【一話完結】3分で読める背筋の凍る怖い話

冬一こもる

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消えるコップ

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目が覚めたとき、口の中がとても乾いていた。
暖房をつけて、それに口を開けて寝ていたからだろう。
我ながらひどい口臭もする。


布団から這い出て、キッチンへと向かう。
マットレスに足が沈み、寝起きのせいでふらついてしまう。
近くにある本棚に手をついて体を支える。


テーブルの上に出しっぱなしにしていたコップを手に取る。
冷蔵庫を開け、お茶の入ったポットを取り出す。


んん!と咳払いを二回。
早くお茶を飲もう。イガイガする。


コップになみなみ注ぐ。
ポットをしまい、冷蔵庫をしめる。


よろけてキッチンの壁にもたれかかる。
こぼれないようにコップをバランス良く持ち、口元へ運ぶ。


「あれ?」


コップの中には何も入っていない。
お茶を入れたはず。
もしかして溢したのか?そう思って床を見ても濡れていないし、服にシミもついていない。


よく見るとコップには水滴すらついていない。
寝ぼけていたのかな。
そう思ってもう一度お茶を注ぐ。


今度はポットをしまわずに、飲む。


「あれ?」


また、飲めなかった。
コップの中には何もなく、お茶の冷たさも感じない。
まるで、何も入れてなかったよう。


ポットを見ると、明らかにかさが減っている。
二リットルのポット一杯にお茶を入れてから寝た。ちゃんと覚えている。


そして今ポットのかさは全体の一割ほど減っている。
正にコップ二杯分だ。ちゃんと注いでいたのだ。
それなのに何故?


キッチンの水道で少し顔を濡らす。
意識をはっきりさせて、もう一度お茶を注ぐ。


目をそらさずに、コップのお茶を一息に飲む。

















ゴク、ゴク。ぷぁ。


今度はちゃんと飲めた。
ポットのかさは先程より少しだけ減っていて、やっぱりはじめの二杯は夢ではなかったんだ。


どういうことなんだろう。
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