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さようなら日本

聞けば聞くほど父が不憫な話

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コーヒーのおかわりを淹れて、話の続きを聞く。

「最初はね、腹立つ~!一年里帰りだ!反省しろ~くらいの気持ちだったわけよ。」

うんうん、なるほど…
桜が散るまでに戻れば良いから初孫にメロメロのばあちゃんに俺を預けて、話し合いの為に一人で戻ったのね…
桜の下に憔悴した夫が待ってるかな?って思った…ほぅ…なるほど、ドラマみたいだね…
あぁ帰ってきた母さんに再プロポーズしたあの桜の木か…

衝撃の告白を受けてもう一回読み返したんだ。
わかるよ、王宮の端っこの小さな庭にあるんだよね…二人のお気に入りの場所ね…
なるほど、その桜とこの家の桜が繋がってるんだ…
ファンタジーだな…

「ウキウキの夫とその家族、そして仲間達が勢揃いで待ち構えてるって思う?思わないよね?私怒ってよくない?」

うわっ、それは嫌だ…
そして母は再び激怒したと…
うん、わかるな…
花束を持って俺をまちかまえていたクラウスくんは号泣…
怒り狂う嫁に困惑する人々…
価値観の違いで片付けていい問題じゃない気がするんだが、俺を連れて行かなかったのは、良い判断だったと思う。

キョトンとする夫に、来年はお前一人で待っとけよ!と怒鳴りつけて戻ってきたわけね。
女神様にも怒鳴りまくって、交渉決裂を宣言した?大丈夫なのそれ?
ちゃんと話し合ったから大丈夫…ホントかな?


次の年は憔悴しきった夫が一人で待っていて、二人は俺の将来を真剣に話し合って二つの約束をした。
いや母さん…息子(人質)を盾にした話し合いは脅迫って言うんだよ…

息子を返して欲しければ、とりあえず高校を卒業するまでは待て。

嫁は年に一回帰って来てやるから、夫は息子が住みやすいように環境を整えろ!

これ完全に脅してるよね、あちらの方々なんか可哀想なんだけど…
あと母さんはこっそり帰ってたんだね、全然気が付いてなかった…

ばあちゃん…共犯か…

「有紀だって嫌でしょ!花束持った本物の王子さまと婚約とか…」

うん、全力で遠慮するね…

「それに彦星と織姫みたいじゃない?」

はい?誰が?
あぁ父と母が?
引き裂かれた愛し合う二人じゃないよね?
勝手に息子連れて出ていった鬼嫁だよね?
俺間違ってる?

「あっ、でもこの二年帰ってないの…ほら、おばあちゃんのそばにいてあげたかったから…」

は?
自己都合で帰らない織姫はダメじゃないか?
向こうの人たち多分物凄く心配してるよ。
大丈夫?

ばあちゃん…最後の言葉の意味がようやく分かったよ…
俺の事はとりあえず置いといて、母さんは絶対に帰った方がいい…














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