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ネクロノミコンを扱えるもの

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「意外と小さいんですね。」

「魔導書と言えば事典サイズをイメージするものが多いからな。それゆえ写本ですらなかなか誰も見つけられないと言うわけだ。だからこの写本のサイズすら軍事機密になるのだよ。」


 確かに探しているものがこんなサイズとは思わず見過ごしてしまうかもしれないな。わかっていれば他の写本探しの効率もだいぶ変わってくるだろうからな。自分以外のものに見つけてもらいたくない人間からすれば写本のサイズすら重要な秘密というのもうなづける。


「それにしてもまったく…何ですかこの細かすぎる魔法陣は…頭おかしくなりそうですね。さすが発狂すると名高いネクロノミコン…問題の邪心召喚の部分ですらないのにこの狂気そのものを表現したかのような魔法陣は見るだけでうんざりしますね。」


「そうだな。とてもではないが私にはそれを使いこなす自信はないな。それを使えるのはお前くらいか…もしくはあいつくらいか…」


「あいつってあの拷問卿ですか?確かにあいつなら使いこなせそうですが…俺と対等に渡り合えるとしたらあいつくらいでしょうけどあいつと同列で語られるのは正直不快感しかないですね。」


「まぁ確かに性格にはいささかいやかなり問題あるが能力面で言えばお前に匹敵するのは事実だ。総合戦闘力ではお前が一歩勝るが魔法構築能力だけ見れば下手すればお前を超えるんじゃないのか?」


「あいつは人を苦しめるのが好きだから戦闘自体も殺れるときに殺らない悪癖がありますからね。それさえなければあいつと戦うことになれば死を覚悟して戦わないと勝てるかどうかわからないくらいは強いですね。まぁあいつの場合その悪癖が無くなるなどと言う事がないのでまず俺が勝つでしょうが…」


「さて…おしゃべりはこれくらいにして早速それを使ってもらおうか…私もしっかり見届けてその成功を報告しなきゃいけないのでな。」


「はいはい。わかりましたよ。上官殿。おとなしく自分の死刑執行を行いますからしっかり見ていてくださいね。」


「おいおい。もしかしたら男に戻れるかもしれないだろう?死刑執行なんていうなよ。」


「上官だって『もしかしたら』なんて言葉使って希望が限りなく薄いって認めてるじゃないですか。実質この自分の肉体への死刑執行ですよ。」


 俺の言葉に腕組をしたまま視線をそらす上官。



「やっぱりそうじゃないですか。まぁいいですよ。では行きますね…」


 そう言い俺は右手にネクロノミコンの写本を持ちそこに書かれている通りに魔法陣を左手で構築していく。幾重にも幾何学模様が現れ次々に重なっていく。


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