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ハルの本性

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「嫌いにならないで…」

低く甘い声だった。
だがわずかに震え、僕の左腕を握る。
ハルの手は熱かった。

彼は今にでも泣き出しそうで、僕は友達の突然の変わりように、ただただ驚いた。

しっかりと握られていたので、振り払えそうもなく、どうすればいいのか、なんて答えればいいのか分からなかった。

高校時代、ハルからの好意に気付いた後、ハルの事が怖くなり、ちょうど告白してきた女子と付き合った。
「察せよ」とでも言うように、ハルがいたらその場を離れた。


同居するようになってから、ハルのスキンシップはエスカレートし、嫉妬もするようになった。
僕がハル以外の人といると間に入り、距離を取らされる。
その時のハルの顔は、怖いったらなかった。

夜になると抜き合いという名目で、体を触られる。
逃げるロンをガッチリ手足で拘束し嫌がらせをされた。
イキたいないのにイカせてもらえず、

「俺と付き合って。そしたらイカしてあげる」

これを毎回言われた。
自分の手で掴もうとしてもその手を握られ、自分のを触らせて貰えない。
ロンは苦しそうな顔で「イキたい」と言う。

「 じゃあ、付き合う?」

あくまで優しい顔で言うハル。
ロンは涙目で、イヤイヤをするように首を振った。
ハルは僕のに爪を立てる。

「ヒウッ」

涙が落ちた。

「…付、き、合う」

震えながら苦しそうに言った。
手を離された後、ボロボロと涙が止まらなかった。
ハルは満足そうにロンの頬にキスを落とした。

毎回言われていた「俺と付き合って」という言葉はこの時以来、「好きって言って」に変わった。
言っていた。
可愛いもんじゃ無い。
圧をかけられ、言わないと酷い事をされるので言っていただけだった。


「どういうことだよ!なんで!!」

取り乱し叫ぶロン。
ロンの元カノとハルが親しそうに話していたのを見たのだ。

「俺と付き合ってるんだろ。
何が何でだ。」

静かに怒っているハル。
悔しそうにしているロンを見ている。
ハルと話していた元カノの顔は、完全にハルのことが好きだった。

「あの子が言ってた新しい男ってハル?」

ハルは何も答えなかった。

「ひどい!」

ホントに俺が、悪者のように言うロンに嫌気がさしてきた。

「…昔から、俺の近くにいたら女子が寄ってくるから俺に近づいたんだろ?
高校の時から、そのおこぼれに預かっていた。
あの女も本命は俺だったんだよ」

淡々と言うハルに

「もう顔も見たくない…」
 
ロンは家から出て行こうとした。
ハルはロンを押さえつけ手錠を付けた。
そして声を上げようとするロンの顔を掴み、口にガムテープを貼った。
……

…ずっと前から考えていた。
ロンを監禁すること。

抵抗するのは最初だけだろう。
あのロンのことだ。
どんどんその生活に馴染んで懐柔していくに違いない。
嘘をつき、スキを見て逃げ出そうとするだろう。
その度に、物分かりの悪い犬に躾けるように仕置きをし、ゆっくり教え込ませていけばいい。
俺の言いなりになったロンを、想像するだけで興奮した。
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