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4.歓迎と誘惑
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マリアはまるで花園で舞う蝶のようだ。
特別綺麗な恰好をしている訳ではないのに、キラキラとして人の目を惹く魅力がある。
それは聖女の能力なのか、それとも彼女自身の朗らかさからくるのか。
「わあ……凄い。豪華ぁ~」
王宮内を歩けば、マリアはキョロキョロと周囲を見回しては歓声を上げている。
「まるでお城みたいね! あ、アルトゥロさんは王子様だよね? ということは、本当にお城なんだ!」
マリアは大きな瞳をキラキラ輝かせ、頬を上気させながらアルトゥロを見上げる。と思ったら、廊下の向こうを見て目を瞠る。
「あ、噴水。 お城の中に噴水があるなんてビックリ!」
「水魔術の《対流》を応用した魔導装置を使っています。王宮内にはそういった装置があちこちにあるのですよ」
ストルト王国の技術をアピールしつつ、アルトゥロはマリアが魔導装置を理解しきれないと踏んでいた。マリアは魔力というものを不思議がっていた。ということは彼女がいた異世界は、魔力というものがない世界のはず。だからこういうものは見るのも初めてだろう。
案の定、マリアはふ~んと鼻を鳴らして感心した様子を見せつつも、首を傾げている。
「マリア様の世界には魔術は存在しないのですか?」
「うん、そう。お伽話の中だけね。ファンタジーぃ」
やはりそうか。
このまま魔術の知識を与えずに、浄化の術のみ教え込む。余計な知識は、操り人形には必要ないのだから。
一番豪華な客室にマリアを通す。
四方の壁には、ストルト王国の建国神話が大きく描かれている。女神と共に邪神を倒した初代国王の戦闘シーンから、魔術体系をまとめた初代魔道士の姿、そして様々な怪物を倒す英雄たち。それらは優れた芸術作品であると共に、ストルト王国とマルフィクス王家の偉大さを喧伝している。
「絵が動いた!?」
口を開けて壁画を見上げていたマリアが、飛び上がった。
描かれた女神や英雄たちが、ゆっくりではあるが姿勢を変えていく。
ああ、とアルトゥロが笑った。
「染料に魔石を砕いたものを使っているので、魔法効果のある絵画になっているのですよ」
「生きている訳じゃないよね?」
ビクビクするマリアの様子が面白い。しかしあまり脅し過ぎてもいけないかと、アルトゥロは「幻覚魔術の応用ですよ」と軽く答えた。
「はあ~、何でもできるのね魔術って」
これ以上、魔術に興味を持たれてもマズい。アルトゥロはさり気なくマリアをソファーへ誘導した。そして自分も彼女に身を寄せるように隣に腰を下ろす。
「聖女様のお力に比べれば、このようなことは児戯と同じです。どうか、この哀れな愛の奴隷にあの美しい魔力をまたお見せ下さい」
マリアの髪を耳に掛け、そっとその耳元で囁く。マリアは肩を竦めてくすぐったがるが、嫌がる様子は全くない。
むしろ瞳を潤ませ、自分から体を寄せてくる。温かく、何故か甘い香りがする彼女の体に、アルトゥロは束の間酔いしれた。
侍女たちがやってきて、次々と果物や菓子をテーブルに並べていく。最後に入室してきた侍女が紅茶を淹れて、カップをマリアの前に置く。
「さ、遠慮せずにどうぞ。おいで下さった場所は寒かったですよね。温まって下さい」
「はいっ、アルトゥロさん」
さっそく紅茶に口をつけたマリアは、美味しいーと屈託なく笑う。空腹だったのか、菓子や果物もパクパク食べる。華奢なのに、大した健啖家だ。
媚薬でも仕込んでおけば良かったか。そんなことをアルトゥロは思う。
――まあ、いい。薬などに頼らずも、このように自分の欲望に正直な女の扱いは慣れている。完全に取り込むことなど簡単だ。
「それで、改めて聞きたいんだけど、どうして私たち――私はここに来たの? 聖女様というのはなぁに?」
「なかなか積極的ですね」
「だって、気になるわ。私がここにいる理由……どう見ても自分がいた所とは違う世界に来た理由は、絶対知りたいよ」
「分かりました。ここは創世の女神様が愛された世界。そしてここストルト王国は、その世界の中心にある大国です。我がマルフィクス王家によって穏やかに統治されています」
アルトゥロは慎重に話し始めた。
女神が世界を創造する時、邪神が竜となって妨害しようとした。
女神は涙を流し、そこから生まれた英雄が女神と協力して邪神である竜を倒した。
英雄は地上に残って人類の始祖となり、女神は天へ帰っていった。
「しかし、邪神は完全には滅んでいなかったのです。邪であっても神は神。その力は強大だったのです。英雄は地中深く邪神を封印したのですが、それでもなお邪神の力は地上を破壊しようと這い出てくる。その邪な力が《瘴気》なのです」
「もしかして、その《瘴気》が地下から溢れ出しているから、私……聖女が地球から招かれたということなの?」
「女神様のお導きです」
自分たちが召喚したなどとおくびにも出さず、アルトゥロはしれっと言い切った。
アルトゥロたちが無理矢理召喚したのではなく、女神によって選ばれてこの世界に呼ばれたという設定にした方が、マリアは喜ぶだろう。そう判断したからだ。もちろん、もし彼女がこの世界に不満を抱いたとしても、恨みが自分たちに向かってこないようにするためでもある。
「女神様は様々な世界から、聖女様をこの世界へ導いて下さいます。女神様に選ばれた聖女様は、必ず強い膨大な魔力を持っているのです。その魔力こそが、《瘴気》を浄化する切り札」
「え……その《瘴気》を私が浄化しなければならないの?」
怯えからだろうか、マリアの体が少しアルトゥロから離れた。
当たり前だろう。浄化の出来ない奴など歓迎するはずがない。
アルトゥロは内心毒づいたが、それを噛み殺してマリアの肩に手を回す。薄い肩をそっと撫でて、自分の傍は安全なのだと伝える。
「何も恐れることはありません。常に護衛が付きますし、聖女様は近くで祈るだけでいいのてす」
「護衛の人は強いの?」
「もちろんです。我が国の最強の騎士たちがお守りします」
「……アルトゥロさんは? アルトゥロさんがいなければ、どんなに強い方がいても心細いわ」
本当に心細そうに震えるマリアが、抱き締めたくなるほど可憐で愛らしくて、アルトゥロの口は勝手に「私もご一緒します」と動いていた。
「よかったぁ。嬉しいな。だったら私も、頑張れそうよ!」
目を輝かせるマリアの信頼が、アルトゥロの自尊心を擽る。
そして二人は、恋人のように寄り添った。
特別綺麗な恰好をしている訳ではないのに、キラキラとして人の目を惹く魅力がある。
それは聖女の能力なのか、それとも彼女自身の朗らかさからくるのか。
「わあ……凄い。豪華ぁ~」
王宮内を歩けば、マリアはキョロキョロと周囲を見回しては歓声を上げている。
「まるでお城みたいね! あ、アルトゥロさんは王子様だよね? ということは、本当にお城なんだ!」
マリアは大きな瞳をキラキラ輝かせ、頬を上気させながらアルトゥロを見上げる。と思ったら、廊下の向こうを見て目を瞠る。
「あ、噴水。 お城の中に噴水があるなんてビックリ!」
「水魔術の《対流》を応用した魔導装置を使っています。王宮内にはそういった装置があちこちにあるのですよ」
ストルト王国の技術をアピールしつつ、アルトゥロはマリアが魔導装置を理解しきれないと踏んでいた。マリアは魔力というものを不思議がっていた。ということは彼女がいた異世界は、魔力というものがない世界のはず。だからこういうものは見るのも初めてだろう。
案の定、マリアはふ~んと鼻を鳴らして感心した様子を見せつつも、首を傾げている。
「マリア様の世界には魔術は存在しないのですか?」
「うん、そう。お伽話の中だけね。ファンタジーぃ」
やはりそうか。
このまま魔術の知識を与えずに、浄化の術のみ教え込む。余計な知識は、操り人形には必要ないのだから。
一番豪華な客室にマリアを通す。
四方の壁には、ストルト王国の建国神話が大きく描かれている。女神と共に邪神を倒した初代国王の戦闘シーンから、魔術体系をまとめた初代魔道士の姿、そして様々な怪物を倒す英雄たち。それらは優れた芸術作品であると共に、ストルト王国とマルフィクス王家の偉大さを喧伝している。
「絵が動いた!?」
口を開けて壁画を見上げていたマリアが、飛び上がった。
描かれた女神や英雄たちが、ゆっくりではあるが姿勢を変えていく。
ああ、とアルトゥロが笑った。
「染料に魔石を砕いたものを使っているので、魔法効果のある絵画になっているのですよ」
「生きている訳じゃないよね?」
ビクビクするマリアの様子が面白い。しかしあまり脅し過ぎてもいけないかと、アルトゥロは「幻覚魔術の応用ですよ」と軽く答えた。
「はあ~、何でもできるのね魔術って」
これ以上、魔術に興味を持たれてもマズい。アルトゥロはさり気なくマリアをソファーへ誘導した。そして自分も彼女に身を寄せるように隣に腰を下ろす。
「聖女様のお力に比べれば、このようなことは児戯と同じです。どうか、この哀れな愛の奴隷にあの美しい魔力をまたお見せ下さい」
マリアの髪を耳に掛け、そっとその耳元で囁く。マリアは肩を竦めてくすぐったがるが、嫌がる様子は全くない。
むしろ瞳を潤ませ、自分から体を寄せてくる。温かく、何故か甘い香りがする彼女の体に、アルトゥロは束の間酔いしれた。
侍女たちがやってきて、次々と果物や菓子をテーブルに並べていく。最後に入室してきた侍女が紅茶を淹れて、カップをマリアの前に置く。
「さ、遠慮せずにどうぞ。おいで下さった場所は寒かったですよね。温まって下さい」
「はいっ、アルトゥロさん」
さっそく紅茶に口をつけたマリアは、美味しいーと屈託なく笑う。空腹だったのか、菓子や果物もパクパク食べる。華奢なのに、大した健啖家だ。
媚薬でも仕込んでおけば良かったか。そんなことをアルトゥロは思う。
――まあ、いい。薬などに頼らずも、このように自分の欲望に正直な女の扱いは慣れている。完全に取り込むことなど簡単だ。
「それで、改めて聞きたいんだけど、どうして私たち――私はここに来たの? 聖女様というのはなぁに?」
「なかなか積極的ですね」
「だって、気になるわ。私がここにいる理由……どう見ても自分がいた所とは違う世界に来た理由は、絶対知りたいよ」
「分かりました。ここは創世の女神様が愛された世界。そしてここストルト王国は、その世界の中心にある大国です。我がマルフィクス王家によって穏やかに統治されています」
アルトゥロは慎重に話し始めた。
女神が世界を創造する時、邪神が竜となって妨害しようとした。
女神は涙を流し、そこから生まれた英雄が女神と協力して邪神である竜を倒した。
英雄は地上に残って人類の始祖となり、女神は天へ帰っていった。
「しかし、邪神は完全には滅んでいなかったのです。邪であっても神は神。その力は強大だったのです。英雄は地中深く邪神を封印したのですが、それでもなお邪神の力は地上を破壊しようと這い出てくる。その邪な力が《瘴気》なのです」
「もしかして、その《瘴気》が地下から溢れ出しているから、私……聖女が地球から招かれたということなの?」
「女神様のお導きです」
自分たちが召喚したなどとおくびにも出さず、アルトゥロはしれっと言い切った。
アルトゥロたちが無理矢理召喚したのではなく、女神によって選ばれてこの世界に呼ばれたという設定にした方が、マリアは喜ぶだろう。そう判断したからだ。もちろん、もし彼女がこの世界に不満を抱いたとしても、恨みが自分たちに向かってこないようにするためでもある。
「女神様は様々な世界から、聖女様をこの世界へ導いて下さいます。女神様に選ばれた聖女様は、必ず強い膨大な魔力を持っているのです。その魔力こそが、《瘴気》を浄化する切り札」
「え……その《瘴気》を私が浄化しなければならないの?」
怯えからだろうか、マリアの体が少しアルトゥロから離れた。
当たり前だろう。浄化の出来ない奴など歓迎するはずがない。
アルトゥロは内心毒づいたが、それを噛み殺してマリアの肩に手を回す。薄い肩をそっと撫でて、自分の傍は安全なのだと伝える。
「何も恐れることはありません。常に護衛が付きますし、聖女様は近くで祈るだけでいいのてす」
「護衛の人は強いの?」
「もちろんです。我が国の最強の騎士たちがお守りします」
「……アルトゥロさんは? アルトゥロさんがいなければ、どんなに強い方がいても心細いわ」
本当に心細そうに震えるマリアが、抱き締めたくなるほど可憐で愛らしくて、アルトゥロの口は勝手に「私もご一緒します」と動いていた。
「よかったぁ。嬉しいな。だったら私も、頑張れそうよ!」
目を輝かせるマリアの信頼が、アルトゥロの自尊心を擽る。
そして二人は、恋人のように寄り添った。
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