ゲスの極み乙女?

冷暖房完備

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あゆの場合

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パート先の忘年会で それほど親しくない社員の彼と隣同士になった。
お酒の進むうちに会話は彼の過去の恋愛話になった。
バツイチの彼は二年前に三年付き合った既婚者の女性の話をした。
こんなの聞いてイイのかなと心配になったけど、その切ない恋模様に涙が溢れた。
その時一緒に話を聞いていた友達が
「女を忘れるには女よ?アタシなんてどうかな?」
既婚者である彼女からの提案に涙も引っ込んだ。
え?ええ!?
なんて驚いてる間に あれよあれよと二人は付き合うことになっていた。




たまたま その場にいた、というだけで そんな二人とラインのグループチャットをすることになった。
初めての男友達て感じで肩の凝らない関係も居心地が良かったし、楽しかった。
時々、あ~二人で話してることなのかな?と思うような二人にしか分からない会話も載っていたが気にならなかった。
三人で会うことも楽しくて楽しくて、、、。
ある日の飲み会に少し遅れると友達のラインが入った。
すると彼、ゆう君が少し気まずそうに話し出した。
元カノを忘れられないと、、、。
こんな気持ちで彼女と付き合ってることは つらいと、、、。
その本当に本当にツラそうな姿に胸が締め付けられた。

ーーそんな気に病むことないよ?あの子には他に何人も男がいるんだから、、、ーー

そう言って慰めてあげたい。
でもそれは言ってはいけない一言だと思った。
二人の間で私の方こそ胸が痛くて痛くて、、、つらかった。




「見て見て!!ゆう君から誕生日プレゼントに時計もらっちゃった!!ネットで調べたら二万はしてたよ」
嬉しそうに時計を見せる友達に 曖昧な笑顔で返す。
その時計と一緒に腕を彩るのは他の彼からもらったブレスレット。
なんとも言えない気持ちになる、、、。
「ねぇそろそろ一人に絞ったら?」
「なによ急にぃ。一人にって言うけど元々アタシには旦那もいるし、あゆには分からないかも知れないけど皆それぞれ大好きなんだよね」
その理屈は何度聞いても理解できないけど、、、。
「まぁゆう君はイイ年だし老後が心配だなぁとは思うよ?でも独身なのは彼だけだし、彼のお金は全部アタシのモノだから!!」
パキン
胸の中で何が弾けた気がした。
「誰か一人に絞って、、、ゆう君は本当に あなたのこと好きなのよ。可哀想だわ」
「え~?なになに?もしかして彼のこと好きなの?」
瞬間カァと顔が熱くなった。
「え?まじで?でもゴメンね。彼はアタシのだから」
友達は不敵に笑った。





それからグループチャットで会話がされることはなかった。
私も入る気にはなれなかった。
切なくて泣いたけど、どんなに思っても彼は私のものじゃない。
パートの帰り道、ふいに声をかけられた。
振り返るとゆう君がいた。
「最近あんま話してないな、、、ちょっと飯でも食わないか?」
それを断ることは私には できなかった。





「あいつに別れ話をしたんだ、でも別れたくないって泣かれた。あんな声で泣かれたら何も言えなかった」
どんな声で泣いたんだろう、、、。
気持ち悪いと思った。
他に男が何人もいて、ゆう君のことを金づるくらいにしか思ってないのに、、、!!
彼にこんな顔をさせる友達に無性に腹が立った。
「そんなに気に病むことないわ。だって あの子、他にも男がいるもの、、、」
一瞬 意味が分からないって顔をした彼に あの子とのラインを見せた。
みるみる絶望的な表情になる彼を見て、私こそが彼を誰よりも傷つける存在なのだと気づいた、、、。






その後かなりの修羅場を越えて私はパートを辞めた。
その後 二人がどうなったかは知らない、、、。
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