僕を監禁したのは、、、

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幸せ(煌翔視点)

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頭の中に雷が落ちたような感覚になったのを、今でも鮮明に覚えている。

俺には感情がないと思っていた。

誰と話すにしても、楽しくない、おもしろくない。

幼少期からそうだった。
地元では有名な企業の社長のもとに生まれてきた俺は、ほしいもの、やりたいことを何ひとつ不自由なく手にすることができた。

でも、何をしても、おもしろくない。

他の子どもたちは、たくさんはしゃいで、たくさん遊んで、たくさん泣いて生きているのに。

俺はそんな遊び時間も、親に後継ぎになれと言われ、勉強の日々。

小学生になっても、何も変わらない。

ただただ寄ってくる奴らに友達になってくれだのいっしょに遊びたいだの言われ、とりあえず遊ぶ日々。
はっきり言って、クソ退屈だ。

小さい頃からやりたくもない勉強をさせられ、その影響で頭だけはまともになっていた。


少し経って、小学3年生のとき。

俺に初めて友達と呼べる存在ができた。

暇なときはいっしょに遊んだり、話したり。
そしてそいつにだけ、自分の家の事を話した記憶がある。そいつは驚いていたけど、次の日からも何気なく話しかけてきた。

あいつは俺の家の事を、誰にも話していなかった。

でも、4年生の夏、あいつは引っ越してしまった。しかも、どこかを知らせずに。

そのショックで、そいつの記憶はほとんどがなくなってしまった。どうあがいても、「いた」ことしか思い出せない。

そこから、俺の見る世界はモノクロになり、全てのことに興味がなくなった。

頭だけは無駄に成長し、学校の教師、クラスの奴らから羨ましがられた。俺は適当に愛想笑いをして、その場を凌いでいた。

それは中学生になっても変わらない・・・と思っていたが、入学式の翌日、自分の目を疑った。

その視線の先には、他とは違う輝きを放ち、少し緊張を孕ませた、可愛い少年がいた。
彼だけスポットライトを当てられたかのように光って見え、遠くから見てもわかるほど丸くておっきい目。
緊張していて、頬が紅く、熱を帯びているであろう身体。彼をひと目見ただけで、世界が色を取り戻した。
 
人生で初めて自分から親以外に話しかけようとしてみたら、さらに衝撃を受けた。

彼から話しかけてきたのだ。
「背でかくない?羨ましいなぁ」
そう言って話す彼は、初対面らしくなく、いきなりタメ口で話しかけてきた。でも、顔は少し赤い。それに、もじもじしている。

「そう?そんなに気にしたことなかったな。」
「いや、僕なんかちっちゃすぎてチビってずっと言われてるもん。」

こんなにちっちゃくて可愛い少年にそんなことを言う奴らがいるのかと、少し怒りというものを覚えた。

(あれ、今までこんなに体が熱くなったことなんてあったっけ。)

己の次々にでてくる感情に戸惑った。
その少年は鈴木大翔と名乗った。俺も名前を言うと、
「えぇ!かっこいい名前!」
と言われ、初めて親に感謝した。
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