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第一章 プロローグのプロローグ編
37 巻き戻る世界
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アレクが振り下ろす剣から、七色の衝撃波が王子に向かって飛んで行く。
しかしその光は王子に当たる寸前で停止しており――。
「よ、よく止めれたわね」
乙女ゲームの女神が息を呑みつつもう一人の女にそう告げると、女も自分の魔法がギリギリ間に合った事にほっと肩の力を抜く。
「そうね。まさかこのタイミングでアレク君が剣を振り切るとは思わなかったわ。言っても突然の事で時間を止めてられるのはもう残り少ないけど。なんにせよ、今度は彼の時間も止めれて良かったわ」
「そりゃ止まるわよ、既に彼はデストロイソードを振っちゃってるもの。――彼の記憶はこのハートブレイカーへ、そして全ての魂は初期状態へ移行を始めたわね。それはそうと、この眼鏡君を私に寄越したのは貴女の仕業?」
視線だけを向ける乙女ゲームの神に対し、苦笑いで肯定する。
「ご明察。乙女因子だけでこのゲームはクリア出来そうにないでしょ?だから私が送ったの」
「そう。貴女がなんの神か察しが付いたわ」
その言葉に一瞬驚くもそれを良しとせず、尚おどけてみせた。
「あちゃーわかっちゃう?それで?分かった上でまだ私とやり合う?乙女ゲームの神様。こう見えてレベルだとかスキルだとかこっちにはあるんだけど」
「戦闘狂との戦いなんていやよ。でもそうね、貴女のゲームに対する熱意に免じて今回の事は不問にするわ」
乙女ゲームの神が戦闘狂と言い放った時点で自分の正体が完全にバレていると察し、女は笑いを止め両手を上げる。
「嬉しい回答でなによりね」
「はぁ、そんな事より問題は今よ。実体化している私達はこのままだと神とはいえ不味いわよ?」
乙女ゲームの神が言う様に、アレクの放った斬撃は空中で止まってはいるが、その実微妙にその威力をまして前進しようとしていた。
ここで時間停止が解除されれば、神と言えどその余波から抜け出すのは困難。
「そうね、やっぱり彼の装備している籠手に私達も触れるしかなさそうね。乙女ゲームのくせにこんな所はこっち寄りよね」
「五月蠅いわよ。そもそも私が嫌でも世界が望むんだから仕方ないでしょ!」
「そうよね、私の所も似たものね」
「ほら、とっととハートブレイカーに触れてよ、もう時間がないわよ」
「はいはいっと。どうしたの?触れたわよ?」
強気だった乙女ゲームの神から表情が消え、真剣な物と変わる。
「……私はこの世界の管理者だからどうでもいいとして、貴女はいいの?いっちゃなんだけど、もう一度神に戻れるのはトゥルーエンドを迎えてからになるわよ?」
「あら、私の目的を忘れたのかしら?」
「……ゲームクリア、ね。無粋な質問だったわ。じゃ最後にもう一つ」
「なに?」
「次もレフティでいいの?」
「ええ、クリアもそうだけどテルマイルが幸せになるの姿を私は見届けたい。このまま行けば結構アレク君と良い感じになる予定だったんだけど、あのままだと馬鹿王子の思う壺だったし……。貴女はどうするの?」
「私?そうね、私も神に戻れるのはトゥルーエンド後だし、町娘Aになってもねぇ……そうだ、貴女側のキャラクターに便乗させてもらうのも面白そうね、スキルとかうちじゃあまり存在しないし楽しそうよね」
「面白いが優先ってわけね。貴女がこの世界に居る間、現世では駄作乙女ゲーしか産まれないわよ?それって乙女ゲームの神様としてどうなの?」
「ロールプレイングゲームの神に言われたくはないわね。それこそ世界のゲームが停滞するわよ?」
「いいのよ。最近はMMORPGとか派生神とかも居るし」
「あら、乙女ゲームのMMOもあるわよ?」
「攻略対象の奪い合いってどんな鬼畜ゲームよそれ……」
「「うふふっ」」
一呼吸笑い、乙女ゲームの神はその表情を厳しいものに戻す。
「……私が貴女の存在を知った今、次のプロローグにはデストロイソードもハートブレイカーも無いわよ。そして私と貴女の世界が混じり合う混沌とした世界。そしてないより、一発勝負。私にもその未来は、そのシナリオは見通せない」
二柱の神が一つのゲームに宿る。
それは神が許しても世界が許さないチート・オブ・チート。
故にこの時を以って救済アイテムは全て消え去る。
「ロールプレイングゲームの神としては願っても無いシュチュエーションね、燃えるわ。あ、今回の記憶を持ったまま転生するのは私と貴女、そしてアレク君って事でいいのよね?」
「そうよ、ハートブレイカーはセーブポイントへ戻るアイテム。指輪だとか腕輪だとか色々あるけど、今回は彼の籠手がそれね。セーブポイントは記憶を持ったままその時へ戻るという事。デストロイソードの世界をリセットするアイテムと併用すれば、プロローグの最初に戻るけど、ハートブレイカーに触れている者の記憶はそのまま引き継がれるわ」
「そう、なら準備はいいわよ」
「そう」
みるみる斬撃はその大きさを増していく。
「このゲーム、クリア出来るといいわね」
「神が二人も付いてるのよ?アレクには頑張ってもらうわ」
「そうね――時間よ」
――瞬間、世界は動き出し、強引に留められた斬撃は大きく爆ぜる。
そして世界は戻り始めた。
巻き戻る世界の中、ロールプレイングゲームの神が肝心な事を忘れている事を思い出す。
「あ……ところでトゥルーエンドってどうなればトゥルーエンドなの?」
「え?」
「はぁ?」
「「……え、えええええええーーーーーーーーー」」
そして二柱の神は世界へと溶け込んだ――。
――――――――
――――
――
――テレスティア王国のとある騎士爵家は、その日慌ただしくも浮足立った空気が漂っている。
「「お、お、おお、おおおおんぎゃーーーー!!」」
「サブリナ!男の子か!女の子か!」
「旦那様、そんなに慌てられては赤ん坊達がビックリしてしまいますよ」
「がはははっ、それはすまん。で、どっちだ」
――ヌッ
「ぉおお!双子か!でかしたぞサブリナ!流石儂の嫁だ!よーし祝宴の準備だ!悪いがレフティちゃんも手伝ってくれるか」
「喜んでお手伝いさせてもらいます!おじ様!」
レフティは少し大きめのメイド服のスカートを持ち上げ、男の後を駆けて行く。
そして残されたベッドに二人の赤子が寝転がっていた。
一人は男の子、もう一人はその双子の女の子。
男の子はまだ寝ており、女の子は空を掴む様に手を動かしていた。
「(あーあー、レフティ聞こえるかしら?)」
「(はーいこちらレフティ、感度良好よ。どう産まれた気分は)」
「(首も動かない、手もひらかない、起き上がれない、色々最悪ね。さっきまでの私の美貌を返して欲しいわ)」
「(大きくなったら美人になるわよ。でも大丈夫、当分は私もおむつの交換してあげるから心配しないでねぇ)」
「(……ほんと嫌な神ね。それより、アレクには私達の存在を知られてはいけないのわかってるわよね?)」
「(え、駄目なの?)」
「(駄目に決まってるじゃない!教えてしまったらそれは攻略本を見ながらゲームを進めるのと同じじゃないの!)」
「(私の所じゃ攻略本片手にプレイする子多いわよ?)」
「(RPGゲームはスキルだとかステータス管理?だとかややこしそうだものね、まぁ乙女ゲームじゃほぼ見ないシステムだし関係ないわね)」
「(……)」
「(どうしたのよ黙り込んで……あ、あんたまさか!)」
「(いやぁ~多分私と貴女が出会った事で私の領域が少し漏れちゃったみたいね。去年鑑定の儀式受けたら「お主には盗賊スキルが芽生えておる」だってワラ、私侍女なのに盗賊メイドとか夢躍るわ!……テヘッ)」
「(テヘッじゃなーーーい!え、どうするのよ!は?どうなるの!ここは乙女ゲームなのよ?鑑定の儀式ってなによ!?私の可愛いキャラ達に何と戦わせるつもりよ貴女!)」
「(んー定番の魔王とか?)」
「(いらないから、乙女ゲームに魔王いらないから!乙女ゲームなのよ?恋愛させなさいよ!――あ)」
「(どったの?)」
「(いや、アレクが起きた)」
「(まぁ隣で寝てたんだし、そりゃ起きるでしょ)」
「(いえ……言い間違えたわ。アレクが立った)」
「(いやいや、赤ん坊でしょ?立つ訳……マジ?)」
「(マジ。あ、なんか喋りそう)」
――「ここは……幼少期に過ごした私の部屋ですね?」
そこには普通に立ち、周囲を見渡す喋る赤ん坊が居た。
「(しゃ、喋った!怖っ!ちょ、この子こっわ!)」
「(立って喋る赤ん坊ってw……ちょマジ?何がそっちで起こってるの!ねぇ聞いてる!?なんか喋りなさい!喋ってお願い!)」
――――
――
――7年後。
その日、王家にて貴族達が見守る中、王子の婚約の儀が執り行われていた。
「王子アンドレ・テレスティア。この婚約に意義はあるか」
「ございません」
「公爵令嬢テルマイル・ハイネケン。この婚約に意義が無ければ沈黙をもって答えよ」
「……」
「ならばここに、二人の婚約を正式なものとする!国内では聖女が誕生し、二人が成人の後は三人で力を合わせ、勇者の代わりとなり王国は更に盤石なものとなろう!」
「「「「「ぉおおおお!テレスティア王国バンザーイ!バンザーイ!」」」」」
、
――ここに歪に姿を変え、再び乙女ゲーム『デーモンフラワー、乙女の園に花束を』は再開される。
――第一章おわり
*****************************
第一章『プロローグのプロローグ編』おわり。
次回からは、第二章『本編へ至る道編』のスタートです。
しかしその光は王子に当たる寸前で停止しており――。
「よ、よく止めれたわね」
乙女ゲームの女神が息を呑みつつもう一人の女にそう告げると、女も自分の魔法がギリギリ間に合った事にほっと肩の力を抜く。
「そうね。まさかこのタイミングでアレク君が剣を振り切るとは思わなかったわ。言っても突然の事で時間を止めてられるのはもう残り少ないけど。なんにせよ、今度は彼の時間も止めれて良かったわ」
「そりゃ止まるわよ、既に彼はデストロイソードを振っちゃってるもの。――彼の記憶はこのハートブレイカーへ、そして全ての魂は初期状態へ移行を始めたわね。それはそうと、この眼鏡君を私に寄越したのは貴女の仕業?」
視線だけを向ける乙女ゲームの神に対し、苦笑いで肯定する。
「ご明察。乙女因子だけでこのゲームはクリア出来そうにないでしょ?だから私が送ったの」
「そう。貴女がなんの神か察しが付いたわ」
その言葉に一瞬驚くもそれを良しとせず、尚おどけてみせた。
「あちゃーわかっちゃう?それで?分かった上でまだ私とやり合う?乙女ゲームの神様。こう見えてレベルだとかスキルだとかこっちにはあるんだけど」
「戦闘狂との戦いなんていやよ。でもそうね、貴女のゲームに対する熱意に免じて今回の事は不問にするわ」
乙女ゲームの神が戦闘狂と言い放った時点で自分の正体が完全にバレていると察し、女は笑いを止め両手を上げる。
「嬉しい回答でなによりね」
「はぁ、そんな事より問題は今よ。実体化している私達はこのままだと神とはいえ不味いわよ?」
乙女ゲームの神が言う様に、アレクの放った斬撃は空中で止まってはいるが、その実微妙にその威力をまして前進しようとしていた。
ここで時間停止が解除されれば、神と言えどその余波から抜け出すのは困難。
「そうね、やっぱり彼の装備している籠手に私達も触れるしかなさそうね。乙女ゲームのくせにこんな所はこっち寄りよね」
「五月蠅いわよ。そもそも私が嫌でも世界が望むんだから仕方ないでしょ!」
「そうよね、私の所も似たものね」
「ほら、とっととハートブレイカーに触れてよ、もう時間がないわよ」
「はいはいっと。どうしたの?触れたわよ?」
強気だった乙女ゲームの神から表情が消え、真剣な物と変わる。
「……私はこの世界の管理者だからどうでもいいとして、貴女はいいの?いっちゃなんだけど、もう一度神に戻れるのはトゥルーエンドを迎えてからになるわよ?」
「あら、私の目的を忘れたのかしら?」
「……ゲームクリア、ね。無粋な質問だったわ。じゃ最後にもう一つ」
「なに?」
「次もレフティでいいの?」
「ええ、クリアもそうだけどテルマイルが幸せになるの姿を私は見届けたい。このまま行けば結構アレク君と良い感じになる予定だったんだけど、あのままだと馬鹿王子の思う壺だったし……。貴女はどうするの?」
「私?そうね、私も神に戻れるのはトゥルーエンド後だし、町娘Aになってもねぇ……そうだ、貴女側のキャラクターに便乗させてもらうのも面白そうね、スキルとかうちじゃあまり存在しないし楽しそうよね」
「面白いが優先ってわけね。貴女がこの世界に居る間、現世では駄作乙女ゲーしか産まれないわよ?それって乙女ゲームの神様としてどうなの?」
「ロールプレイングゲームの神に言われたくはないわね。それこそ世界のゲームが停滞するわよ?」
「いいのよ。最近はMMORPGとか派生神とかも居るし」
「あら、乙女ゲームのMMOもあるわよ?」
「攻略対象の奪い合いってどんな鬼畜ゲームよそれ……」
「「うふふっ」」
一呼吸笑い、乙女ゲームの神はその表情を厳しいものに戻す。
「……私が貴女の存在を知った今、次のプロローグにはデストロイソードもハートブレイカーも無いわよ。そして私と貴女の世界が混じり合う混沌とした世界。そしてないより、一発勝負。私にもその未来は、そのシナリオは見通せない」
二柱の神が一つのゲームに宿る。
それは神が許しても世界が許さないチート・オブ・チート。
故にこの時を以って救済アイテムは全て消え去る。
「ロールプレイングゲームの神としては願っても無いシュチュエーションね、燃えるわ。あ、今回の記憶を持ったまま転生するのは私と貴女、そしてアレク君って事でいいのよね?」
「そうよ、ハートブレイカーはセーブポイントへ戻るアイテム。指輪だとか腕輪だとか色々あるけど、今回は彼の籠手がそれね。セーブポイントは記憶を持ったままその時へ戻るという事。デストロイソードの世界をリセットするアイテムと併用すれば、プロローグの最初に戻るけど、ハートブレイカーに触れている者の記憶はそのまま引き継がれるわ」
「そう、なら準備はいいわよ」
「そう」
みるみる斬撃はその大きさを増していく。
「このゲーム、クリア出来るといいわね」
「神が二人も付いてるのよ?アレクには頑張ってもらうわ」
「そうね――時間よ」
――瞬間、世界は動き出し、強引に留められた斬撃は大きく爆ぜる。
そして世界は戻り始めた。
巻き戻る世界の中、ロールプレイングゲームの神が肝心な事を忘れている事を思い出す。
「あ……ところでトゥルーエンドってどうなればトゥルーエンドなの?」
「え?」
「はぁ?」
「「……え、えええええええーーーーーーーーー」」
そして二柱の神は世界へと溶け込んだ――。
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――テレスティア王国のとある騎士爵家は、その日慌ただしくも浮足立った空気が漂っている。
「「お、お、おお、おおおおんぎゃーーーー!!」」
「サブリナ!男の子か!女の子か!」
「旦那様、そんなに慌てられては赤ん坊達がビックリしてしまいますよ」
「がはははっ、それはすまん。で、どっちだ」
――ヌッ
「ぉおお!双子か!でかしたぞサブリナ!流石儂の嫁だ!よーし祝宴の準備だ!悪いがレフティちゃんも手伝ってくれるか」
「喜んでお手伝いさせてもらいます!おじ様!」
レフティは少し大きめのメイド服のスカートを持ち上げ、男の後を駆けて行く。
そして残されたベッドに二人の赤子が寝転がっていた。
一人は男の子、もう一人はその双子の女の子。
男の子はまだ寝ており、女の子は空を掴む様に手を動かしていた。
「(あーあー、レフティ聞こえるかしら?)」
「(はーいこちらレフティ、感度良好よ。どう産まれた気分は)」
「(首も動かない、手もひらかない、起き上がれない、色々最悪ね。さっきまでの私の美貌を返して欲しいわ)」
「(大きくなったら美人になるわよ。でも大丈夫、当分は私もおむつの交換してあげるから心配しないでねぇ)」
「(……ほんと嫌な神ね。それより、アレクには私達の存在を知られてはいけないのわかってるわよね?)」
「(え、駄目なの?)」
「(駄目に決まってるじゃない!教えてしまったらそれは攻略本を見ながらゲームを進めるのと同じじゃないの!)」
「(私の所じゃ攻略本片手にプレイする子多いわよ?)」
「(RPGゲームはスキルだとかステータス管理?だとかややこしそうだものね、まぁ乙女ゲームじゃほぼ見ないシステムだし関係ないわね)」
「(……)」
「(どうしたのよ黙り込んで……あ、あんたまさか!)」
「(いやぁ~多分私と貴女が出会った事で私の領域が少し漏れちゃったみたいね。去年鑑定の儀式受けたら「お主には盗賊スキルが芽生えておる」だってワラ、私侍女なのに盗賊メイドとか夢躍るわ!……テヘッ)」
「(テヘッじゃなーーーい!え、どうするのよ!は?どうなるの!ここは乙女ゲームなのよ?鑑定の儀式ってなによ!?私の可愛いキャラ達に何と戦わせるつもりよ貴女!)」
「(んー定番の魔王とか?)」
「(いらないから、乙女ゲームに魔王いらないから!乙女ゲームなのよ?恋愛させなさいよ!――あ)」
「(どったの?)」
「(いや、アレクが起きた)」
「(まぁ隣で寝てたんだし、そりゃ起きるでしょ)」
「(いえ……言い間違えたわ。アレクが立った)」
「(いやいや、赤ん坊でしょ?立つ訳……マジ?)」
「(マジ。あ、なんか喋りそう)」
――「ここは……幼少期に過ごした私の部屋ですね?」
そこには普通に立ち、周囲を見渡す喋る赤ん坊が居た。
「(しゃ、喋った!怖っ!ちょ、この子こっわ!)」
「(立って喋る赤ん坊ってw……ちょマジ?何がそっちで起こってるの!ねぇ聞いてる!?なんか喋りなさい!喋ってお願い!)」
――――
――
――7年後。
その日、王家にて貴族達が見守る中、王子の婚約の儀が執り行われていた。
「王子アンドレ・テレスティア。この婚約に意義はあるか」
「ございません」
「公爵令嬢テルマイル・ハイネケン。この婚約に意義が無ければ沈黙をもって答えよ」
「……」
「ならばここに、二人の婚約を正式なものとする!国内では聖女が誕生し、二人が成人の後は三人で力を合わせ、勇者の代わりとなり王国は更に盤石なものとなろう!」
「「「「「ぉおおおお!テレスティア王国バンザーイ!バンザーイ!」」」」」
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――ここに歪に姿を変え、再び乙女ゲーム『デーモンフラワー、乙女の園に花束を』は再開される。
――第一章おわり
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第一章『プロローグのプロローグ編』おわり。
次回からは、第二章『本編へ至る道編』のスタートです。
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