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16 オークなんか絶滅しろ①
しおりを挟むみなさんこんにちは。ヒナタです。
昨日まで魔法についてたくさんの知識を得られたし、新しい魔法も使えるようになりました。満足です。
さて、本日は冒険者として、仕事をしようと思います。
さすがに目に見えた実績を作っておかないとDランクを疑われそうだしね。
早速、冒険者ギルドへ向かう。
「面白そうな依頼ないかなぁ」
依頼ボードを見ていると、ほとんどの冒険者が朝から依頼を受けてしまい、あまり依頼が残っていなかった。
その中に、小さな村でオークが5体現れ、男性は殺され女性は連れて行かれるという被害が起きているらしい。
そのための討伐依頼であり、討伐難易度はCランク。
うん、私でも受けられるね。
オークもゴブリン同様、女性の身体で繁殖するため、同じ女性としては許される所業ではない。蹂躙だ。
私は依頼書を剥がし、セレナのところに向かった。
なんか専属の受付嬢みたいになってきた。
「セレナさん、おはよう。この依頼を受けたいんだけど」
「ヒナタさん、2日ぶりくらいですかね! お久しぶりです! オーク討伐ですね。村のことを考えるとすぐに動きたかったのですが、何分報酬が少ないので割りに合わないと他の冒険者の方が受けてくれなかったんですよ」
「まぁ、小さな村みたいだから報酬は期待できないよね。でも困っている人がいたら助けるのが冒険者だよ。それに同じ女性として、オークは絶滅するべきだと思ってるし……」
「ヒナタさんは冒険者の鑑ですね。他の方にも見習って欲しいです……」
お互いに愛想笑いを浮かべて、私はセレナから村の地図をもらって討伐に向かった。
思えば、オークは今まで見たこともないな。どのくらい強いんだろう。
大抵は岩石弾で倒せるとは思っているけど大丈夫だよね。いやらしい目で見てきたら加減を間違えそうだけど……。
そういえば前にセレナになんで魔物が人間の女性に孕ませるのか気になって聞いてみたけど、人間の女性の方が強い個体が生まれやすく、それに生まれるのが早いらしい。
同種族間での交配で子が生まれるまでは大体2ヶ月程度で、異種族間だと1ヶ月になるらしい。ちなみに異種族間交配をするのは、ゴブリンとオークのみらしい。うん、絶滅しろ。
そんなことを考えながら、歩き続けていると村に到着した。
この村はラタコ村というらしい。本当に小さな村で、村民も15人程度しかいない村だそうだ。普段は魔物も出ない場所らしく防壁や防護柵もない。
私は、村の入り口みたいな所にいた男性に話しかける。
「あの、オーク討伐の依頼を受けた冒険者のヒナタと言います」
男性は、疑いの目で見てきた。
そりゃそうか、村の危機なのに期待していた冒険者がこんな年端もいかない少女なんだから。
「……そうか、君はオークがどういう魔物なのか分かっているのか」
そんな目で見ないでよ。信用できないのは分かるけど、こうも疑いの眼差しを向けられると帰りたくなっちゃう。
「大丈夫です。これでもDランク冒険者です。それにギルドからも正式に受注してこちらに赴いているので心配無用です」
「……そうか、なら村長のところに案内する」
私は、男性に連れられて村長の家に案内される。
「ようこそ冒険者の方。私はこのラタコ村の村長をしているグレイという。この度は依頼を受けていただき村を代表して感謝申し上げます。オークによって村の働き手が殺されて、女性たちも連れて行かれてみんな怯えておる。なんとかこの村を助けてください」
グレイは頭を下げながらお願いしてきた。さっきの男性とは違い、礼儀正しい。
「わかりました。私に任せてください」
私は胸を張って村長の期待に答えるべくそう答えた……、が。
「村長!? こんな小娘に本当にオークが討伐できるとお思いですか? きっとすぐにオークにやられるのが目に見えています!」
このおっさん失礼すぎないか。
人は見た目で判断してはいけないと子供の頃に教わらなかったのか。
私は言い返そうとしたが村長が怒りの形相で男性に向かって叫んだ。
「ダレス! 冒険者の方に失礼だろ! この方は、この村のために報酬が規定より少ないと分かっていて受けてくれているんだぞ! それなのにその態度はなんだ!」
報酬は少ないのは自覚しているんだね。まぁ、だから今まで誰も受注しなかったんだろうけど。
「し、しかし……」
「もうお前は出ていけ。少しは頭を冷やして、冷静になれ」
男性はそのまま出て行った。
「すまない。ダレスは妻をオークに連れていかれて正気じゃないんだ。許してくれ」
そういうことか。
それなら納得だ。妻を助けてくれると信じてた冒険者が子供だもんね。
でもこの世界は、15歳で成人だから私は子供じゃないよ。背は小さいけど。
「構いませんよ。村が緊迫している状況なのは理解できますから。とにかく私はオーク討伐と女性の救出に向かいます。オークがどのあたりにいるか教えてもらえますか」
私はオークの住処を聞き、急いで向かった。
歩いて10分程度先にあった小さな洞窟が見えてきた。
「ここか……」
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