上 下
70 / 195
第6章 キエハナ編

第69話 引き付けますよー

しおりを挟む
 「きゅ?」

そうだ、俺達にはマロがいた。エンジェルスライム、いやエクスシアスライムのマロだ。結界魔法と付与魔法が得意なスライムが。だけど今はあんまり説明している時間が無い。

 「リーン!俺とアクアとテイロでリヴァイアサンをひきつけるから、その間にマロに付与魔法を説明してくれ。」

 「ピュー!!」

リーンは気合を入れるように腕を上げてマロに体を動かしたり、スライムボディを震わせたりしてマロに俺の考えていることを説明し始めた。しばらくするとマロとリーンの間に結界魔法が張られた。

 「よし、俺達はあいつをひきつけるぞ!!」

 「キュー!」

アクアとテイロはシュバッと腕をあげて気合をいれ、それぞれ持ち場のほうに移動し始めた。ただその前に、

 「ミニスライム達はまだいけるか?『治癒の風ヒールウインド』」

さっきの壁への激突でおそらくミニスライム達にもダメージが少なからず入ってるはずだ。だけどみんなは腕を伸ばして『大丈夫だよ。まだいける。』と伝えてくれた。心配なので回復魔法をかけるとよりいっそう装備の震えが増した。

準備が出来たところで早速リヴァイアサンのほうに突っ込む。さっきは真正面だったから相殺されたけど、ひきつけてから不意をついて撃てば入るだろう。それを察知したのか、テイロは『アースニードル』で数十本の岩を固めた棘がリヴァイアサンの顔面に向かって飛んでいく。しかしリヴァイアサンは容易く尻尾でそれらを一斉に壊す。

が、その間にアクアは溶解液をより濃度を高めた状態でリヴァイアサンの元に突っ込む。アースニードルを止めた尻尾が大きいためアクアが隠れることが出来た。そしてアクアはリヴァイアサンの顔に向かって溶解液を打ち込んだ。表皮は強化されて溶解液は効かなかったが、さすがに体内に入れば効くと思ったんだろう。

 「ガアーーーーーーー」

しかし入る直前に水ブレスをギリギリで打ち出し、溶解液を流しだした。アクアの方面に飛ばされたが、あまりにとっさの出来事だったためあんまり良いブレスではなかったようでアクアはそのすべてを吸収しきった。これも受けきったのかリヴァイアサンは少しばかり余裕の表情だ

 「これで終わりと思うなよ!!『レーザーフレイム』」

俺はスライム二匹にリヴァイアサンがひきつけられてた間に密かに魔法を唱えていた。綺麗にひっかかってくれたくれたおかげで後ろから撃てる。

 「食らえ!」

 「グアーーーー!!」

さっきよりかは抑えられているが、それでもリヴァイアサンの背中がだいぶ焼かれた。すぐに魔法をかけて鎮火させる。  

 「ガアーーーーー」

さっきまで余裕だったのにいきなり背中から撃ち込まれて思いっきり怒り始めた。まあ、これも想定内。

 「よし!!アクアとテイロは今すぐリーンとマロのほうに戻ってくれ。俺がこいつをひきつける。」

 「キュー!」

アクアとテイロが元気よく腕を上げてマロたちの元に戻って、囲うように配置について守っている。俺は今からこいつをひきつけるわけだが、そこまできついとは思ってない。

 「ほれほれ、こっちまで来てみな!!」

 「ギャアーーー!」

怒ったやつほどひきつけるのは簡単だ。冷静さを失い、本来とるべきでない行動をとってしまい思わぬ事態にも発展してしまうことだってある。問題なのはそれでも攻撃を当てられたり、まったくダメージが通らないことだが、こいつのスピードは俺が本気逃げれば追いつけないだろうし、ダメージが通らないのもそもそも攻撃する気がないから問題ない。

 「よいしょっと!」

うん問題ないな。怒って全体的にステータスがあがっているが、まだスピードは俺のほうが十分高い。腕がくれば上に飛び、水ブレスが来たら『アースウォール』で時間稼ぎをしてかわす。ただ一方的に避けているといずれ俺を狙わなくなるからところどころで火魔法や打撃を加えて引き寄せ続ける。

~~~~~~~~~

 「ピュー!!」

おお!!終わった!リーンの鳴き声を聞いて急いでマロのほうに戻る。アクアとテイロにその間にリヴァイアサンのことを引き寄せてもらう。

 「マロ!!いけるか?」

 「きゅー!!」

早速戻り、マロに付与魔法を頼む。リーンががんばって説明してくれたようで、すぐにマロは魔法を唱え始めた。どんどん力がわいてくる。

ステータスアップ:攻撃力上昇、素早さ上昇、魔力上昇


 「よし、これだけあれば十分だ。それじゃリーンは引き続きマロのそばにいてくれ。」

 「きゅー♪」

 「ピュー!!」

俺がその場を離れると、マロの周りにまた結界が張られる。俺は早速リヴァイアサンの元に走りこむが、

 「なんかすごいはやくなってないか?」

すごいからだが軽い。だけど弱くなった感じはしない。到着すると、アクアたちががんばってリヴァイアサンを引き寄せていた。

 「お待たせ!!後は俺に任せろ!!」

リヴァイアサンは俺に気づき、標的をアクア、テイロから俺にかわった。まあ、スピードが上がったおかげで、問題無くリヴァイアサンの元に走りこんで、顔面のほうに寄る。


 「よいしょ!!」

ボギャ!!

 「....え?」

リヴァイアサンの横っ面を蹴ると、普通にリヴァイアサンが吹っ飛んで壁に激突した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

追放されたテイマー半年後に従魔が最強になったのでまた冒険する

Miiya
ファンタジー
「テイマーって面白そうだったから入れてたけど使えんから出ていって。」と言われ1ヶ月間いたパーティーを追放されてしまったトーマ=タグス。仕方なく田舎にある実家に戻りそこで農作業と副業をしてなんとか稼いでいた。そんな暮らしも半年が経った後、たまたま飼っていたスライムと小鳥が最強になりもう一度冒険をすることにした。そしてテイマーとして覚醒した彼と追放したパーティーが出会い彼の本当の実力を知ることになる。

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

おばあちゃん(28)は自由ですヨ

七瀬美緒
ファンタジー
異世界召喚されちゃったあたし、梅木里子(28)。 その場には王子らしき人も居たけれど、その他大勢と共にもう一人の召喚者ばかりに話し掛け、あたしの事は無視。 どうしろっていうのよ……とか考えていたら、あたしに気付いた王子らしき人は、あたしの事を鼻で笑い。 「おまけのババアは引っ込んでろ」 そんな暴言と共に足蹴にされ、あたしは切れた。 その途端、響く悲鳴。 突然、年寄りになった王子らしき人。 そして気付く。 あれ、あたし……おばあちゃんになってない!? ちょっと待ってよ! あたし、28歳だよ!? 魔法というものがあり、魔力が最も充実している年齢で老化が一時的に止まるという、謎な法則のある世界。 召喚の魔法陣に、『最も力――魔力――が充実している年齢の姿』で召喚されるという呪が込められていた事から、おばあちゃんな姿で召喚されてしまった。 普通の人間は、年を取ると力が弱くなるのに、里子は逆。年を重ねれば重ねるほど力が強大になっていくチートだった――けど、本人は知らず。 自分を召喚した国が酷かったものだからとっとと出て行き(迷惑料をしっかり頂く) 元の姿に戻る為、元の世界に帰る為。 外見・おばあちゃんな性格のよろしくない最強主人公が自由気ままに旅をする。 ※気分で書いているので、1話1話の長短がバラバラです。 ※基本的に主人公、性格よくないです。言葉遣いも余りよろしくないです。(これ重要) ※いつか恋愛もさせたいけど、主人公が「え? 熟女萌え? というか、ババ專!?」とか考えちゃうので進まない様な気もします。 ※こちらは、小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

異世界巻き込まれ転移譚~無能の烙印押されましたが、勇者の力持ってます~

影茸
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれ異世界に転移することになった僕、羽島翔。 けれども相手の不手際で異世界に転移することになったにも関わらず、僕は巻き込まれた無能と罵られ勇者に嘲笑され、城から追い出されることになる。 けれども僕の人生は、巻き込まれたはずなのに勇者の力を使えることに気づいたその瞬間大きく変わり始める。

処理中です...