上 下
86 / 247
第3章

第13話

しおりを挟む
第13話

 ガメニとダンジョンに入ってしばらく進んでいるが、中々次の階層に行けないでいた。
 その理由が魔物の数だ。

 最初に出てきた黄金鴉はその後も何度か出てきて、頭以外の胴体を突くと砂にならずに、そのまま残ったり、クチバシを刀で切り取り頭を突けば、金のクチバシだけが残るといった面白い結果となった。

 他には翼だけを切り取り胴体を突けば、翼のみクチバシ同様に金の翼が残ると、色々試す事をやりまくると、頭は元からだが、胴体を即死させるくらいの攻撃を加えると崩れるってのが分かった。

なるべく即死させない様にして狩ってはI.Bに入れまくってると、ようやくガメニに俺が見えないマジックバックのような物を持ってる事が分かったようだ。


「なぁ、ミーツさん、そのマジックバックは何が入っているんだ?食い物とか入ってないか?入っていたら分けてくれないか?」

「あぁいいよ。何が良い?海鮮系?それとも牛魔のお肉系?野菜?」

「え、本当に何が入ってんだよ!
でも食えるなら何でも良い!後ででもいいから、上で休んでる奴等にも食わせてくれよ」


 ガメニは本当に良い奴だな。
思わず撫でてしまいたくなったが、見た目ニックと同じくらいの年頃だけど、中性的な顔立ちだ。
 男だろうけど、女性にも見える。
 でも、口の悪さと俺って言っているし、男だろう、撫でると気持ち悪がれるだろうと思って止めた。

「良いよ。とりあえずはガメニが食いな?」

俺は海鮮系として、クラブフィッシュと人参にジャガイモを焼いてあげる事にしたが、クラブフィッシュを取り出した瞬間に黄金鴉に掻っ攫われてしまった。

俺たちから離れた場所で、複数の黄金鴉にグチャグチャに食われている。


「あぁ!オレのが~、チクショウ!
絶対許さねぇ!ミーツさん、早くあいつらをやっちまおうぜ」

「良いけど、まだあるし今度はセーフティゾーンで再度出してやるよ」

「クッ!ならまた上にあがるか、最深部にしか行くしか無いじゃないか」

「そうなのか?このダンジョンは、どの位の階層で成り立っているんだ?」

「今の所、オレたちが一番潜ってる階層は地下六階まで確認されているぜ。

まだ先もあるかもしれねぇけど、六階層の敵が手強いから、ボスまで挑戦できねぇってのもあって中々攻略できねぇんだ。

そして、このダンジョンで手に入れた金や価値のあるアイテムは、城の奴等に没収されてしまうから、中々強くもなれねぇんだ」


 成る程な、だから価値のあるダンジョンを兵士を使わずに、地下牢に幽閉している冒険者を使っているのか、ダンジョン慣れしているだろうし丁度良いと思ったんだろうな。

 もしかしたら、こういった事を無理矢理させる為にシルビアさんは虚言を吐いて、冒険者達を陥れて行っているのかも知れない。

 おっと、クラブフィッシュを食べ終わった黄金鴉が襲い掛かって来た。
 考えるのは、また後で考える事にして目の前の黄金鴉達を殲滅するべく、槍から刀に持ち替えて構えた。

「ガメニ、食い終わった黄金鴉達が来るぞ!警戒しろ」

「大丈夫だ。見てるよ!
ミーツさんこそ、大丈夫なのか?」


ガメニの言う事に無言で頷き、見た感じ五匹の黄金鴉がクチバシを前に突っ込んで来た。
 俺はそれに逸早く反応して、突っ込んで来た黄金鴉を次々に刀で斬って行った。

 ガメニの方を見ると、ガメニも難なく盾で防いでは斬るといった行動を取り、あっと言う間に戦闘が終わった。

まぁ、まだ第一階層だし、これ位はやれないと先に行けないよな。

 そして、複数の黄金鴉を殲滅させた俺たちは、次に進むべく通路を歩いていると、目の前に大きな下に降りられる階段に行き当たった。


「これで第一階層が終わりだぜ」

「え?これで一階層が終わりなのか?
黄金鴉しか出てないし、一直線だったじゃないか!」

「そんな事をオレに言われても…」


確かに、ガメニに言っても仕方ないし、これがこのダンジョンの一階層だと、諦めて先に進む事にしよう。

二階層三階層を期待して行こう。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。 友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。 マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に…… そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり…… 武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。