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76 サーシャの才能
しおりを挟む翌朝は早めに起きて、朝食を食べてすぐに王都に向かった。
朝から冒険者ギルドは営業しているため、カレンたちの依頼完了報告に行く。
依頼内容はオークの討伐のみのため、オークジェネラルは含まれていない。
そのため討伐証明が必要なくて助かった。肉片になったし瓦礫の中だからね。
そして最も安心したのは、洞窟の崩落を2人に聞かれなかったことだ。
まあ、2人に気づかれないように洞窟を見せないようにしただけだけど。
報告も終わって、3人でブルガルド家に向かう。
屋敷に到着すると、すでにサーシャを乗せた馬車が門で待機していた。
遅刻しちゃったかな?
「遅くなってごめんね」
「気にしないでください!」
サーシャは笑顔で返してくれた。
「すみません。あたしたちが昨日の依頼で失敗しちゃって、ヒナタが助けに来てくれたんですよ」
「本当にごめんなさい」
「まあ! さすがヒナタお姉ちゃん!」
そんな笑顔で言われちゃったら照れちゃうよ。
2人もそんな悲壮な顔しないで。
説明も終わったので、4人で馬車に乗ってウルレインへと向かった。
ほとんど王都にいなかったけど、どうせまた来ることもあるだろう。
それよりも久しぶりのサーシャとの旅路は楽しみだ。
そして何事もなくウルレインを目指して2日が経った。
あと2日もあればウルレインに到着する。
この辺りになると街道も綺麗に整備がされていないので、馬車が揺れてお尻が痛い。
何かクッションみたいなものを今度買っておこう。私のお尻のためにも絶対に必要だ。
この2日だけでも十分サーシャを可愛がることができた。
サーシャが学園では特に魔法を学びたいと言っていて私が教えることになった。
まずサーシャは風魔法が使えるらしい。
だから簡単に攻撃魔法じゃない初級魔法を教えた。
私がつい無詠唱で発動させたせいでかなり驚かれたけど仕方ない。
サーシャには学園で一番になって欲しい。
無詠唱での発動方法を教えると、最初はできなかったサーシャだったが、2日目の夜には発動できるようになっていた。さすがサーシャだ。
どうやら学園でも無詠唱で魔法を行使する学生は首席になるほど優秀なんだとか。
であれば、私がサーシャに教えることによって間接的に学園にも無詠唱が広まるかもしれない。
そうすれば、学園の技術も向上して私の無詠唱が目立たなくなる。ウィンウィンの関係だね。
サーシャの風魔法レベルは分からないらしいが、もしかしたら攻撃魔法として中級魔法も扱えるかもしれない。
でも今回は無詠唱を覚えたことがすごい。サーシャは魔法の才能がありそうだ。
っていうかどうやって魔法のレベルを上げるんだろう?
攻撃魔法じゃないと魔物は倒せない。だったら何度も魔法を使うことでレベルが上がるのかな?
とりあえずサーシャには暇な時にでも魔法の練習をしておくように伝える。
ただし魔力枯渇は危険だからやりすぎないように厳命する。
さらに夜には4人で私が作った簡易風呂に入った。
相変わらずカレンはスタイルが良くて、私が男だったら惚れていたよ。
本当に日本にいたらモデルだよ。パリコレに出られるよ。
そして何よりサーシャの胸が少しだけ大きくなっているような気がした。
まさに成長期。こんなに早く大きくなるものか?
でもお母さんの胸がアレだからな。遺伝って怖い。
私は前世が男だったから胸の大きさはそこまで気にならないが、せっかく女になっているんだから大きくなりたいという願望はある。
今は決して大きくもないがそこまで小さくもない微妙な大きさだ。
でもあまり大きくなると戦闘には邪魔になる。
そして何より、周囲の男たちからいやらしい目で見られるのが一番不快だ。
あまりに大きくなったらサラシでも巻こうかとも考える。
そう考えればこのくらいがちょうどいいのかもしれない。
シャルに関しては、年下の私やサーシャと見比べて残念そうな顔をしていた。
でも、ある意味シャルは胸が小さいからこそ可愛いのだ。
貧乳はステータスだ。希少価値だ。
なんて、ら◯☆すたのこ◯たも言っていたしね。
あれ? でも元ネタは別のゲームだったっけ?
あまりゲームはやらないから知らないや。
そんな感じで女4人が特に楽しんでいる旅路だったが事件が起こる。
街道を通っていると私の気配探知に何かの反応があった。
かなり大きい反応だ。
「何か来るよ!」
私は慌てて馬車から身を乗り出した。
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