2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件

後藤蓮

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1章

36話 商業ギルドのお爺さん

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 馬車に揺られること、二十分程で、目的地の商業ギルドへと到着する。
 馬車の中では、先程渡したペアリングの代金にと、大金貨五枚、金貨十枚、大銀貨百枚、銀貨百枚、大銅貨百枚、銅貨百枚の入った重い重い巾着袋を頂いた。ちなみに計7,111,000ゴル。日本円にして七千万越えだ。

 泊めてもらったお礼にと渡したはずが、とんでもない額になって返ってきたよ?

 受け取れないって何回も言ってんのに、「私と家族の命を助けてもらったお礼すらまだ返しきれていないのに、指輪まで無料で貰うなんて出来ない!!」などと意味のわからない供述をしており状態で、もう仕方ないから貰っておいた。

 うん、これからは家を買うまで宿泊まらないといけないからお金があるのには困らないし、ありがたいんだけどね。
 あれ以上言い返しても水掛け論にしかならないしね。

 別に欲に目が眩んだわけじゃないぞ? お金はいくらあっても困らないって言うじゃん? 店を開く軍資金に必要じゃん! だから仕方なかったんだよ!!!! 俺は悪くないぞ?


 とまあ、そんなことを考えてるうちに気づけば商業ギルドの応接間まで辿り着いていた。中には俺とべルート公爵だけが入室し、他のお付の人達は別室で待機ということだ。

 いつの間にきたんだ!?!? と思ったけど、気づいたらそこにいたんだから仕方ない。

 応接間に案内されてから一分もしないうちに、初老の男性が一人で入室してきた。恐らく商業ギルドのマスターだろう。俺とべルート公爵が座っているソファーの対面に位置するソファーに彼が腰をかけたところで、早速べルート公爵が話を始める。


「ビル殿、急な連絡に対応してくれて感謝する」

「ほっほっほ。この老いぼれに楽しい話題を提供してくれてむしろ感謝するのはわしの方ですぞ」

「そう言っていただけると、助かるよ。それで........」

 べルート公爵は話を途中で止めると、俺の方を横目でチラッと見る。それにつられてお爺さんも俺を品定めするかの様な目で俺をじっくりと観察してくる。

「この子.....いや、方が朝にも言っていた、レイ君......いや、さんか。凄くお若いようですな?」

 うん、俺15歳だから日本ではまだまだ子供な年齢だからね? お若いのは当たり前ですよお爺さん。

「まあ、歳は若いが実力はホンモノだぞ? 一撃でワイバーンを倒す実力と高レベルの魔法も使えて、何よりこの指輪を片手間で造り出すほどの錬金術師だ」

 べルート公爵は、そう言ってペアリングとは別に俺が造った宝石を装飾していない指輪をお爺さんに見せつける。
 いや、ていうかその話題はあんまりっていうか切実に広めて欲しくないんですけどぉっ!?

「っと、少し口が滑ってしまったがレイの実力については、秘密にしておいて欲しい。これはお願いではなく領主命令だ」

 っと流石べルート公爵様! 俺は信じていましたよ! ええ! 微塵も疑っていませんでした!

「了承した。それで、その指輪、もっと近くで見させてもらいたいんだが、いいですかのう?」

「ああ、じっくり見てくれ.......」

 べルート公爵はそう言うと、手前にあるテーブルに俺が造った指輪を丁寧に置く。それをすぐ様お爺さんが手に取ってじっくりと観察しだす。

「ふむふむ.....デザインはあまり見たことがない感じだが、かなり鮮やかで、且つシンプルで非常に良い。指輪自体の効果は........ふぉ!? 防御力+100じゃと!!!」

「っっ!!?!?」

 お爺さんがいきなり大声を出したのにびっくりして、身体がビクッとなってしまった。隣をチラッと見るとべルート公爵は微動だにしていない。くそ、なんだか恥ずかしい........。

「っとすまんすまん。これだけの若人がこれだけ上質の指輪を造るとは.....いやはや。長生きはするものですな......」

「ふふっ。そうだろう。で、本題に入るが、その指輪は売れると思うか?」

 べルート公爵は、いきなりド直球で質問を投げかけた。いや、まだオレの心の準備が出来てないよ!

「まあ、間違いなく売れるな。ただ、効果自体はもっと落としたのも売りに出さんと、貴族や富裕層にしか売れないとは思うがの」

 おお、良かった。商業ギルドのマスターに売れるって

「ふむ、なるほど。レイ、これ以下の効果の物は今すぐ作れたりするのか?」

「へっ!?!? は、はい! や、やってみます!」

 ホットしたのも束の間、急に話題を振られて声が上擦ってしまったが、それを煙に巻く為にすぐに行動を開始する。

 指輪を造るための材料となる銀をアイテムボックスから一つ取り出す。

 デザインは......普通にシンプルな普通のリングでいいだろう。それで、確か、効果を下げなきゃ行けないんだよな?

 うーんと、やり方は.......なるほど、防御力上昇をイメージしつつ、上昇率は最低値をイメージするだけね。

 俺は叡智で調べた方法をそのまま実行するように、錬金術を発動する。

 てか、さっきは何も考えてないで造ったはずなのに、防御力が上昇したってことは、無意識に防御力上昇のイメージがついていたということかな? まあ、そこら辺もこれから試せばいいか。

 そんなことを考えているうちに、錬金術の工程が全て終わり、手の上にあった銀の塊は、シンプルなリングに姿を変え終えていた。


 っと、忘れないうちに、裏側に銘を打って......よし、完成だ。

「こ、これでどうでしょうか?」

「.........防御力+50か........。これくらいならまあ、さっきのよりは大分売れやすい品ではあるな、ふむ、これなら大丈夫そうじゃな」

 おお、なんとかなったん......だよな? ふうー。良かった。これで一歩前進だ。

「おお! それは良かった。まあ、なんの心配もしていなかったがな。それで、レイの手形はもう貰えるのか?」

「まあまあ、領主様。そんなに焦らないで下さいな。まだレイさんに商業ギルドの説明すらしていないのですぞ? とそう言えば自己紹介すらまだであったな。ごほんっ。 私の名前は、ビル・バニーカ。商業ギルドデル支部のギルドマスターをやらせてもらっている。以後よろしく頼むよ。」

 俺はそう言われて初めてまだ名前すら名乗っていなかったことを思い出す。

「あっと、わ、私は、レイです。えっとこれから商人になる予定です? あの、よろしくお願いします!!!」

「ほっほっほ。先程も思ったが、若くて貴族でもないというのにかなり礼儀正しいようだの。とまあ雑談はこのくらいにして、早速商業ギルドの説明をさせてもらうぞ」

 そう言うと、お爺さん......改めて、ビルさんは、長々と商業ギルドについての説明を行ってくれた。
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