で倒していく戦闘スタイルだ。今の試合はあいつの5%も見せていない。予選の時のほうが余程力を出していたな」
予選の時はひたすら暴れていたことを考えると、本来はもっと火力とその攻撃範囲も今の戦闘内容とは比べものにならないんだろうな。
そして、そんなゼノンさんの相手をするダルトンさんもまたさらに脅威に感じてしまうな。
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