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怒らせた
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ハルは、冷たい瞳でロンを見下ろす。
ロンは真っ赤になって、涙目でフッーフッーと肩で息をしていた。
ハルは愛おしそうに、ロンの汗が含んだ髪をなでる。
フイッと顔を背けられた。
…
「ねぇロン。そろそろ機嫌直して」
後ろから、抱き締められながら言われる。
強制的に、膝の上に乗せられたあとは、ひたすら、ハルのご機嫌取りの言葉を、聞いていた。
ロンは、あれからずっとはぶてている。
拘束具は解いたのに…
ハルは、よくわからないと言った顔をする。
「ハル、離れろ…」
低く冷たい声。
怒っているのが感じ取れた。
「え~やだ」
子ども体温の、ロンの身体をパーカーの上から抱き締める。
太陽の匂いと、ロンの匂いが混じって、いい香りがした。
ハルはロンの肩の後ろ辺りを、スンッ…と嗅ぐ。
……反省してんのか?コイツ
ロンは鬱陶しそうな顔を向ける。
ハルの頭を手で押そうと、触れる。
「ん?なに?」
ニコニコと上機嫌なハル。
先程の怒りがまた、ムクムクと湧いてきた。
◇
まったく反省の色がないハルの様子。
近くにあった枕を、自分とハルの間に挟む。
一時しのぎだとわかってはいたが、ハルを許す気になれなかった。
案の定、ハルは「邪魔なんたけど」と不機嫌な声を出す。
ロンは、軽蔑を込めた目でハルを見る。
「ねぇ、なんでこんなことすんの?」
肩を抱かれる。
抱きしめられる腕が強くなった。
「ねぇ、ロン」
甘い声に許してしまいそうになる。
だが先程の自分の醜態を思い出すと、この先ずっと、ハルを許せる気がしなかった。
ハルは枕を引っ張りあげる。
そっぽを向き、ムスッとしているロン。
後ろから手が伸びてくる。
顔を、むにゅっと掴まれる。
「なんでそんなに怒ってるの?そんな嫌だった?」
綺麗な顔が覗き込む。
ハルは不思議そうに僕を見ていた。
僕はその顔を、引っ張りあげたい気持ちに駆られた。
「嫌だって…言ってるだろッ!なん度も、なん度も…!それにッ…していいなんて…言ってなかッた…!」
ハルは僕を見つめる。
別に反省してないように、猫のように近づき、密着してきた。
僕の匂いをスッーと嗅いでいる。
…なに言ってもコイツには伝わらないな
諦めのような境地に至る。
だがハルは口を開いた。
ゆったりとしゃべる。
「こういうことするのに…ロンの意見なんて聞いてないよ。
いつも俺が決めるんだから。
最近優しくしすぎて忘れた?」
ハルの口元が、美しいアーチを描く。
「ねぇ、ロン」
優しそうな顔をし、近づく。
ハルの両腕が、腰と胸板を固定するように回った。
それが…残酷な時の、尿道にカテーテルを入れられた時と重なった。
「ヒュッ…」とロンの喉が鳴った。
青い顔をして固まっているロンに、ハルは「?」と言う顔をし、笑う。
「ロン。おれのこと嫌い?」
不安そうな声。
僕の表情を見ずに言っている。
顔をブンブンと振りたい気分だった。
「ち…ちが、う」
涙声のロン。
こわくなってきた
そして、ハルが怒っているとわかり、そして怒っている理由もわかった。
「ご…こめ」
ハルは「あーあ、怖がらせちゃったかな?」と笑っている。
優しく綺麗な、星のような瞳。
なのに大きな嫌な予感が襲ってくる。
顔面蒼白なロンは、カチンと固まり動かない。
ハルのされるがままに触られる。
今はまだ、抱き締められ、キスされるような、優しいことしかされてない。
「いっ…いやだっ…ハル…」
無意識に身体が逃げる。
ハルの手が下半身にいき、パンツの上から、大きな手に掴まれる。
怯えているロンに、安心させるように優しくほほえむハル。
「ご…ご、めん。もう…言わ、ない」
指先が震える。
ハルの顔は冷たかった。
貼り付けたような笑みをこぼす。
「大丈夫だよ。こわいことはしない」
捕まえ、優しく抱き寄せる。
笑うハルに、怯えるロン。
引き出しからカテーテルを取り出した。
やっぱり…と言う確信とともに、ロンは凍りついたように、固まった。
ロンは真っ赤になって、涙目でフッーフッーと肩で息をしていた。
ハルは愛おしそうに、ロンの汗が含んだ髪をなでる。
フイッと顔を背けられた。
…
「ねぇロン。そろそろ機嫌直して」
後ろから、抱き締められながら言われる。
強制的に、膝の上に乗せられたあとは、ひたすら、ハルのご機嫌取りの言葉を、聞いていた。
ロンは、あれからずっとはぶてている。
拘束具は解いたのに…
ハルは、よくわからないと言った顔をする。
「ハル、離れろ…」
低く冷たい声。
怒っているのが感じ取れた。
「え~やだ」
子ども体温の、ロンの身体をパーカーの上から抱き締める。
太陽の匂いと、ロンの匂いが混じって、いい香りがした。
ハルはロンの肩の後ろ辺りを、スンッ…と嗅ぐ。
……反省してんのか?コイツ
ロンは鬱陶しそうな顔を向ける。
ハルの頭を手で押そうと、触れる。
「ん?なに?」
ニコニコと上機嫌なハル。
先程の怒りがまた、ムクムクと湧いてきた。
◇
まったく反省の色がないハルの様子。
近くにあった枕を、自分とハルの間に挟む。
一時しのぎだとわかってはいたが、ハルを許す気になれなかった。
案の定、ハルは「邪魔なんたけど」と不機嫌な声を出す。
ロンは、軽蔑を込めた目でハルを見る。
「ねぇ、なんでこんなことすんの?」
肩を抱かれる。
抱きしめられる腕が強くなった。
「ねぇ、ロン」
甘い声に許してしまいそうになる。
だが先程の自分の醜態を思い出すと、この先ずっと、ハルを許せる気がしなかった。
ハルは枕を引っ張りあげる。
そっぽを向き、ムスッとしているロン。
後ろから手が伸びてくる。
顔を、むにゅっと掴まれる。
「なんでそんなに怒ってるの?そんな嫌だった?」
綺麗な顔が覗き込む。
ハルは不思議そうに僕を見ていた。
僕はその顔を、引っ張りあげたい気持ちに駆られた。
「嫌だって…言ってるだろッ!なん度も、なん度も…!それにッ…していいなんて…言ってなかッた…!」
ハルは僕を見つめる。
別に反省してないように、猫のように近づき、密着してきた。
僕の匂いをスッーと嗅いでいる。
…なに言ってもコイツには伝わらないな
諦めのような境地に至る。
だがハルは口を開いた。
ゆったりとしゃべる。
「こういうことするのに…ロンの意見なんて聞いてないよ。
いつも俺が決めるんだから。
最近優しくしすぎて忘れた?」
ハルの口元が、美しいアーチを描く。
「ねぇ、ロン」
優しそうな顔をし、近づく。
ハルの両腕が、腰と胸板を固定するように回った。
それが…残酷な時の、尿道にカテーテルを入れられた時と重なった。
「ヒュッ…」とロンの喉が鳴った。
青い顔をして固まっているロンに、ハルは「?」と言う顔をし、笑う。
「ロン。おれのこと嫌い?」
不安そうな声。
僕の表情を見ずに言っている。
顔をブンブンと振りたい気分だった。
「ち…ちが、う」
涙声のロン。
こわくなってきた
そして、ハルが怒っているとわかり、そして怒っている理由もわかった。
「ご…こめ」
ハルは「あーあ、怖がらせちゃったかな?」と笑っている。
優しく綺麗な、星のような瞳。
なのに大きな嫌な予感が襲ってくる。
顔面蒼白なロンは、カチンと固まり動かない。
ハルのされるがままに触られる。
今はまだ、抱き締められ、キスされるような、優しいことしかされてない。
「いっ…いやだっ…ハル…」
無意識に身体が逃げる。
ハルの手が下半身にいき、パンツの上から、大きな手に掴まれる。
怯えているロンに、安心させるように優しくほほえむハル。
「ご…ご、めん。もう…言わ、ない」
指先が震える。
ハルの顔は冷たかった。
貼り付けたような笑みをこぼす。
「大丈夫だよ。こわいことはしない」
捕まえ、優しく抱き寄せる。
笑うハルに、怯えるロン。
引き出しからカテーテルを取り出した。
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