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任務であるかすらわからない任務

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「それで上官…俺はこれからどうしたらいいんですか?その俺が行く女子校とやらはどこにあるんですか?」


 俺は服についたほこりを払いながら上官に尋ねた。


「あ…そういえばまだ言ってなかったな。お前の向かうところはここから南に行った所にあるアレス魔導女子学園だ。この国でも五本の指に入るエリートが集まるところだ。喜べ。」


 アレス魔導女子学園…それは上官の言うとおり確かにそれなりのエリートが集まる学園だ。貴族の令嬢などがその大半を占め庶民はごく一部しかいない。俺のような庶民上がりの男にはまず関わりあいの無いところだが、今回俺はそこへ行かなければ行けないわけだ。貴族の女子が集まる…一見華やかな世界を想像するかも知れないが内情は閉鎖された学園と言う空間での悪質ないじめなどは言わずもがなと言ったとこか…才能を持ってしまった平民などは推薦と言う名の強制入学をさせられるためかなりつらい地獄になるところなのだ。


「わかりました。今更ですがわざわざ女子校に通う意味とは何なのでしょうね。俺を女にしたいだけならもうこれで終わりだろうに。この体の本来の持ち主にアレス魔導女子学園卒業資格でも取らせたいんですかね?ホントよくわからない任務ですね。」


 まぁ…あくまで地獄と言っても学生レベルとしての話だけどな…軍と比べれば子供の遊びだ。俺は軽く返事を返し話を進めることにした。


「さぁな…もしかしたら何か政治的な思惑があって学園でお前に暴れてもらうことが目的かもしれないがな…」


 たしかに…軍トップクラスの俺が学園で手加減無く力を見せれば他の国に対するけん制になるかもしれない。学生でこのレベルの魔法を使えるものを育てられるノウハウがあるというはったりとしては使えるかもしれない。


 とは言えネクロノミコンの写本を使ってまですることかと言われれば俺ならしないと答えるが戦闘馬鹿の俺レベルが考える次元が違うかもしれない。

 いつも斜め上の理解しがたい行動ばかりで無駄に怪我人や死人を出すのが得意な上のお偉いさん方の考えなんて理解できるはずも無い。

 あんまり考えてもわかりそうも無い。


「そうですね…ところでこの任務って経費落ちるんですか?追放扱いになっているのに生活費とかどうしたらいいですか?」


 学園に通いながら魔物でも狩って自力で稼げと?どこの苦学生だよ…


「一応ある程度は生活費が下りるようだ。死なない程度ではあるが…」


 思わず眉間にしわがよってしまう。貧しい暮らしが嫌なわけではない。軍の任務中なら飲まず食わずの張り込みなどよくある事だ。現地の魔物で食料調達なんていつものことだ。


 だがそれはあくまで任務に意味があると信じれたから我慢できたこと。それが自国のためになると信じてたからどんなつらい環境も耐えられた。


 しかし今回はまったくもって意味不明な任務…いや…任務なのかすらわからないこの状況で厳しい生活…思わず眉間にしわがよってしまうのも無理からぬことなのだ。
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