86 / 194
第8章 なびく銀色の風
第85話 天使として
しおりを挟む
「はあ、はあ、はあ、」
私はなんでこんなにも弱いんだろう。私たち天使を生み出す神様はなぜ平等に生み出さないのか。なぜ私は神から見放されたのか。
「はあ、もうダメかもしれない。」
人間界の調査に来て3日。私は天使の中で最下位に属する。仕事は主に人間界の見回りだ。人間の悪事や魔物の進行具合を調べるためだ。
みんなチームで探索するけど、私は一人。私は無能と言われいろんな天使に声をかけたが全て断わられた。私の力では戦力にはならない、と。
今はキエハナ地区を探索している。ここ近辺では大量にモンスターが消えている。万が一先駆モンスターの出現があれば総員で戦いに行かなければいけない。彼らは本来の種族を明らかに凌駕している実力を兼ね備えている。最弱種の1つのゴブリンでさえDランク、コボルトやオークなどを簡単に押しのけてしまう。
「何がいけなかったんだろ。」
私は生きている間常にそう思い続けてきた。天使としては明らかに弱い。人間界の一般人より少し強い程度。魔法もろくに使えない。
でも私は頑張った。頑張ったつもりだ。能力が無いんだったらせめて知識だけでも他の天使より優れていたかった。けど能力至上主義の天界では結局ほとんど意味がなかった。なんとか人間界の知識の量から調査隊に引っかかった。これがなかったら私はもう生きていなかったかもしれない。
それでももう終わりになるかもしれない。食料は尽きてしまい、まともに食べれてない。その上いつ襲われるかわからず夜も全然寝れてない。もしチームだったら夜の警戒も交代で寝ることができる。力を合わせれば多少格上のモンスターにも勝てる。けど私はゴブリンが限界だ。肉はまともに食べれない。飲み水もこの近くは海の影響で塩分濃度が近くの川でも高くなってる。飲めないこともないが飲みすぎてしまえば何かしらの異常が出てくる。
「はあ、食事事情よりも魔力だな。もうだいぶからっからだ。」
一般的に魔力を得るにはちゃんとした食事、睡眠、魔力用ポーションだ。だが私にはもうどの手段も残ってない。次第に魔力が尽きてきた。運が良かったのはおそらくこの大量にモンスターが消えたおかげ
で戦闘の数が少なかったことだろう。
「こんなこと思ってても仕方ない。今から食べれる果物でも探しに行かないと。」
私はとにかく生き延びて、いつか私を見捨てた人たちに、何より神様に見返してやるんだ。
~~~~~~~~
「ガアーーーゴーー!」
「!?この鳴き声!?もしかしてベアオーグリズリー!?」
まずい、キエハナ近辺ではあまりにも強いモンスターだ。ここはEランクの森だがこのモンスターはCランクの中でもかなり強い部類に入る。
「でも私の力じゃ……いや、行くしかない!!」
私は天使、人間界の安全を守るために降り立ったんだ。実力差があってもその使命を破ることなんてできない。
私は置いていた長弓を持ち、矢筒も肩にかけて鳴き声が聞こえた方向に向かう。
~~~~~~~~
「ガアーー!」
茂みに隠れて、鳴き声が聞こえた場所を見る。
「間違いない、あの鳴き声に姿、ベアオーグリズリーだ。」
あの種族は生まれた時にかならず右目に切り傷を入れている。目の前にいるのも例外ではない。そして、体格も2メートルは超えている。
「だけど、探知能力は低い。茂みに隠れながらならなんとかできるかな。」
私は矢筒から一本矢を取り弦に引っ掛ける。そしてなけなしの魔力を矢に注ぐ。こうすることによって矢の硬さやスピードが上がり威力や貫通力が上がる。
ベアオーグリズリーは眉間が特に弱点だ。他の熊よりもダメージが通りやすい。
ギリギリギリ……パシュン!
「アーーガーーー!」
よし!綺麗に眉間に当たった。流石のベアオーグリズリーもその痛みに手で患部を覆い始める。この隙にまた矢を取り弦に引っ掛ける。
「グル、」
「!?」
気づかれた!?いや、そんなはずはない。魔力探知がまずできない種族だ。もしかしたら方向から逆算することもできるかもしれないが、知能も高くはない。だがその可能性も捨てきれない。見つからないようにコソコソと別の茂みに移動する。
「グル?グー……」
やっぱり、見つかってなかった。結局ベアオーグリズリーは刺さった矢を折ってただ周りをキョロキョロと見渡すのみ。
もう一度!
「カアーーー!」
よし!2発目も当たった、この作戦ならなんとかいけるかもしれない。矢はまだ30本残ってる。問題は私の魔力が尽きた時だ。
魔力を注いだときは通常の3倍は強化されている。
ただそれ以上に大事なのは貫通力の上昇だ。もし通常の矢で射って刺さらなかった時が一番まずい。このときは別の作戦を考えるしかない。
「私は、絶対に諦めない!!」
-----------------------------------------------
新章突入です!今回は少し新キャラの視点が入るためシンジ側の話は少し後になります。
いつもお気に入り登録やご感想ありがとうございます。最近は返事ができない時もありますがちゃんと見ています!
私はなんでこんなにも弱いんだろう。私たち天使を生み出す神様はなぜ平等に生み出さないのか。なぜ私は神から見放されたのか。
「はあ、もうダメかもしれない。」
人間界の調査に来て3日。私は天使の中で最下位に属する。仕事は主に人間界の見回りだ。人間の悪事や魔物の進行具合を調べるためだ。
みんなチームで探索するけど、私は一人。私は無能と言われいろんな天使に声をかけたが全て断わられた。私の力では戦力にはならない、と。
今はキエハナ地区を探索している。ここ近辺では大量にモンスターが消えている。万が一先駆モンスターの出現があれば総員で戦いに行かなければいけない。彼らは本来の種族を明らかに凌駕している実力を兼ね備えている。最弱種の1つのゴブリンでさえDランク、コボルトやオークなどを簡単に押しのけてしまう。
「何がいけなかったんだろ。」
私は生きている間常にそう思い続けてきた。天使としては明らかに弱い。人間界の一般人より少し強い程度。魔法もろくに使えない。
でも私は頑張った。頑張ったつもりだ。能力が無いんだったらせめて知識だけでも他の天使より優れていたかった。けど能力至上主義の天界では結局ほとんど意味がなかった。なんとか人間界の知識の量から調査隊に引っかかった。これがなかったら私はもう生きていなかったかもしれない。
それでももう終わりになるかもしれない。食料は尽きてしまい、まともに食べれてない。その上いつ襲われるかわからず夜も全然寝れてない。もしチームだったら夜の警戒も交代で寝ることができる。力を合わせれば多少格上のモンスターにも勝てる。けど私はゴブリンが限界だ。肉はまともに食べれない。飲み水もこの近くは海の影響で塩分濃度が近くの川でも高くなってる。飲めないこともないが飲みすぎてしまえば何かしらの異常が出てくる。
「はあ、食事事情よりも魔力だな。もうだいぶからっからだ。」
一般的に魔力を得るにはちゃんとした食事、睡眠、魔力用ポーションだ。だが私にはもうどの手段も残ってない。次第に魔力が尽きてきた。運が良かったのはおそらくこの大量にモンスターが消えたおかげ
で戦闘の数が少なかったことだろう。
「こんなこと思ってても仕方ない。今から食べれる果物でも探しに行かないと。」
私はとにかく生き延びて、いつか私を見捨てた人たちに、何より神様に見返してやるんだ。
~~~~~~~~
「ガアーーーゴーー!」
「!?この鳴き声!?もしかしてベアオーグリズリー!?」
まずい、キエハナ近辺ではあまりにも強いモンスターだ。ここはEランクの森だがこのモンスターはCランクの中でもかなり強い部類に入る。
「でも私の力じゃ……いや、行くしかない!!」
私は天使、人間界の安全を守るために降り立ったんだ。実力差があってもその使命を破ることなんてできない。
私は置いていた長弓を持ち、矢筒も肩にかけて鳴き声が聞こえた方向に向かう。
~~~~~~~~
「ガアーー!」
茂みに隠れて、鳴き声が聞こえた場所を見る。
「間違いない、あの鳴き声に姿、ベアオーグリズリーだ。」
あの種族は生まれた時にかならず右目に切り傷を入れている。目の前にいるのも例外ではない。そして、体格も2メートルは超えている。
「だけど、探知能力は低い。茂みに隠れながらならなんとかできるかな。」
私は矢筒から一本矢を取り弦に引っ掛ける。そしてなけなしの魔力を矢に注ぐ。こうすることによって矢の硬さやスピードが上がり威力や貫通力が上がる。
ベアオーグリズリーは眉間が特に弱点だ。他の熊よりもダメージが通りやすい。
ギリギリギリ……パシュン!
「アーーガーーー!」
よし!綺麗に眉間に当たった。流石のベアオーグリズリーもその痛みに手で患部を覆い始める。この隙にまた矢を取り弦に引っ掛ける。
「グル、」
「!?」
気づかれた!?いや、そんなはずはない。魔力探知がまずできない種族だ。もしかしたら方向から逆算することもできるかもしれないが、知能も高くはない。だがその可能性も捨てきれない。見つからないようにコソコソと別の茂みに移動する。
「グル?グー……」
やっぱり、見つかってなかった。結局ベアオーグリズリーは刺さった矢を折ってただ周りをキョロキョロと見渡すのみ。
もう一度!
「カアーーー!」
よし!2発目も当たった、この作戦ならなんとかいけるかもしれない。矢はまだ30本残ってる。問題は私の魔力が尽きた時だ。
魔力を注いだときは通常の3倍は強化されている。
ただそれ以上に大事なのは貫通力の上昇だ。もし通常の矢で射って刺さらなかった時が一番まずい。このときは別の作戦を考えるしかない。
「私は、絶対に諦めない!!」
-----------------------------------------------
新章突入です!今回は少し新キャラの視点が入るためシンジ側の話は少し後になります。
いつもお気に入り登録やご感想ありがとうございます。最近は返事ができない時もありますがちゃんと見ています!
38
お気に入りに追加
11,375
あなたにおすすめの小説
家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから
ハーーナ殿下
ファンタジー
冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。
だが少年は自覚していなかった。家族は【天才魔道具士】の父、【聖女】の母、【剣聖】の姉、【大魔導士】の兄、【元勇者】の祖父、【元魔王】の祖母で、自分が彼らの万能の才能を受け継いでいたことを。
これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!
召喚されたけど要らないと言われたので旅に出ます。探さないでください。
udonlevel2
ファンタジー
修学旅行中に異世界召喚された教師、中園アツシと中園の生徒の姫島カナエと他3名の生徒達。
他の三人には国が欲しがる力があったようだが、中園と姫島のスキルは文字化けして読めなかった。
その為、城を追い出されるように金貨一人50枚を渡され外の世界に放り出されてしまう。
教え子であるカナエを守りながら異世界を生き抜かねばならないが、まずは見た目をこの世界の物に替えて二人は慎重に話し合いをし、冒険者を雇うか、奴隷を買うか悩む。
まずはこの世界を知らねばならないとして、奴隷市場に行き、明日殺処分だった虎獣人のシュウと、妹のナノを購入。
シュウとナノを購入した二人は、国を出て別の国へと移動する事となる。
★他サイトにも連載中です(カクヨム・なろう・ピクシブ)
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。
武雅
ファンタジー
この世界では8歳になると教会で女神からギフトを授かる。
人口約1000人程の田舎の村、そこでそこそこ裕福な家の3男として生まれたファインは8歳の誕生に教会でギフトを授かるも、授かったギフトは【器用貧乏】
前例の無いギフトに困惑する司祭や両親は貧乏と言う言葉が入っていることから、将来貧乏になったり、周りも貧乏にすると思い込み成人とみなされる15歳になったら家を、村を出て行くようファインに伝える。
そんな時、前世では本間勝彦と名乗り、上司と飲み入った帰り、駅の階段で足を滑らし転げ落ちて死亡した記憶がよみがえる。
そして15歳まであと7年、異世界で生きていくために冒険者となると決め、修行を続けやがて冒険者になる為村を出る。
様々な人と出会い、冒険し、転生した世界を器用貧乏なのに器用貧乏にならない様生きていく。
村を出て冒険者となったその先は…。
※しばらくの間(2021年6月末頃まで)毎日投稿いたします。
よろしくお願いいたします。
聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる