177 / 194
第11章 テイマーの街
第176話 トーナメント開始
しおりを挟む
アイシャさんもまだ昼ご飯は食べていなかったとのことなので、一緒に食べることにした。
「アイシャさん朝からいませんでしたが、何かありましたか?明日の準備ってところですか」
「...そんなところね」
いつも物静かなアイシャさんだが、今日は特に静かだ。やはり明日の決勝トーナメントが影響しているからだろうか。行動を共にしているとはいえ、まだ出会ってから日が圧倒的に浅い。そんな関係性の中明日敵になる可能性もある。
「(まあ会話が弾むなんてことはないな)」
アイシャさんは意外と早食いなのか、俺とシルよりも先に食事を終えるとまだ食べているルーに抱き着いた。本当にこの人の行動は読めないな。
「ピーーー!!」
前にアイシャさんに抱き着かれたときは嬉しそうにしていたルーだが、暴れており離して欲しそうにしている。アイシャさんは渋々といった感じでルーから離れた。ルーはすぐに残りのご飯を食べ始めた。
「...ごめん、シルさん」
「あんまり食事中には干渉しないほうがいいんじゃないかなとは思います。この子はかなり食欲旺盛なので、邪魔されて少し機嫌が悪くなったのかもしれませんね」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「それではこれより【グレートモスリーグ】決勝トーナメントを開催いたします」
ついに【グレートモスリーグ】の決勝トーナメントが行われる。
「決勝トーナメントでは、1対1の時間無制限で基本的にはどんな戦法を使ってもOK。ただし対戦相手を死亡に至らしめた場合には厳格な処罰が下されますのでお気を付けください」
魔法も使用可能で、武器も種類を問わず使うことが許可されており従魔との戦闘も可能らしい。ただ、テイマーも同じ空間内にいないといけないため、テイマー自身にも戦闘能力が求められているためテイマーが出たことはないそうだ。
「決勝トーナメント1回戦、第1試合の選手の発表を行います」
決勝トーナメントの出場順などは一切公表されておらず、出場選手である8人も何も知らされていない。
「シンジ対グロッグ!!」
どうやら一発目から俺の出番のようだ。そして対戦相手のグロッグという選手は4試合目で勝ち上がってきたようだ。
「それじゃあ行ってくる。アクアたちはお利口に留守番しといてくれよ」
アクアたちスライムが一斉に触手を伸ばして俺に応援してくれた。ルール的には同行させることは可能であるが、俺は1人で戦うことにした。アクアたちは俺を見送ると、アクアを先頭にシルたちがすでに取っている席のほうに移動した。
ただ勝つだけなら一緒に戦うのがベストではある。だが今回俺がこの大会に参加したのは単に勲章が欲しいだけじゃない。ここで強者と戦うことでこの先の未知の敵とも対抗できるすべを何かしら手に入れるためだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そのころ、選手発表がされ出場のない選手たちの控室では、
「いきなりシンジの登場か。こいつ楽しみやんなー」
「グロッグが相手か。なかなか見所がある戦いになりそうだな」
この後に戦いを控えているダルトンとゼノンがシンジの試合について話していた。グロッグという選手は魔法が得意でありながらも近距離戦においても冒険者ではCランク以上の実力を持っている。
「シンジがノイドと戦ったのは近距離戦やったからそこまで大きな問題はないと思う。しかし魔法に対してどれくらい対抗できるかが重要になりそうだな」
「グロッグの奴は去年からどれくらい実力をつけているかが見ものやな」
グロッグは普段冒険者としての活動が多く、ミラーゼルの闘技大会の参加は少なく大きな大会に数回出場する程度である。別の大会では優勝している経験も持っているためゼノン達にも存在をある程度知られている。
「予選で同じブロックだったが、かなり力をつけていたな。俺以外に残った3人のなかでは一番力を持っていたな。シンジの実力がまだまだ未知数だが、すぐに終わるような試合にはならないだろうな」
「ノイドを倒しているんや、こんなところで簡単に負けるような男やないぞ」
「...だな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「君が噂の大型ルーキーシンジか」
どうやらグロッグ選手は俺のことを知ってたようだ。いや、決勝トーナメントに上がっている以上ある程度注目は受けるか。
「昨年直接倒されたノイドに、今年借りを返そうと思っていたんだけどね。まあいいさ、君をここでしっかり叩いて今年は優勝をもらう予定だ」
グロッグ選手は両手に魔法陣を発生させた。
「そう簡単に負けるわけにはいかないんでね。すぐに終わるとは思わないようお願いしますね」
「それでは、試合開始!!」
「アイシャさん朝からいませんでしたが、何かありましたか?明日の準備ってところですか」
「...そんなところね」
いつも物静かなアイシャさんだが、今日は特に静かだ。やはり明日の決勝トーナメントが影響しているからだろうか。行動を共にしているとはいえ、まだ出会ってから日が圧倒的に浅い。そんな関係性の中明日敵になる可能性もある。
「(まあ会話が弾むなんてことはないな)」
アイシャさんは意外と早食いなのか、俺とシルよりも先に食事を終えるとまだ食べているルーに抱き着いた。本当にこの人の行動は読めないな。
「ピーーー!!」
前にアイシャさんに抱き着かれたときは嬉しそうにしていたルーだが、暴れており離して欲しそうにしている。アイシャさんは渋々といった感じでルーから離れた。ルーはすぐに残りのご飯を食べ始めた。
「...ごめん、シルさん」
「あんまり食事中には干渉しないほうがいいんじゃないかなとは思います。この子はかなり食欲旺盛なので、邪魔されて少し機嫌が悪くなったのかもしれませんね」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「それではこれより【グレートモスリーグ】決勝トーナメントを開催いたします」
ついに【グレートモスリーグ】の決勝トーナメントが行われる。
「決勝トーナメントでは、1対1の時間無制限で基本的にはどんな戦法を使ってもOK。ただし対戦相手を死亡に至らしめた場合には厳格な処罰が下されますのでお気を付けください」
魔法も使用可能で、武器も種類を問わず使うことが許可されており従魔との戦闘も可能らしい。ただ、テイマーも同じ空間内にいないといけないため、テイマー自身にも戦闘能力が求められているためテイマーが出たことはないそうだ。
「決勝トーナメント1回戦、第1試合の選手の発表を行います」
決勝トーナメントの出場順などは一切公表されておらず、出場選手である8人も何も知らされていない。
「シンジ対グロッグ!!」
どうやら一発目から俺の出番のようだ。そして対戦相手のグロッグという選手は4試合目で勝ち上がってきたようだ。
「それじゃあ行ってくる。アクアたちはお利口に留守番しといてくれよ」
アクアたちスライムが一斉に触手を伸ばして俺に応援してくれた。ルール的には同行させることは可能であるが、俺は1人で戦うことにした。アクアたちは俺を見送ると、アクアを先頭にシルたちがすでに取っている席のほうに移動した。
ただ勝つだけなら一緒に戦うのがベストではある。だが今回俺がこの大会に参加したのは単に勲章が欲しいだけじゃない。ここで強者と戦うことでこの先の未知の敵とも対抗できるすべを何かしら手に入れるためだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そのころ、選手発表がされ出場のない選手たちの控室では、
「いきなりシンジの登場か。こいつ楽しみやんなー」
「グロッグが相手か。なかなか見所がある戦いになりそうだな」
この後に戦いを控えているダルトンとゼノンがシンジの試合について話していた。グロッグという選手は魔法が得意でありながらも近距離戦においても冒険者ではCランク以上の実力を持っている。
「シンジがノイドと戦ったのは近距離戦やったからそこまで大きな問題はないと思う。しかし魔法に対してどれくらい対抗できるかが重要になりそうだな」
「グロッグの奴は去年からどれくらい実力をつけているかが見ものやな」
グロッグは普段冒険者としての活動が多く、ミラーゼルの闘技大会の参加は少なく大きな大会に数回出場する程度である。別の大会では優勝している経験も持っているためゼノン達にも存在をある程度知られている。
「予選で同じブロックだったが、かなり力をつけていたな。俺以外に残った3人のなかでは一番力を持っていたな。シンジの実力がまだまだ未知数だが、すぐに終わるような試合にはならないだろうな」
「ノイドを倒しているんや、こんなところで簡単に負けるような男やないぞ」
「...だな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「君が噂の大型ルーキーシンジか」
どうやらグロッグ選手は俺のことを知ってたようだ。いや、決勝トーナメントに上がっている以上ある程度注目は受けるか。
「昨年直接倒されたノイドに、今年借りを返そうと思っていたんだけどね。まあいいさ、君をここでしっかり叩いて今年は優勝をもらう予定だ」
グロッグ選手は両手に魔法陣を発生させた。
「そう簡単に負けるわけにはいかないんでね。すぐに終わるとは思わないようお願いしますね」
「それでは、試合開始!!」
13
お気に入りに追加
11,375
あなたにおすすめの小説
【R18】ひとりで異世界は寂しかったのでペット(男)を飼い始めました
桜 ちひろ
恋愛
最近流行りの異世界転生。まさか自分がそうなるなんて…
小説やアニメで見ていた転生後はある小説の世界に飛び込んで主人公を凌駕するほどのチート級の力があったり、特殊能力が!と思っていたが、小説やアニメでもみたことがない世界。そして仮に覚えていないだけでそういう世界だったとしても「モブ中のモブ」で間違いないだろう。
この世界ではさほど珍しくない「治癒魔法」が使えるだけで、特別な魔法や魔力はなかった。
そして小さな治療院で働く普通の女性だ。
ただ普通ではなかったのは「性欲」
前世もなかなか強すぎる性欲のせいで苦労したのに転生してまで同じことに悩まされることになるとは…
その強すぎる性欲のせいでこちらの世界でも25歳という年齢にもかかわらず独身。彼氏なし。
こちらの世界では16歳〜20歳で結婚するのが普通なので婚活はかなり難航している。
もう諦めてペットに癒されながら独身でいることを決意した私はペットショップで小動物を飼うはずが、自分より大きな動物…「人間のオス」を飼うことになってしまった。
特に躾はせずに番犬代わりになればいいと思っていたが、この「人間のオス」が私の全てを満たしてくれる最高のペットだったのだ。
誕生日当日、親友に裏切られて婚約破棄された勢いでヤケ酒をしましたら
Rohdea
恋愛
───酔っ払って人を踏みつけたら……いつしか恋になりました!?
政略結婚で王子を婚約者に持つ侯爵令嬢のガーネット。
十八歳の誕生日、開かれていたパーティーで親友に裏切られて冤罪を着せられてしまう。
さらにその場で王子から婚約破棄をされた挙句、その親友に王子の婚約者の座も奪われることに。
(───よくも、やってくれたわね?)
親友と婚約者に復讐を誓いながらも、嵌められた苛立ちが止まらず、
パーティーで浴びるようにヤケ酒をし続けたガーネット。
そんな中、熱を冷まそうと出た庭先で、
(邪魔よっ!)
目の前に転がっていた“邪魔な何か”を思いっきり踏みつけた。
しかし、その“邪魔な何か”は、物ではなく────……
★リクエストの多かった、~踏まれて始まる恋~
『結婚式当日、婚約者と姉に裏切られて惨めに捨てられた花嫁ですが』
こちらの話のヒーローの父と母の馴れ初め話です。
【完結】身売りした妖精姫は氷血公爵に溺愛される
鈴木かなえ
恋愛
第17回恋愛小説大賞にエントリーしています。
レティシア・マークスは、『妖精姫』と呼ばれる社交界随一の美少女だが、実際は亡くなった前妻の子として家族からは虐げられていて、過去に起きたある出来事により男嫌いになってしまっていた。
社交界デビューしたレティシアは、家族から逃げるために条件にあう男を必死で探していた。
そんな時に目についたのが、女嫌いで有名な『氷血公爵』ことテオドール・エデルマン公爵だった。
レティシアは、自分自身と生まれた時から一緒にいるメイドと護衛を救うため、テオドールに決死の覚悟で取引をもちかける。
R18シーンがある場合、サブタイトルに※がつけてあります。
ムーンライトで公開してあるものを、少しずつ改稿しながら投稿していきます。
兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜
藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。
__婚約破棄、大歓迎だ。
そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った!
勝負は一瞬!王子は場外へ!
シスコン兄と無自覚ブラコン妹。
そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。
周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!?
短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています
カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
心を切りとるは身を知る雨
水城ひさぎ
ライト文芸
未央(みお)にはかつて婚約者がいた。婚約者の裏切りにより、婚約を解消し、まったく縁のない土地に引っ越した未央は、切り絵作家として店を開く。
未央の作る作品はすべて、雨がテーマ。作品の雨は泣けない私の涙。そう語る未央の店に、中学教師の朝晴(ともはる)が訪ねてくる。朝晴は何かと未央におせっかいを焼く。傷ついた未央の心を癒すのは朝晴なのか、それとも……。
私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。
彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。
それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。
そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。
公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。
そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。
「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」
こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。
彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。
同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。
本物の聖女じゃないと追放されたので、隣国で竜の巫女をします。私は聖女の上位存在、神巫だったようですがそちらは大丈夫ですか?
今川幸乃
ファンタジー
ネクスタ王国の聖女だったシンシアは突然、バルク王子に「お前は本物の聖女じゃない」と言われ追放されてしまう。
バルクはアリエラという聖女の加護を受けた女を聖女にしたが、シンシアの加護である神巫(かんなぎ)は聖女の上位存在であった。
追放されたシンシアはたまたま隣国エルドラン王国で竜の巫女を探していたハリス王子にその力を見抜かれ、巫女候補として招かれる。そこでシンシアは神巫の力は神や竜など人外の存在の意志をほぼ全て理解するという恐るべきものだということを知るのだった。
シンシアがいなくなったバルクはアリエラとやりたい放題するが、すぐに神の怒りに触れてしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる