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第四章
「朝ごはんにしよう」
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「ごめん……」
カイは自分の声で目を覚ました。
鈴の音を転がしたような、可愛らしい声。
それは紛れもない、現在のカイ自身の声だった。
「夢……」
カイはしばらくぼんやりと天井を眺めていた。
窓から一筋の朝日が差し込んでいる。
家の外を飛び交う小鳥の影が、光と共に家の中に入りこんでくる。
(そうか、昨日はあのまま寝ちゃったのか)
カイは寝ころんだまま首を回し、状況を確認する。
(……なるほど、悪夢の原因はこれか)
四人は床の間で、ひとかたまりになって雑魚寝をしていた。
シェルティはカイにぴたりと寄り添い、その肩に顔をうずめている。
レオンはカイの腹を枕にしている。
アフィはカイの足を抱き枕にしている。
三人とも安らかな寝息を立てて眠っていた。
カイは腹の重みも足の痺れも、耳にかかる吐息のこそばゆさもまるで意に返さず、声を殺して笑った。
(いつもおれが寝落ちした時は、絶対布団まで連れてってくれるのに)
(よってたかって、犬かよ、こいつら)
カイはふと、飼っていた犬、リュウのことを思い出した。
リュウは中型犬だったが、夜は必ずカイに寄り添って眠った。
どんなに暑い日でも、リュウはカイの側を離れなかった。カイが暑がって離れても、朝には必ず傍に寄っているのだ。
(リュウ、どうしてるかな)
もとの世界と、もとあった生活と、カイはすでに決別していた。
懐かしく思うことはあっても、帰りたいと願うことはもはやなかった。
ただひとつ気がかりなのが、別れも言えず残してきた愛犬のことだった。
(年寄りだからなあ)
(介護とか大変だからって、おざなりな世話されてなきゃいいけど)
(……だいじょうぶか)
(なんだかんだ家族みんな、リュウのこと好きだったもんな)
カイは愛犬の死に目に会えないことを悲しむ反面、安堵の気持ちもあった。
それはラウラの記憶を見た影響だ。
大切なものが死に行く様を、黙って見ていることしかできない苦しみは、筆舌に尽くしがたいものだと、カイはすでに知っていた。
(なんて考えは、身勝手なんだろうけど)
カイは自嘲する。
飼い主としては無責任でもある己の考えに。
(でも、そうでも思わないと、おれは……)
(おれはもう二度とお前を撫でてやれないし)
(散歩も、寝るのも、遊ぶのも、一緒にはもう二度とできないから)
(……ごめんな、リュウ)
やすりでそっと撫でられたかのような、ざらりとした感触が、カイのふくらはぎを伝う。
リュウが舐めたのかと、カイは一瞬錯覚するが、すぐにそれがアフィーの手だと気づく。
少し落ち込んでいたカイの気分は、あっという間に持ち上がる。
(そういえばおれ、アフィーの手の感触を犬の舌みたいって言ってたな)
(どう考えても失礼だけど、これはたしかに、リュウの舌そっくりだ)
アフィーは夢でも見ているのか、カイのふくらはぎをそっと愛撫し続ける。
カイは身を任せながら、これをリュウが見たらきっと怒るだろうな、と思った。
(けっこう嫉妬深かったからな、あいつ)
(おれが他の犬と遊ぶと、すぐ邪魔しにきたし)
(どっか泊まりに行くとすげえ拗ねたし)
(……おれあいつのこと大好きだったけど、あいつもおれのこと大好きだったんだよな)
(……)
(……おれってやっぱ、あっちでは死んだことになってんのかな)
(身体は残ってるのか?それとも行方不明みたいなかんじになってんのかな?)
(……おれが帰らなくて、リュウはどうしたかな)
(父さんも母さんも悲しんでくれるだろうけど、たぶん一番、リュウが悲しんでるよな)
(いや、勝手にいなくなるなんて!って、怒ってるかもしれない)
カイは想像する。
腹を立てて、カイのベッドをめちゃくちゃに引っ掻き回すリュウの姿を。
毛布を引き下ろし、シーツに爪をたて、枕を引き裂いて、疲れ果てたあげくにまるくなって眠る。ベッドの隅、カイの足元にあたる、いつもの定位置で。
カイは胸を痛める。
もとの世界に未練はないはずだが、どうしても、リュウのことだけは、忘れられそうになかった。
(リュウも、おれのこと、忘れないでいてくれるかな)
(……忘れないでほしいな)
(……)
(……やっぱおれって身勝手だ)
カイは再び自嘲し、浅く息を吐いた。
それを受けて、寄り添って眠るシェルティが小さく身じろぎし、うっすらと目を開けた。
「おはよう、シェル」
笑いながら言うカイに、シェルティも蕩けた笑みを返す。
「おはよう。――――なにかいい夢でも見たのかい?」
「夢は見たけど……むしろ悪夢だったよ」
「どんな?」
シェルティはカイの頬に残る涙のあとを拭った。
「どんなだったかな?えっと――――なんか、誰かに足をひっぱられて……」
夢の内容を、カイはすでに忘れかけていた。
シェルティは考え込むカイを急かすことはせず、話の続きを静かに待った。
カイの頭を、そっと撫でながら。
「……おれそんなに寝癖ついてる?」
「いや?慰めてほしいのかな、って思って」
「……まあ、否定はしないけど」
「よっぽど悪い夢だったんだね」
「いや落ち込んだのは自業自得っていうか、夢とは関係なくて、いろいろ考えてたらへこんできただけで……」
「いろいろって?」
「リュウの――――飼ってた犬のこととか……」
そこでふと、カイの胸に疑問が沸いた。
記憶が戻る以前のカイは、もとの世界にいる自分とこの世界にいるラウラが入れ替わってしまったのだと思い込んでいた。
そしてラウラに身体を返さなければいけないと思っていた。
その方法を模索している最中に、カイは真実を知ることとなったのだ。
カイはシェルティをじっと見つめる。
「なあ、シェル。前におれがもとの世界に戻りたいって言ったとき、方法を探してくれるって言ったよな?あれって……あれもやっぱり、おれを騙すための嘘だったのか?」
シェルティは青ざめ、瞼をふせる。
「……すまない」
「あ、いや、ごめん。責めたいわけじゃなくてさ」
カイは慌てて言い繕い、シェルティの頭を撫で返してやる。
「むしろ感謝してるんだ。ラウラの身体で目を覚ましてからおれ、ずっと幸せだったから。それは、みんなが守ってくれたからだから」
「でも嘘をついたことには変わりないだろう?」
「嘘じゃない。それは優しさって言うんだ」
カイの言葉に、シェルティは表情を緩める。
「そうかな」
「そうだよ」
「でも嘘じゃなったこともあるんだ。――――きみに乞われたあと、ぼくは本当に、きみをもとの世界に戻す方法を探していたんだよ」
「えっ」
「きみを呼ぶ方法があるなら、帰す方法があってもおかしくはないと思ってね」
「あったのか……?」
「いいや。少なくともぼくが見た限りでは、なかったね」
シェルティは半年かけて西方霊堂に残された膨大な文献を漁ったが、異界についての記述は無きに等しく、ましてや呼び降ろした魂をもとに戻す方法など、検討された記録さえなかった。
「そのわりに降魂術……こちらへ魂を呼び出す方法だけは詳細に記されているんだから、おかしな話だよね。異界についてだって、実際に呼び出した魂から聞き出した、不確かな情報しか残っていなかったし――――よくもまあそんな不確かな術にエレヴァンの命運を預けられたものだ」
シェルティは呆れながらも、笑みを深くする。
「でもまあそのおかげで、ぼくらは出会えたわけだけど」
カイも笑って頷いた。
「まあな。――――けどほんと、改めてずいぶんな博打だよな。降魂術って、結局ちゃんと成功したのっておれだけなんだろ?」
カイはラウラの記憶で得た、おぼろげな知識をひねり出す。
「他の人たちは……だめだったんだろ?」
「ああ。カイの以前にも大勢の人が降魂術の犠牲となっている。先生も、ラウラの両親も――――」
カイは目を瞠る。
「ラウラの両親も?」
「ああ。……その様子だと、やはりラウラも知らなかったんだね」
ラウラの記憶を見たカイが知らないということは、ラウラも事実を知らなかったということだ。
シェルティは安堵とやるせなさの入り混じった、複雑な心境を抱く。
兄だけでなく両親もエレヴァンために身を捧げたとあっては、あまりにも、ただでさえ悲惨だったラウラの境遇は、目も当てられないものとなる。
本人がそれを知らなかったのは、幸いというべきか、不幸というべきか、シェルティにはわからなかった。
ただそのラウラも、最後は降魂術により命を落とすこととなった。
家族四人、全員が降魂術の犠牲となった。
その事実は、シェルティに重くのしかかった。
すべての責務を放棄したとはいえ、彼の中にはまだラサとしての意識が染みついていた。
「止めなければならなかった。エレヴァンのための犠牲は、ぼくらだけであるべきだったのに――――」
「シェル……」
カイは再びシェルティの頭に手をのばす。
けれどシェルティはそれを避けるように起き上がり、自嘲気味に呟いた。
「いや、きっと、すべてを知っていても、彼女は同じ道を選んだだろう」
「……そうだな。ラウラはど真面目で、正義感の塊だったから」
「ぼくなんかよりずっとラサの気質を持っていたね。ノヴァに影響されたのかな」
「兄妹みたいだったもんな、あの二人。――――っていったら、ラウラ的には複雑かもだけど」
「幼馴染だから仕方ない。それでいえばラウラの生真面目さは、ノヴァというよりは先生の影響が大きいかもしれないけれど」
「先生って?」
「フックス・シェパード。――――ノヴァの父親だよ」
「フックス……フックス先生か!」
カイはラウラの記憶を通して、その人物を知っていた。
物静かで勤勉な、壮齢の男性。ノヴァと同じ燃えるような赤毛を持つ彼は、天涯孤独となったラウラとカーリーにとって、唯一の頼れる大人だった。
「彼は生前、西方霊堂の堂長を務めていて、学舎の子どもたちの指導にもあたっていたんだ。ラウラたち兄妹の師であり、後見人。父代わりといってもいいほど親密な間柄であったと聞いているよ」
シェルティの説明に、カイは大きく頷いた。
「見たよ。厳しいけど、思慮深くて、教えるのもうまくて――――すごくいい先生だった」
シェルティは苦笑した。
「ああ、まったく。あれほど失くすに惜しい人材もいなかった」
「え?」
カイははっとする。
「あ、もしかして、さっき言ってた先生ってのも――――」
そうなんだ、とシェルティは低い声で答えた。
「彼もまた、降魂術の犠牲者なんだ」
シェルティはフックスとほとんど面識がない。
しかし母親、マルキーシェが彼のことを先生と呼んでいたので、彼にとってもフックスは先生だった。
母親の口ぶりから、フックスが尊敬すべき人格者であることを、シェルティは知っていた。
だからこそ嫉妬に狂った実父、チャーリーがいくら恨み言を吐こうとも、同じようにフックスを憎むようなことはなかった。
しかし現在のシェルティのフックスに対する心象は、当時とはやや異なる。
正確に言えば、フックスではなく、降魂術によってフックスの中に入ったものに対して、だ。
シェルティはこの半年でようやく、病死だとされていたフックスの死因が、降魂術によるものだと知った。
チャーリーが嫉妬に狂ったのは、これまで誰かを特別扱いすることのなかったマルキーシェが、病床のフックスに深い懸想を見せたからだ。
そして明かされた事実によれば、それが向けられたのはフックスではなく、フックスの中に入った誰か、ということになる。
父を狂わせたのは、母の心を奪ったのは、異界人だったのだ。
カイとは異なり、その異界人がフックスの身体に定着することはなかった。
目覚めてから一度も起き上がることができず、一年足らずで永遠の眠りについたその人に、シェルティは同情と、ほんの僅かな恨みを抱いていた。
少なくともその人が母の心を奪わなければ、父が嫉妬に飲まれるようなことはなかったのだから。
「――――話が逸れてしまったね」
シェルティはもう二度と修復できない父母の関係に対する憂慮を振り払い、話題を転じた。
「とにかく、ぼくなりにこの半年、きみをもとの世界に戻す方法を探したんだけど、やっぱり見つからなかった。――――もちろんぼくはきみに戻ってほしくはなかった。でもその方がここに残るよりいいと思ったんだ。こんなめちゃくちゃになった世界で、息を潜めて生きるよりはずっとね」
シェルティはカイを枕にする二人の頭を小突く。
「この馬鹿二人も、それは同じ思いだったよ。だからぼくは探したんだ」
アフィーは身動ぎもせず眠り続けていたが、レオンは不愉快そうに鼻を鳴らした。
「おれは全員が一緒に行く方法を探せと言ったぞ」
「起きているならカイの上からその汚い頭をどけろ」
レオンは挑発するように口角をあげ、カイの腹に頭をこすりつけた。
「ぐえっ」
カイは蛙のようなうめき声を漏らす。
「おい!」
シェルティは再びレオンの額を叩こうとする。
レオンはさっと起き上がり、それを避ける。
「あっ」
シェルティは勢いあまってカイの腹を叩いてしまう。
「ぐええっ!」
「す、すまない」
「ぜんぜんだいじょうぶ……」
シェルティはカイの腹をさすりながら、レオンを睨み付ける。
「お前よくも……」
「あ?やったのはお前だろ」
「お前が誘導したんじゃないか」
「すぐに手が出る癖、直した方がいいぞ」
「お前にだけは言われたくない!」
「ははっ!」
カイは思わず吹き出してしまう。
「……なんで笑うんだい?」
「いや、珍しくシェルが口でやられてると思って――――いてっ!?ごめんうそ!うそだって!」
シェルティに腹をつねられたカイはバタバタと身もだえる。
「つまむ肉もない腹だから痛いだろう?」
「わかってるならやんなよ!」
「こんな薄いおなかを枕にするなんて、レオンはひどいやつだね?それを叱ったぼくにきみは感謝すべきだね?」
「わかったよ!ごめんって!」
「……むう」
暴れるカイに蹴りつけられたアフィが、寝ぼけたまま抗議の声をあげる。
「うるさい……」
「お前はいい加減に起きろ」
シェルティはカイの足からアフィーを引き離そうとするが、アフィーはしがみついて抵抗する。
「いててっ!アフィー!足!折れる!」
「……うん」
「うんじゃなくて!寝ぼけてる!?起きて!!攣りそうなんだど!足!」
「うん」
アフィーはカイの足を手離した。
しかしカイがほっと息をついた瞬間、アフィーはカイの太ももに齧りついた。
「うぎゃっ!?」
カイは悲鳴をあげる。
シェルティは慌ててアフィーの頬をはる。
「こら!おい!起きろケダモノ!」
「んむ……」
しかしアフィーは目を開けることなく、カイの太ももを噛み続ける。
「こいつに関してはガキどころか赤ん坊だな」
「いや笑ってないで助けてよレオン!」
レオンは仕方ない、と鼻を鳴らし、アフィーの口の中に指をねじこみ、無理やり開かせた。
「むっ!?」
アフィーは目を開け、起き上がった。
「……?」
寝ぼけていたアフィーは、状況がわからず、自身の頬をさすりながら首をひねる。
「口が……痛い……?」
「だろうな」
「わたしの……朝ごはんは……?」
「先ほどまで噛みついていたものなら目の前だぞ」
アフィーは歯型の残るカイの太ももを目に止めると、はっと目を見開いた。
「カイに……なにをした……!」
アフィーはレオンとシェルティを睨み付ける。
「……」
レオンとシェルティは無言でアフィーの頬をつねり上げる。
「……!?」
アフィーはわけがわからないといったふうに眉間にしわを寄せる。
寝ぐせのついた頭で、涎のあとの残る口元で、両頬をつねりあげられるさまは、さすがの美人も形無しだった。
カイはまた吹き出しそうになり、必死で堪えたが、留めといわんばかりに、アフィーが腹の音を鳴らした。
ぐううう、と、獣の唸り声のような音が響く。
「ぶっ!」
「ふっ」
「くっ……」
レオンとシェルティもたまらず笑ってしまい、アフィーだけが、やはり置いていかれたまま、眉間の皺を深くする。
「なに……?」
「ははは、い、いや、やっぱアフィーはいいなあ」
「……?」
ひとしきり笑った後で、カイは上体を起こし、痺れる足をさすりながら言った。
「とりあえず、朝ごはんにしよ。おれもおなか減ったし!」
「ごめん……」
カイは自分の声で目を覚ました。
鈴の音を転がしたような、可愛らしい声。
それは紛れもない、現在のカイ自身の声だった。
「夢……」
カイはしばらくぼんやりと天井を眺めていた。
窓から一筋の朝日が差し込んでいる。
家の外を飛び交う小鳥の影が、光と共に家の中に入りこんでくる。
(そうか、昨日はあのまま寝ちゃったのか)
カイは寝ころんだまま首を回し、状況を確認する。
(……なるほど、悪夢の原因はこれか)
四人は床の間で、ひとかたまりになって雑魚寝をしていた。
シェルティはカイにぴたりと寄り添い、その肩に顔をうずめている。
レオンはカイの腹を枕にしている。
アフィはカイの足を抱き枕にしている。
三人とも安らかな寝息を立てて眠っていた。
カイは腹の重みも足の痺れも、耳にかかる吐息のこそばゆさもまるで意に返さず、声を殺して笑った。
(いつもおれが寝落ちした時は、絶対布団まで連れてってくれるのに)
(よってたかって、犬かよ、こいつら)
カイはふと、飼っていた犬、リュウのことを思い出した。
リュウは中型犬だったが、夜は必ずカイに寄り添って眠った。
どんなに暑い日でも、リュウはカイの側を離れなかった。カイが暑がって離れても、朝には必ず傍に寄っているのだ。
(リュウ、どうしてるかな)
もとの世界と、もとあった生活と、カイはすでに決別していた。
懐かしく思うことはあっても、帰りたいと願うことはもはやなかった。
ただひとつ気がかりなのが、別れも言えず残してきた愛犬のことだった。
(年寄りだからなあ)
(介護とか大変だからって、おざなりな世話されてなきゃいいけど)
(……だいじょうぶか)
(なんだかんだ家族みんな、リュウのこと好きだったもんな)
カイは愛犬の死に目に会えないことを悲しむ反面、安堵の気持ちもあった。
それはラウラの記憶を見た影響だ。
大切なものが死に行く様を、黙って見ていることしかできない苦しみは、筆舌に尽くしがたいものだと、カイはすでに知っていた。
(なんて考えは、身勝手なんだろうけど)
カイは自嘲する。
飼い主としては無責任でもある己の考えに。
(でも、そうでも思わないと、おれは……)
(おれはもう二度とお前を撫でてやれないし)
(散歩も、寝るのも、遊ぶのも、一緒にはもう二度とできないから)
(……ごめんな、リュウ)
やすりでそっと撫でられたかのような、ざらりとした感触が、カイのふくらはぎを伝う。
リュウが舐めたのかと、カイは一瞬錯覚するが、すぐにそれがアフィーの手だと気づく。
少し落ち込んでいたカイの気分は、あっという間に持ち上がる。
(そういえばおれ、アフィーの手の感触を犬の舌みたいって言ってたな)
(どう考えても失礼だけど、これはたしかに、リュウの舌そっくりだ)
アフィーは夢でも見ているのか、カイのふくらはぎをそっと愛撫し続ける。
カイは身を任せながら、これをリュウが見たらきっと怒るだろうな、と思った。
(けっこう嫉妬深かったからな、あいつ)
(おれが他の犬と遊ぶと、すぐ邪魔しにきたし)
(どっか泊まりに行くとすげえ拗ねたし)
(……おれあいつのこと大好きだったけど、あいつもおれのこと大好きだったんだよな)
(……)
(……おれってやっぱ、あっちでは死んだことになってんのかな)
(身体は残ってるのか?それとも行方不明みたいなかんじになってんのかな?)
(……おれが帰らなくて、リュウはどうしたかな)
(父さんも母さんも悲しんでくれるだろうけど、たぶん一番、リュウが悲しんでるよな)
(いや、勝手にいなくなるなんて!って、怒ってるかもしれない)
カイは想像する。
腹を立てて、カイのベッドをめちゃくちゃに引っ掻き回すリュウの姿を。
毛布を引き下ろし、シーツに爪をたて、枕を引き裂いて、疲れ果てたあげくにまるくなって眠る。ベッドの隅、カイの足元にあたる、いつもの定位置で。
カイは胸を痛める。
もとの世界に未練はないはずだが、どうしても、リュウのことだけは、忘れられそうになかった。
(リュウも、おれのこと、忘れないでいてくれるかな)
(……忘れないでほしいな)
(……)
(……やっぱおれって身勝手だ)
カイは再び自嘲し、浅く息を吐いた。
それを受けて、寄り添って眠るシェルティが小さく身じろぎし、うっすらと目を開けた。
「おはよう、シェル」
笑いながら言うカイに、シェルティも蕩けた笑みを返す。
「おはよう。――――なにかいい夢でも見たのかい?」
「夢は見たけど……むしろ悪夢だったよ」
「どんな?」
シェルティはカイの頬に残る涙のあとを拭った。
「どんなだったかな?えっと――――なんか、誰かに足をひっぱられて……」
夢の内容を、カイはすでに忘れかけていた。
シェルティは考え込むカイを急かすことはせず、話の続きを静かに待った。
カイの頭を、そっと撫でながら。
「……おれそんなに寝癖ついてる?」
「いや?慰めてほしいのかな、って思って」
「……まあ、否定はしないけど」
「よっぽど悪い夢だったんだね」
「いや落ち込んだのは自業自得っていうか、夢とは関係なくて、いろいろ考えてたらへこんできただけで……」
「いろいろって?」
「リュウの――――飼ってた犬のこととか……」
そこでふと、カイの胸に疑問が沸いた。
記憶が戻る以前のカイは、もとの世界にいる自分とこの世界にいるラウラが入れ替わってしまったのだと思い込んでいた。
そしてラウラに身体を返さなければいけないと思っていた。
その方法を模索している最中に、カイは真実を知ることとなったのだ。
カイはシェルティをじっと見つめる。
「なあ、シェル。前におれがもとの世界に戻りたいって言ったとき、方法を探してくれるって言ったよな?あれって……あれもやっぱり、おれを騙すための嘘だったのか?」
シェルティは青ざめ、瞼をふせる。
「……すまない」
「あ、いや、ごめん。責めたいわけじゃなくてさ」
カイは慌てて言い繕い、シェルティの頭を撫で返してやる。
「むしろ感謝してるんだ。ラウラの身体で目を覚ましてからおれ、ずっと幸せだったから。それは、みんなが守ってくれたからだから」
「でも嘘をついたことには変わりないだろう?」
「嘘じゃない。それは優しさって言うんだ」
カイの言葉に、シェルティは表情を緩める。
「そうかな」
「そうだよ」
「でも嘘じゃなったこともあるんだ。――――きみに乞われたあと、ぼくは本当に、きみをもとの世界に戻す方法を探していたんだよ」
「えっ」
「きみを呼ぶ方法があるなら、帰す方法があってもおかしくはないと思ってね」
「あったのか……?」
「いいや。少なくともぼくが見た限りでは、なかったね」
シェルティは半年かけて西方霊堂に残された膨大な文献を漁ったが、異界についての記述は無きに等しく、ましてや呼び降ろした魂をもとに戻す方法など、検討された記録さえなかった。
「そのわりに降魂術……こちらへ魂を呼び出す方法だけは詳細に記されているんだから、おかしな話だよね。異界についてだって、実際に呼び出した魂から聞き出した、不確かな情報しか残っていなかったし――――よくもまあそんな不確かな術にエレヴァンの命運を預けられたものだ」
シェルティは呆れながらも、笑みを深くする。
「でもまあそのおかげで、ぼくらは出会えたわけだけど」
カイも笑って頷いた。
「まあな。――――けどほんと、改めてずいぶんな博打だよな。降魂術って、結局ちゃんと成功したのっておれだけなんだろ?」
カイはラウラの記憶で得た、おぼろげな知識をひねり出す。
「他の人たちは……だめだったんだろ?」
「ああ。カイの以前にも大勢の人が降魂術の犠牲となっている。先生も、ラウラの両親も――――」
カイは目を瞠る。
「ラウラの両親も?」
「ああ。……その様子だと、やはりラウラも知らなかったんだね」
ラウラの記憶を見たカイが知らないということは、ラウラも事実を知らなかったということだ。
シェルティは安堵とやるせなさの入り混じった、複雑な心境を抱く。
兄だけでなく両親もエレヴァンために身を捧げたとあっては、あまりにも、ただでさえ悲惨だったラウラの境遇は、目も当てられないものとなる。
本人がそれを知らなかったのは、幸いというべきか、不幸というべきか、シェルティにはわからなかった。
ただそのラウラも、最後は降魂術により命を落とすこととなった。
家族四人、全員が降魂術の犠牲となった。
その事実は、シェルティに重くのしかかった。
すべての責務を放棄したとはいえ、彼の中にはまだラサとしての意識が染みついていた。
「止めなければならなかった。エレヴァンのための犠牲は、ぼくらだけであるべきだったのに――――」
「シェル……」
カイは再びシェルティの頭に手をのばす。
けれどシェルティはそれを避けるように起き上がり、自嘲気味に呟いた。
「いや、きっと、すべてを知っていても、彼女は同じ道を選んだだろう」
「……そうだな。ラウラはど真面目で、正義感の塊だったから」
「ぼくなんかよりずっとラサの気質を持っていたね。ノヴァに影響されたのかな」
「兄妹みたいだったもんな、あの二人。――――っていったら、ラウラ的には複雑かもだけど」
「幼馴染だから仕方ない。それでいえばラウラの生真面目さは、ノヴァというよりは先生の影響が大きいかもしれないけれど」
「先生って?」
「フックス・シェパード。――――ノヴァの父親だよ」
「フックス……フックス先生か!」
カイはラウラの記憶を通して、その人物を知っていた。
物静かで勤勉な、壮齢の男性。ノヴァと同じ燃えるような赤毛を持つ彼は、天涯孤独となったラウラとカーリーにとって、唯一の頼れる大人だった。
「彼は生前、西方霊堂の堂長を務めていて、学舎の子どもたちの指導にもあたっていたんだ。ラウラたち兄妹の師であり、後見人。父代わりといってもいいほど親密な間柄であったと聞いているよ」
シェルティの説明に、カイは大きく頷いた。
「見たよ。厳しいけど、思慮深くて、教えるのもうまくて――――すごくいい先生だった」
シェルティは苦笑した。
「ああ、まったく。あれほど失くすに惜しい人材もいなかった」
「え?」
カイははっとする。
「あ、もしかして、さっき言ってた先生ってのも――――」
そうなんだ、とシェルティは低い声で答えた。
「彼もまた、降魂術の犠牲者なんだ」
シェルティはフックスとほとんど面識がない。
しかし母親、マルキーシェが彼のことを先生と呼んでいたので、彼にとってもフックスは先生だった。
母親の口ぶりから、フックスが尊敬すべき人格者であることを、シェルティは知っていた。
だからこそ嫉妬に狂った実父、チャーリーがいくら恨み言を吐こうとも、同じようにフックスを憎むようなことはなかった。
しかし現在のシェルティのフックスに対する心象は、当時とはやや異なる。
正確に言えば、フックスではなく、降魂術によってフックスの中に入ったものに対して、だ。
シェルティはこの半年でようやく、病死だとされていたフックスの死因が、降魂術によるものだと知った。
チャーリーが嫉妬に狂ったのは、これまで誰かを特別扱いすることのなかったマルキーシェが、病床のフックスに深い懸想を見せたからだ。
そして明かされた事実によれば、それが向けられたのはフックスではなく、フックスの中に入った誰か、ということになる。
父を狂わせたのは、母の心を奪ったのは、異界人だったのだ。
カイとは異なり、その異界人がフックスの身体に定着することはなかった。
目覚めてから一度も起き上がることができず、一年足らずで永遠の眠りについたその人に、シェルティは同情と、ほんの僅かな恨みを抱いていた。
少なくともその人が母の心を奪わなければ、父が嫉妬に飲まれるようなことはなかったのだから。
「――――話が逸れてしまったね」
シェルティはもう二度と修復できない父母の関係に対する憂慮を振り払い、話題を転じた。
「とにかく、ぼくなりにこの半年、きみをもとの世界に戻す方法を探したんだけど、やっぱり見つからなかった。――――もちろんぼくはきみに戻ってほしくはなかった。でもその方がここに残るよりいいと思ったんだ。こんなめちゃくちゃになった世界で、息を潜めて生きるよりはずっとね」
シェルティはカイを枕にする二人の頭を小突く。
「この馬鹿二人も、それは同じ思いだったよ。だからぼくは探したんだ」
アフィーは身動ぎもせず眠り続けていたが、レオンは不愉快そうに鼻を鳴らした。
「おれは全員が一緒に行く方法を探せと言ったぞ」
「起きているならカイの上からその汚い頭をどけろ」
レオンは挑発するように口角をあげ、カイの腹に頭をこすりつけた。
「ぐえっ」
カイは蛙のようなうめき声を漏らす。
「おい!」
シェルティは再びレオンの額を叩こうとする。
レオンはさっと起き上がり、それを避ける。
「あっ」
シェルティは勢いあまってカイの腹を叩いてしまう。
「ぐええっ!」
「す、すまない」
「ぜんぜんだいじょうぶ……」
シェルティはカイの腹をさすりながら、レオンを睨み付ける。
「お前よくも……」
「あ?やったのはお前だろ」
「お前が誘導したんじゃないか」
「すぐに手が出る癖、直した方がいいぞ」
「お前にだけは言われたくない!」
「ははっ!」
カイは思わず吹き出してしまう。
「……なんで笑うんだい?」
「いや、珍しくシェルが口でやられてると思って――――いてっ!?ごめんうそ!うそだって!」
シェルティに腹をつねられたカイはバタバタと身もだえる。
「つまむ肉もない腹だから痛いだろう?」
「わかってるならやんなよ!」
「こんな薄いおなかを枕にするなんて、レオンはひどいやつだね?それを叱ったぼくにきみは感謝すべきだね?」
「わかったよ!ごめんって!」
「……むう」
暴れるカイに蹴りつけられたアフィが、寝ぼけたまま抗議の声をあげる。
「うるさい……」
「お前はいい加減に起きろ」
シェルティはカイの足からアフィーを引き離そうとするが、アフィーはしがみついて抵抗する。
「いててっ!アフィー!足!折れる!」
「……うん」
「うんじゃなくて!寝ぼけてる!?起きて!!攣りそうなんだど!足!」
「うん」
アフィーはカイの足を手離した。
しかしカイがほっと息をついた瞬間、アフィーはカイの太ももに齧りついた。
「うぎゃっ!?」
カイは悲鳴をあげる。
シェルティは慌ててアフィーの頬をはる。
「こら!おい!起きろケダモノ!」
「んむ……」
しかしアフィーは目を開けることなく、カイの太ももを噛み続ける。
「こいつに関してはガキどころか赤ん坊だな」
「いや笑ってないで助けてよレオン!」
レオンは仕方ない、と鼻を鳴らし、アフィーの口の中に指をねじこみ、無理やり開かせた。
「むっ!?」
アフィーは目を開け、起き上がった。
「……?」
寝ぼけていたアフィーは、状況がわからず、自身の頬をさすりながら首をひねる。
「口が……痛い……?」
「だろうな」
「わたしの……朝ごはんは……?」
「先ほどまで噛みついていたものなら目の前だぞ」
アフィーは歯型の残るカイの太ももを目に止めると、はっと目を見開いた。
「カイに……なにをした……!」
アフィーはレオンとシェルティを睨み付ける。
「……」
レオンとシェルティは無言でアフィーの頬をつねり上げる。
「……!?」
アフィーはわけがわからないといったふうに眉間にしわを寄せる。
寝ぐせのついた頭で、涎のあとの残る口元で、両頬をつねりあげられるさまは、さすがの美人も形無しだった。
カイはまた吹き出しそうになり、必死で堪えたが、留めといわんばかりに、アフィーが腹の音を鳴らした。
ぐううう、と、獣の唸り声のような音が響く。
「ぶっ!」
「ふっ」
「くっ……」
レオンとシェルティもたまらず笑ってしまい、アフィーだけが、やはり置いていかれたまま、眉間の皺を深くする。
「なに……?」
「ははは、い、いや、やっぱアフィーはいいなあ」
「……?」
ひとしきり笑った後で、カイは上体を起こし、痺れる足をさすりながら言った。
「とりあえず、朝ごはんにしよ。おれもおなか減ったし!」
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