【一話完結】３分で読める背筋の凍る怖い話

呪いのノッポさん

呪いのノッポさんと目が合うと殺されちゃうんだよ。そいつは目がまん丸で黒目が凄く小さくて針の穴みたいなんだ。


口も鼻もなくて、そいつはじっとこっちを見てくる。
凄く背の高いそいつは、目が合ったやつを許さないんだ。


この話を聞いた人のところにやってきて、探し出そうとしてくる。俺の事を知ってる奴は誰だ！ってね。


助かる方法はただ一つ。見つかる前に家に帰ること。鍵を閉めて絶対に開けないこと。








3時間目の休み時間にそんな話を聞かされた。
男子達は怖いだなんだと言いながら楽しんでいて、教室の後ろでは女子が止めてよと怒っている。


「はいはいその話はもう終わりね。休み時間も終わるから、算数の準備して」


掛け算だ割り算だを教えている内にチャイムはなり、最後の授業も終える。
職員室へ戻り明日の準備等をして居た時だった。




ガタガタ。と、ドアが音を立てた。
他に先生は居なく、子どもが尋ねる様子もない。


風か何かだと考えパソコンに目を落とすと、
ガタガタ、バタン！と、またドアから大きな音がした。


ビク！と体を強ばらせてドアに目をやる。
クリーム色の立て付けの良くないドアは閉じたまま。いつも通り。
私は休み時間のあの話を思い出してしまった。


呪いのノッポさん。


子どもの怪談に怖がっている自分が情けなくなった。
少し冷静になりドアを確認しに行く。


ガラガラと開け、辺りを見回す。誰も居ない。
ふと、ドアに紙が張り付いているのに気がつく。
ペリペリと剥がし見る。


そこには絵と文字が書かれていた。
女の似顔絵の隣に「ブース！」と汚い文字。


やられた。と驚いたと同時に安心した。子どものイタズラだ。こんなものに一々目くじらは立てない。











バン！また、大きな音がした。
恐怖で身が固まる。
また、バン！と音がして走り出す。


角を曲がったところで人影が見える。
ノッポさんかと思ったが身長は高くない。165cmの私と比較しても大差ない。


「あの！すみませ～ん」
とりあえず一緒に居てもらいたかった。気を紛らわせたかった。


彼はこちらを振り返った。
彼の顔を見て私は動けなくなっていた。





真ん丸な瞳に、小さな黒目。
そして、鼻も口もない不気味な顔。


ノッポさんだ。


背は高くない。
いや、高いのか。
私は勘違いしていた。


こいつの身長は170cmほど。
決して高い方では無い。
大人にとっては。




しかし子どもに取っては、小学生にとってはノッポと言えるだろう。