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駆け引き

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「さぁ…答えろ。あの時王子は結構な致命傷だと思ったんだがずいぶん元気そうじゃないか。どうなっている?」

 ど、ど、どうしよう…本当のことを答えるの?私が魔法でちょちょいっと治しましたって…それって結局その場で私殺されない?邪心の杯にとって私の存在はすごく邪魔になるだろうし。どうしよう…でも下手に駆け引きとかしても殺されちゃうしだけど魔法のことを言うわけには行かない…けどけどけど…今すぐ殺されるよりは魔法の事も話したほうが…
 と、とりあえず…

「そ、それは…運よく傷も見た目ほどひどいことにならなくて主要な臓器を傷つけなかったので縫合手術で何とか治ったんです。でも療養に半年ほどかかるので死んだ事にしてうちで預かっていたんです。」

 私は洗いざらい吐くことにした。あくまで表の理由だけを…

「なるほどな…さすが貴族の娘といったところか?難しい言葉をいろいろと知っているな。話も一応筋は通っているが何か隠している気がするな…」

うぐ…しまった…もっと子供っぽいしゃべり方すればよかったかも…でも今更キャラ変えて子供っぽく話したら変に思われるし…ほんと勘の良いやつだわ。

「うぅ…確かに隠している事はあります。でもこれは…うちの領の秘密なんです。私が言ったことを内緒にしてくださるなら話します。」
「まぁいいだろう…お前が条件などつけれる立場じゃないはずだがしゃべる気があるならそれくらいは聞いてやろう。」

  どうせ条件守ってくれる気なんてないくせに…

「じ、実は…」

そして私は語る。いや騙る。

「うちの領にはほかの領の医術より優れた医者が一人いるんです。その人は知る人ぞ知る医者で死者すら蘇らせると噂されるほどの腕でほんとは国王様にも知られたくはなかったのですが王子のピンチとあっては黙っているわけにも行かずわが領の秘密の医者を使って王子を助けたのです。これが全てですわ。」
「なるほどな。秘密の医者か…それで王子が…クラーク領には何か他にも色々秘密がありそうだな。我々の目的を何度も壊してくれたのも何か予言か探知かはたまた優秀な密偵かわからないがそう言った力の持ち主でもいるのだろうな…どうなんだそこのところは…」
「それはわかりません。たぶん他にもうちの領には秘密があると思いますが残念ながら6歳児の女の私にはその秘密をまだ全て教えられていません。私が知っているのはこれだけです。」
「ふむ…確かに…こんな子供に領の秘密全て教えるのも危ういよな。わかった。信じてやろう。」

 ふふふ…計画通り…二度目の隠し事は疑い辛い。隠していた事もフェイクとはなかなか思えないものよ。
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