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第四話

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第四話

 唐突に目を覚ますと、一瞬どこにいるか分からなかった。
 部屋は暗く、僅かに外の月明かりが入ってくる程度で全くの暗闇では無かった。

 部屋に最初からある水の入った水瓶を口に含んでみるが、矢張り腐ってる様で直ぐに吐き出した。

 しかし、コレが飲めないとなると朝まで待って外に出た時に井戸か何処かで飲むしかないけど、ここ地下の部屋はとても暑い、普通は地下だから涼しい筈だけど、思ってた地下と全然違う所だった。

 あ、でも地下水があった場所は寒いくらい涼しかったな。

 この違いは何なんだろうか、でもやはり飲み水は今必要だと感じて、魔法で出した水を飲もうと思った。

 それにしても、無詠唱とはいえイメージだけでいいのか?疑問に思いながらも3度目となれば気は失わなかったものの、身体の怠さは半端無い!

 怠さが無くなったら、試しにイメージして最後にウォーターボールと言ってみる事にしようと思って、しばらく待つこと数十分。

ようやく気怠さが無くなったのを確認したのち、壁に向かってイメージして「ウォーターボール」と言ってみた。

すると、俺のイメージではピンポン玉くらいの水球をイメージしたのだけれど、俺から出たのはソフトボールくらいの水球が出て壁にぶつかり、ボコンとボール大の穴が空いた。

 まだ左程音が響かなかったから良かったものの下手したら奴隷商人に見つかり、ヤバイ事になっていたかも知れない。

 どうヤバイかは分からないけど、兎に角ただじゃ済まないだろう……
 とりあえず、この奴隷商人の奴隷部屋に居る内は声を出して唱えるのは止めておこう。

 そう考えていると物凄く身体が怠くなり、これ以上は何も考えられなくなって、眠りにつく事にした。


 次に起きた時は、此処に連れて来た屈強な男2人に足蹴にされて起こされた。

 しかし、3歳児相手に大人2人もいるか?
 俺の見た目は結構可愛らしい見た目していた筈なんだけどなぁ。

 ジャイアントゴングこと『お姉ちゃん』と暮らしていた時に、何度か湖で自分の顔を見た事あったから間違いないと思うんだけど、俺が奴隷だからか俺に対する接し方が雑だ。

 男達は俺に木で出来てる手枷を俺に嵌めて上に連行した。
 連れて来られた場所は、上から俺を見ていた奴隷商だ。


「グホホホ、よく眠られた様ですね?
グホホ朝食としましょうかね」


そういえば、まだ朝食を貰ってなかったな。
笑い方は気持ち悪いけど、朝食を食べさせてくれるなんて良い商人なのかも知れない。

 そう思ってた。
 やっぱり嫌な奴だ!何故なら俺は跪かされて、奴隷商の旨そうな肉やスープを食べているのを見せられるだけだったからだ。


「貴方にはこれから、奴隷の立場というものを教え込みますよ。グホホホ!
 普通は別に教える人は居ますけど、貴方は私が直々に教えますからね?光栄に思いなさいグホホ」


 こんなのに教えられるなんて、機会を見つけて抜け出すか!


「その反抗的な目、素敵ですね。教え甲斐がありそうですよ。グホホホ
奴隷とは主とは一緒の食卓についてはいけないものです。

主の許可なく飲み食いもしてはいけません。
それを踏まえて主の食べてる姿を見て置きなさい、分かりましたね?

主が肉骨の骨一本でも床に落としても許可が下りるまでは、口にしてはいけませんよ」


「クゥー、」腹の虫が鳴った。
腹減って話の半分も聞き取れない。
何か何でもいいから貰えないだろうか!


「おやおや、お腹が減ってる様子ですね?
でも我慢ですよ。でもどうしても食べたいと思っていらしたら私の靴でも舐めてくださいな。そしたら、骨くらいはあげますよ?グホホホ」


 多分、下手に反抗意識を持っても無駄なんだろうな。
 ここは演技でも従った方がいいかも知れない。プライドなんて此処では邪魔にしかならないし俺はコイツの言う通り、靴を舐める事にした。

だけど、靴はとても汚くて臭い小便が付いているのか、小便の臭いが半端ない!

 顔を近づけて固まっていると、男達に無理矢理頭を押さえつけられて、靴に唇が当たって結果舐めるのと変わらない事になった。

俺からは見えないけど、そんな姿をニヤニヤした顔で笑っているんだろうな。

奴隷商は自分の食べた小さな骨付肉の骨を床に落としたから、俺が手を出して手に取ると鞭の様な教鞭のような物で手を叩かれて
「まだ許可してないですが?」
そう言われ手をおずおずと引っ込めた所で奴隷商は俺の頭に片足の靴を置き、「この状態でなら食べて良いですよ?」

と、許可が下り再度手に骨を取ったが、かなりしゃぶった後で肉なんて全く付いてはおらず、奴隷商の唾液だらけの完全に骨だけだった。

でも、俺はそれでも空腹に勝てず骨を口にするが奴隷商の唾液で滅茶苦茶臭い!
でも、我慢しながら骨を噛み砕きユックリとバキバキに噛み飲み込んだ。

本当はサッサと噛み砕いて食ってしまいたかったが、飲み水が無いから仕方なく臭い物を喉に引っかからない様に、ユックリと食べたのだ。


「グホホホ、美味しかったですか?
今日の朝食はこれで終わりですよ。
さぁ、後は私の食べた食器を井戸に持って行って洗ってくださいね。
監視は付けますが丁寧に洗う事ですよグホホ」


 奴隷商はそう言うと立ち上がって、部屋を出て行った。
 残った俺はどうしたら良いものか考えていると給仕をしていた奴隷の一人がお盆に奴隷商の食べた食器を乗せて俺に渡して井戸に向かえと指示だした。

 指示に従って井戸に向かうと、井戸には誰もおらず、広く浅い木のタライと、水を汲む為のロープの付いた木桶があるだけで、滑車の付いてないタイプの井戸があるだけだった。

俺の体格に合わない広く、大きなお盆を持って井戸に移動して木桶を井戸に落とし、水を上げるこの作業だけで体力をかなり持っていかれる、力は野生的な生活していたから多少はあるが空腹の時の体力はヤバイ。

お盆に乗った食器を見ると全部舐められて綺麗に何も残ってない物ばかりで、あわよくば何か残っていたら口にしようと思っていたのに何も無い現実にガッカリ感が半端ない!

仕方なく軽く水を通して素手で撫でるように洗って終わらせると、監視役の男に頰を叩かれ、やり直しを命じられた。

「洗いました!綺麗にしました」

そう声を張り上げるが、聞く耳を持たなく更に叩かれてしまう始末だ。

「気味の悪いガキだな。言葉を流暢に話やがる魔族みたいな黒目だな」

 神様が言ってた他の種族の中には魔族とかもいるんだ。
 そう思いながらも、今度は自分の着ている布を使って洗い直すと、これが正解だった様でウンウンと頷いている。

 洗い終わり報告すると指示を出されてそのまま男に付いて行く。

 辿り着いたのは屋敷の台所で、洗った食器を綺麗に拭く作業を命じられ布を渡された。
 朝食の時間からここまでの作業だけで昼近くになっているのか、次の食事を作る準備をしだしている。

 よく見ると全員奴隷か?首に模様の入った首輪がしてあった。

 作業を終わらせると、夜まで何も無いと言う事で、また独房の様な部屋に入れられる事になるが中に戻ると内職の様なチマチマした作業を命じられる事になる。

 それは、縄を作る事だ。
 部屋の中には結構な量の藁が置いてあって
それを縄にしろと命令された。

 とても3歳児にできる作業とは思えないんだけど、ある程度のノルマを達成出来なければ折檻する様な事を言われ、やらなければならない状況になっている。

 仕方なく、やってみるが上手く出来ない。
 歪な形の縄ばかりになってしまう。
監視役の人は既に居なくなっているため聞くに聞けない状況のままにやっていくが、これどう考えても無理だろ!
 もしくは、この世界じゃ小さな子がやるのが当たり前なのか?

考えながらも不器用ながらもこなして行く。







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