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第5章 キエハナへ編

第51話 森って何かと遭遇するね

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勇者一行を粉砕してから翌日。キエハナはバームから約一週間かかるらしい。まだ3日目だ。森も後1日ぐらいかかる。

 「でもここの森はいろんな植物が生えているな。」

風魔法を得意としているリーンは、植物にも造形が深いようで、以前の畑栽培も彼女(?)がかなり先導していたそうだ。だから今でもかなりの植物を採っている。スライム達は体内に物をある程度保存できる。そのためリーンは気になったものを全て保管した後本当にいるかどうかを判断するそうだ。このおかげでみんな用にカバンを買う必要がなくなった。

そんな様子をマロはじっくりと俺の頭の上で見ている。そういえばマロはずっと頭の上にいる。理由を聞いたら、まだ子スライムだから地面の砂や砂利を常に吸収することができないそうだ。だからもし下に下ろしたら、毎回拭かないといけなくなる。マロはあれ以来大きくならなくなり、5センチから14センチほどで成長が止まった。だから特に重く感じない。今度みんなの体重でも測ってみようかな。

 「ピュ!」

 「ん、リーンなんか見つけたの?」

リーンは腕を伸ばして何かの草を俺の手に渡してくる。何かはわからないけど、魔力を感じる。この前の霊薬草の比じゃない。すると、マロが頭の上からニョロニョロと腕を伸ばして、それを取る。

 「お、おいマロ!何やって……食べてるのか?」

 「きゅー♪、きゅわ!、けぷ、」

おいおい、小さくげっぷまでしてるよ。でも満足したようで、プルプルと震えている。でもこれはなんだったんだろうか。

 「リーン、一応それいくつか採集しておいて。」

 「ピュー!」

キエハナに着いた時に調べよう。マロは食べれないものは基本食べないから危険はないと思うが、げっぷしたのが少しきになるな。なんなんだろう。

~~~~~~~~

 「お、コボルトの群か?」

あれからしばらく歩いてると、数十匹もいるコボルトの大群を見つけた。何をしているのかと茂みに隠れて様子を見る。

 「な、あれは!!」

エルフじゃないか。耳はとんがっており、ボッキュンボンのナイスバデー。そして片手に弓矢を持っている。テンプレ通りのエルフだった。

 「て、そんなこと考えるべきじゃない!!」

コボルト数十匹に対してエルフの方はわずか3人だ。しかも1人は負傷しているあたりあんまり力に差が無さそうだ。どうしようかな、首を突っ込むべきなのか?これで問題になっても困るな。

 「きゅー!!」

 「マロ!?……そうだな。」

考えるのはおかしかったな。マロが助けよう!と腕を伸ばしていた。マロは優しいな。昨日の勇者の時もワイバーンを倒したのもきっと助けようとしたからだろう。優しいスライムだな。

 「よし、それじゃあアクアとリーンとテイロの3匹のチームは回り込んで反対側から、俺は残りのスライム達と正面からぶつかる。それでいいか?」

その言葉にアクア達スライム3匹は元気よく腕を伸ばし、ぴょんぴょんと反対側に潜り込む。

 「マロ、俺が突っ込んだと同時にあのエルフの3人に結界魔法をかけてくれ。」

 「きゅー!」

よし、これで準備はOKだ。あとはアクア達が到着するのを待つだけだ。そして、エルボーパットになっているファイがプルルと震える。アクア達が着いた合図だ。ちなみにファイやルビなど最初のミニスライム達はアクア達と遠くから合図を送り合うぐらいはできるそうだ。(これはアクア達の圧倒的魔力による芸当であるが、シンジはそれをあんまりすごいとは感じてない。)

 「よし、行くぞ!」

茂みから飛び出す。そしてマロは頭からぴょんと跳ねて降りて、エルフ3人の方に駆け寄り結界魔法をかける。

 「な、何をする!!え!?結界?」

 「大丈夫、俺たちは味方だ。」

ひとまずコボルト達の相手をする。一体が飛び出してきたのを避けて、トラースキックで顔面を蹴る。その攻防を見てコボルト達は警戒する。そして今度は3体同時にくる。これを剣でコボルト達の剣を一気に折り、呆気にとられてるところを斬る。

 「キュー!」「ピュー!」

アクア達もいい感じなようだ。アクアは溶解液を銃弾のように飛ばして倒してる。リーンは風魔法を基本に飛ばして、ところどころ麻痺属性の溶解液を飛ばす。テイロは周りから集めて固めた巨大な岩石を、リーンの溶解液で動けなくなっているコボルト達にぶつける。それぞれが邪魔をしないように連携しあってる。

 「俺も負けてられないな。」

飛び出してくるコボルト一体を捕まえて、やり投げのように飛ばして後ろのコボルト達を倒す。そして、後ろから来たコボルトを引きつけ近くの木の枝に乗ってムーンサルトプレス。一気に6体近くなぎ倒した。

 「ギャアーーーーア!」

ムーンサルトを決めた後、突如大きい個体のコボルトが叫び始めた。そしてこっちに向かってくる。

 「よいしょ!」

走りこんでくるのに合わせ、足元を蹴り膝をついたところをバズソーキックで仕留める。完璧に延髄部にあたり、リーダーのコボルトはその場で顔から突っ伏した。

 「ふー、これで終わりかな。お、アクア達も終わったようだね。」

アクア達もすでに倒し終わったようですでに解体作業に入っていた。それに呼応するかのようにミニスライム達も装備から元の姿に戻って解体を手伝う。俺はいったんエルフ達の方に向かう。

 「大丈夫ですか?」

 「ええ、大丈夫よ。でもこれは一体何が。」

話してくれた彼女はかなりぽかーんとしている。たしかにスライムがこれだけの数のコボルトを倒しまくればそうなるか。

 「それは後で説明するので、ひとまず怪我の処置をしますね。」
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