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星空の誓い 編

第68話 消えたエルディア

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数日後オリオンの街 ジェネシスでは

誰かが扉を叩く音がする。2階からサファイアが降りてきて玄関の扉を開けた。

「はい、なんでしょうか?」

扉を開けるとそこには誰もいなくて大きな箱が一つ置かれているだけだった。周りを見渡すも外にいるのは通行人や商人達が物を売っているだけ。サファイアはその大きな箱を持ち上げる。

「重.........」

よいしょと持ち上げなんとかリビングにまでたどり着いてテーブルの上に置いた。

ドンッ!

「なにそれ?」

サファイアが箱を開けると中から綺麗に梱包された金属製の何かがたくさん入っていた。サファイアはそれを次々と開けていきじーーっと見つめ始める。リオはそれを1つ持ち上げて不思議そうな表情を浮かべた。

「これって........」

「リオが今持ってるのは彼女曰く新世代が使用する新しい変身機能搭載アイテム「ガジェットキー」のブランクらしいですよ」

テーブルに並べるとガジェットキーは6つ入っていてベルトのようなものが2つUSBメモリが3つ........あとはお菓子の袋詰めがたくさん入っていた。

「さぁ....実験を始めましょう!!」

「うぉお......急に立ち上がるからびっくりした........」

「まずはこのガジェットキーのブランクに私が設計したサナの強化形態のデータをダウンロードして!次は私の強化形態の設計!そのあとは.........。」

「あのさサファイア、その荷物って誰から届いたの?」

「それはイ.......ごほん!秘密です。さて私は自分の部屋で作業するとしましょう。それではまた夕ご飯の時に......」

そういうとサファイアはテーブルの上に置かれたものを箱につめてそそくさと2階へと戻ってしまった。箱を軽々と持ち上げていたことから箱が重かった原因は大量のお菓子らしい。

「あ!誤魔化した~!........このクッキー美味しい!」






その頃ギルドアヴァロンは

彼らは夜明けと共に歩き始めた。目的の場所はあともう少しだ、昼には到着することができるだろう。森をひたすら歩き続け途中でモンスターと対峙したが彼らにかかれば一瞬だ。森を抜けて彼らが見たものは今にも崩れそうな大きな壁だった。

「なんだよこれ........」

仲間の1人がつぶやいた。オリオンの街など大きな街はモンスターなどの脅威から守るために壁で囲まれている。だがここの壁は比にならないほどの高さだ。

「行くぞ」

アーサーがそう言うとみんなうなづいて壊れかけの門をくぐって国の中に入った。国の中はとても悲惨な状態だ。建物が全て崩落し瓦礫で溢れている。何も残ってはいなかった.........。

「ようこそ古王国エルディアへ」

彼らが歩いているとピンク色の長髪のイバラがベンチに座りチョコチップクッキーを食べていた。

「またお前か........」

「アーサーコイツを知ってるのか?」

仲間のうちの1人レオネルが彼女に指を差す。

「レディーに向かってコイツだなんてひっど~い。貴方たぶんモテないでしょ!学生の頃は運動部に所属してたけど身体を鍛える事と全国大会で優勝したいって事しか考えてなくて女の子と恋する素敵な青春を送れなかったのね~あ~かわいそ♪」

「そっそこまでひどくないぞ!.......たぶん」

「で、なんのようだ?」

イバラはクッキーを全て食べ終わるとベンチから立ち上がりどこかへと歩き始めた。

「ついてきて......貴方達に見せたい場所がある。着くまでの暇つぶしにこの国について教えてあげるわ」

アーサー達はイバラの後をついていくことにした。先頭に立つ彼女はゆっくりと口を開き話し始めた。

「800年くらい前かしら......古王国エルディアが滅んだのは.......1日で滅んだの.....エルディアの中心部にある城から光の柱が立ってエルディアの全てを飲み込んだ。まさに災害ね.........壁のおかげでなんとか周りの森や村には被害がなかったみたいだけど.....」

「壁ってそんなにすごいのか?」

青髪の少年ランスが彼女に尋ねる。

「そうよ、あの壁のおかげで街はドーム状のバリアで囲まれていてモンスターからの攻撃を受けないの。内側からの攻撃も外側からの攻撃も防ぐように設定されているわ。まぁさすがにあの時の攻撃は防ぎ切れずに壁も壊れちゃったけど.......」

「誰が壁を作ったんだ?」

「あーーイデアね」

「イデア?」

「イデアは文明が滅ぶ前の人類が作った人工知能の1つ。もう1つはジャッジメントっていうわ。簡単に説明するとイデアは「人を守る事に特化した人工知能」ジャッジメントは「敵と判断したものをぶっ潰す事に特化した人工知能」イデアは今でも動いているから人を守る為に街にバリアを張っているわ。貴方達を管理しているのもイデアよ」

「そうだったのか..........」

「さぁついたわよ」

彼女が立ち止まる。そこはものすごく大きな建造物の跡地だった。

「ここは?」

「エルディアの王様達が住んでいたお城よ」

彼女はそう言うと跡地の中へと入っていってしまった。それをアーサー達は追いかける。途中見失ったがすぐ見つける事ができた。学校の校庭のように何もない場所の真ん中でポツンと彼女は立っている。

「ここ本当は綺麗なお庭だったのよ........いつ来ても綺麗な花がいっぱいで....それなのに見て...この国が滅んだ時に全てが一瞬で消えてしまった。街も人も花も全部が崩れ落ちてしまって.......うっうぅ.......」

彼女はそう言うと涙を流しながらうずくまってしまった。

「イバラさん......」

「マリナ彼女は嘘泣きをしているだけだ」

「え!?」

アーサーがマリナにそう言うとイバラは泣くのをやめ立ち上がり笑顔でこう言った。

「あらーーバレるの早いわねー貴方も感が鋭いの?そうよ全然悲しくない......だってこの国を滅ぼしたの「私」だもの」

「やはりか」

「この庭もあまり好きじゃなかったわ。確かにお茶をするのには静かで良かったし召使いの人達が用意してくれたお茶やお菓子は美味しかったわ。でもこの場所は幼少期を思い出すからあまり好きじゃなかったのよねーー」

「それが理由か?」

「それで国1つ滅ぼすほど私は怒りっぽくないわ。私が望む結末に必要だっただけ......それじゃアーサーくん始めましょう。」

彼女はそう言うと笑顔でどこからか取り出した剣の剣先を彼に向けた。アーサーもこれから何が始まるのか分かったようで右手につけられたデバイスの画面に触れて人間の姿からロボットの姿へと変身した。

「みんな混乱してるみたいだけど気にしないでね。私はアーサーくんの力を試してみたいだけ......さぁ実験を始めましょ♪」

アーサーは大剣を使ってイバラに何度も斬撃を放つもその全てが避けられてしまう。

「あれ~どうしたの~一撃も当たってないわよ~♪」

「アーサーさん!」

「だったら!」

エクスカリバー!!

アーサーは1枚のカードを取り出しデバイスにかざす。すると空から神々しい光と共に黄金の大剣が落ちてきた。それをアーサーは両手で掴む。掴むと同時に彼の両手が金色に肩まで変化していく。

「きゃ~♪金色でカッコイイ........でも貴方のは所詮ただの金メッキよ」

「うぉぉぉぉおお!!エクスカリバー.....エンペラースラッシュ!!」

アーサーがエクスカリバーを天に掲げると同時に剣の刀身が黄金のオーラを纏い輝き始める。彼女に向かってエクスカリバーの斬撃を放つ。

彼女は斬撃を受ける直前にピンク色のガジェットキーを取り出すとボタンを押した。

\\Red rose impact//

彼女の持つ普通の剣の刀身に赤いバラの模様が浮かび上がりアーサーの黄金の斬撃を受け止め斬撃を刀身が吸収してしまった。

「なにっ!」

「嘘でしょアーサーさんの攻撃が吸収されちゃうなんて........」

「これが今のエクスカリバーに選ばれし者の実力か......800年前の方が強かったわね。いいわ私がみんなまとめて鍛え直してあげる♪」





おまけ

イバラの持つピンク色のガジェットキーは第50話「熱」に登場したものと同じものです。







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