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イレギュラーさんの挨拶

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 少しざわめきだす式場内。ん?どうしたんだろう?

「…は本来は入学する予定ではなかったのですが、…である父を説得して何とか皆様と一緒に勉強する機会を頂きました。」

 ほほー…すごいやる気熱心な人だね。誰だろう?なんか肝心な部分が聞こえないや。人が邪魔で顔も見えないし少し音割れもしているし。

「身分など気にせず気軽に話しかけてくれると嬉しいです。先生方もどうか……が間違いなどをしてしまった時は遠慮せず叱ったり注意してくれると助かります。」

 へぇ…先生でも怒れないような人か…自分からちゃんと叱れって言うなんて出来た人だ。話し方もちゃんとしっかりしているし6歳にしてはなかなか…

「え…あ…え?なんで…あいつが…ここに?ただの召使じゃなかったのか!?」

 なにやらキースが冷や汗を流しながら舞台の方を見ている。キースがそんな反応するなんて珍しい。んん?誰が挨拶しているの?私は身長が低いので舞台がよく見えない。

「…ですから皆様に負けないくらい頑張って学園生活を楽しいものにしたいとおもいます。」

「…やばい…俺殺されるかも…死刑かな…父さんが何とかしてくれるかな?だいたい…の顔なんて知らないよ。それよりなんで学園に入学してきたんだ?まさか直接俺を始末しに!?…そう言えばどうして俺が新入生代表じゃないんだろうなぁとは思っていたんだけど…あれが来てるんじゃそりゃ俺が代表なれないわけだ…逃げた方が良いかな…逃げた方がまずいかな…どうしよう…」

キースがもはや青い顔をしている。奴隷生活でも特に何も変化のなかったキースがこんな顔するなんて…

「以上を持ちましてボクの挨拶とさせていただきます。新入生代表…レオン=グランハルト。」

 ええええ???!!!?
 誰だって!?どこのレオンさん?同姓同名かな?って…そんなわけないよね…現実を見よう。レオン=グランハルトなんて名前は二つとあるわけがない…
 でもレオンが何で新入生代表なんてやってるの!??王族は専属家庭教師で小学校中学校は行かないんじゃなかったの!?高校であるセイファート学園で初めてその顔を知るって設定だから絶対本来はレオンは小学校なんて通ってないはずなんだけど。どどどどどどどうなっているの!?
 てか、すごくちゃんとした挨拶だったからレオンだって気づかなかったよ!少し会わない間にまた成長したのね…努力したんだね…うぅ…レオン王子はやっぱかっこいい。苦手な事もちゃんと勉強して努力して克服してくる。ただの天才系完璧王子にはないかっこよさがあるよね。どんな困難もこの人となら頑張れば一緒に乗り越えてくれるって感じがして…
 あぁ…やっぱレオン王子大好き…
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