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第4章

第49話

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第49話

未だに名乗らない男に手を握られて森に入ること、数十分経っただろうかって頃、少し拓けた広場に出た。よく見えない為、光の玉を想像魔法で出すと、拓けた広場の中央には大きな木が生えており、その木の上に誰かいるのか人影が見える。


「おーい、アマ、アミ、シーバス安全な場所を確保出来ましたよー」


男は木の上にいるであろう仲間に声をかけた。


「うるさい!そんな大声で叫んだらゴブオーガがやってくるでしょっ!」


木の上から女の子声が聞こえたが、声と同時に周りからゴブオーガが木を囲むように現れ始めた。


「うぇっ!今度はゴブオーガァァ!仲間と連携とっても一匹が限度ですよ。でもお腹空いているし無理かな。オークロードさん、じゃあ私も逃げますね」


男は俺の手を離してカサカサと虫みたいに木によじ登って行った。
登って行って直ぐに「痛っ」って声が聞こえた。
恐らく仲間に叩かれたのだろう。


「すみません、私の仲間がこんな所まで連れて来てしまって、早く木の上に逃げて来て下さい。
ゴブオークとゴブオーガは木登りが出来ませんから、しばらくすると諦めて行ってしまいますので」


先程とはまた違う女の子の声が聞こえ、木の上に逃げろと言うが、逃げた所で降りた瞬間どうせ待ち伏せでもして襲ってくるに違いない。
それにゴブオーガは昼間に倒しているから余裕だ。

今回現れたゴブオーガは昼間に現れた奴と少し違った。暗い所にいるからか色が黒く見える。その上今回のは武器は持っておらず、代わりに鋭く尖った爪を生やしていた。

そんなゴブオーガ達は俺に向かわずに木に向かって爪を木の幹に爪を突き刺して行った。
すると、突き刺された木の幹は紫色に変色し、ブスブスと腐って行った。ゴブオーガの色も黒だと思っていたが、濃いめの紫色で所々斑点があって毒々しい感じだ。

ゴブオーガ達は何度も大きな木に爪を突き刺しては木を腐らせるといった行動を繰り返していると、木は大きくグラついて倒れてしまった。

木が倒れる瞬間、女の子が二人見え、転移魔法で俺の元に転移させた。ゴブオーガ達は木に夢中になって俺の元にいる女の子など目に入らないようだったからI.Bから炎熱剣を取り出して、素早くゴブオーガの首を斬って血飛沫が出ないようにした。炎熱剣は見られたら面倒な事になると踏んで素早くI.Bに仕舞った。

倒れた木から図々しい男と綺麗な顔立ちだが身体がゴツイ男が出てきた。倒したゴブオーガは何かに使えるかもと思ってI.Bに入れていると、またもパンツを引っ張られている感触があった。


「またお前か、何なんだよ。そこを持つなよ。
脱げるだろ」

I.Bにゴブオーガを入れ終わって引っ張られている方を振り向くと女の子が二人してパンツを引っ張っていた。

「あ、ご、ごめんなさい。あの、助けてくれてありがとうございました。私はアミで、こっちがアマと言います」


アミと名乗る女の子はおずおずとパンツから指を離して指をモジモジと絡ませていて、アマという名前の女の子はパンツを掴んでいる指を離すどころか鷲掴みしてパンツを下にズリ下ろした。

「ひゃぁぁぁ、ア、アマ!な、なんて事するの!
止めなさい!」

「キャハハハハ、やっぱりこれの下何も履いてないんだね。あ、おじさん助けてくれてあんがとね」


アミは片手で目を覆い隠して、アマの行動を止めようと手探りでアマを掴もうとしたが手探りな為、俺の股間を握ってしまった。


「キャハハハハ、アミそれ違うからぁ。
笑死にさせる気?キャハハハハ」

「キャーーー、ご、ごめんなさいごめんなさい」


俺は未だにパンツを掴んでいるアマの手を振り払い脱げてるパンツを履いて、謝っているアミに笑い転げているアマでちょっとしたカオスになっている。


「なにをやっているお前達!」

「あ、兄ちゃん。この太ったおじさんが助けてくれたんだよぉ」
「あ、兄様。そうです。この方が助けてくれました」

アミとアマは同時に俺を指差して助けてくれたと言うと、綺麗な顔立ちの男はツカツカと俺の元にやってきて頭を下げた。


「すまない。ウチの仲間達が失礼な事をした。
俺はシーバスという名だ。差し支えなければお名前を伺ってもよろしいか?」

「あ、ああ、俺はミーツだ。
君とアミちゃんは礼儀正しいな」

「え~、なんでアミだけ~、あたしも礼儀正しいよ?ね?お・じ・さ・ん」

「馬鹿が、何度も言っているだろうが、初対面の人と助けてくれた人には礼儀正しくしろって、ガガモとアマは特にだ」

「うーん、頭が痛い。あ、オークロードさんがまた助けてくれたんですか?」

「はぁ、もうガガモは黙ってろ。
失礼しました。ウチのガガモがオークロードなどと失礼極まりない事を言って」

「いや良いよ。君達全員がそこのガガモ?みたいに図々しくて礼儀知らずだったら見捨てようと思っていたけど、そうじゃないみたいだし助ける義理は特にないけど助けてあげるよ。とりあえずゆっくり話せる所まで移動しよっか」

「え、でもここから安全な場所だとかなり距離が…」


シーバスが話し終わる前にこの場にいる全員をドーム前まで転移させた。


「え?え?えぇぇ!な、なんで?
それにこの建物は?え、道の真ん中になんで?」

「へへん、凄いでしょ。私も初めて見た時はビックリしたよ」


シーバスは驚いて辺りをキョロキョロと見渡しているが、何故?ガガモは偉そうにしているんだ?


「あー、凄いねぇ。アミ」
「ホント、この前この辺りを通った時はこんなの無かったのに」

アミとアマもドームを見上げてポカーンとしていた。外は少し日が昇り始めているのか明るくなり始めていたが、少しまだ暗いので分厚い扉を開けてシーバス達を中に招きいれた。

「うわぁ、中もだだっ広いんだなぁ」
「オークロードさん、お腹空きました」


ガガモはグレムに似たところがあってか、空気が読めないところがあって腹が空いたと訴えかけてきたのに、シーバスは溜息を吐いて無言でガガモに拳骨を食らわせた。

「あ、あたしもあたしも、お腹空いたー」
「すみません、実は、わ、私も…」
「あー、もうアマとアミまで…」

シーバスはそう言うと、シーバスからもグーっと音が鳴った。それによりシーバスの顔は赤くなり、俯いてしまった。


「うん、もう朝になるし朝食にしよっかね」

俺は竃まで行くと食材をズラッと並べ出した。


「ふあぁぁ、凄い凄い。
こんなに良いの?ホントに良いの?
昨日の分まで食べちゃうぞぉ」

「もう、アマったら貴女一人の分じゃないのよ」
「そうだそうだ。私もいっぱい食べるんだからな」

シーバスは再びガガモに拳骨を食らわせ、アマを脇に挟んで食材のある所から離れて行った。
アミはそんなシーバスの後ろを付いて行った。
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