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星空の誓い 編

第65話 感謝祭?

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あれから数日経ったある日のことだ。オリオンの街は普段よりも賑わっている。それもそうだ、今日はファンタジーモール主催の「感謝祭」だ。大通りには屋台が並び大広場には大きな特設ステージが設置されていた。

「屋台のおじさん!そのふわふわしたやつ食べたい!」

「お嬢ちゃんこれは綿菓子っていうんだよ~あとおじさんじゃなくてお兄さん」

「ワタガシっていうんだね!ありがとうおじさん!」

「うっ!」




街は大いに賑わっている。そんななかリオ達は何をしているのかというと.........

「3番テーブルに焼きそば大盛り2つとビール3杯!あとえだまめも!」

「分かりました!すぐに作ります!」

焼きそば屋の厨房で焼きそばを作るのはジェネシス1の料理上手メガネくん。一方その頃リオは皿を3枚割ったので皿洗いという名の雑用をしていた。

「あれ?サナさんとサファイアは?」

ジューーーー!!

「サナさんならお友達とお出かけですよ、サファイアはどこ行ったんでしょう?焼きそばから運んでください!」

「分かりました!あ、5番テーブルから塩焼きそばの注文です!」

「了解!」

(メガネくん楽しそうだな~)






その頃広場の特設ステージでは多くの人だかりができていた。これから行われる大会を見たいのだろう。特設ステージの舞台裏から1人の茶髪の少女が飛び出した。

「はーい!みんなこんにちはー!」

「「「こんにちはぁぁあぁぁあぁ!!!」」」

一部男性達が大声を上げる。ペンライトのようなものを振り回している者もいた。その様子に少し引く女性達もいるがそんな事は彼らには関係ない。

「ファンタジーモール所属の冒険者アイドル♪オドレ・マスカだよぉ~♪今日はこれからフードファイト!つまり大食い大会が行われるんだ♪挑戦者さん達の勇姿!そして私が頑張って司会する姿を応援してくれ~~」

「「「ますかぁぁあぁ!!応援しまーす!!」」」

「ありがとーー!それじゃ挑戦者さん達4人を紹介するね!」

彼女がそういうと特設ステージの中央部から煙のようなものがプシューーー!!と上がりそこに3つの影が現れた。

「まず1人目はソードオブベルサイユ1の大男!剛腕のガルムさん!」

筋肉ムキムキの男がマッスルポーズをしながら飛び出した。観客席の一部で歓声が上がる。どうやら同じソードオブベルサイユの仲間達のようだ。

「頑張れーガルム!優勝賞金で奢ってくれよなー!」

「俺焼肉食いたい!」

「おう!任せろ!」

「続いて2人目はこの人!我らがファンタジーモールの社長の秘書兼!デザイナー!クルーアンドダークネス!テンさん!」

煙の中からゆっくりと彼女が現れた瞬間彼女の紫色の目が一瞬光り輝いた。彼女の時計はカチカチと音をたてている。

「意気込みはどうですか?」

「.............なんか....いける気がします」

「やっぱりテンさんはクルーアンドダークネス♪3人目の挑戦者はギルドジェネシス所属の名前の通り宝石みたいでちょー可愛い!チャームポイントはおでこから生えたクリスタル♪サファイアちゃんだよー♪」

「よろしくお願いします、絶対勝ってみせます!」

煙の中から現れたサファイアはそう言うとテンのことをじーーーーーっと見つめた。お互いの目が合った瞬間2人はニヤリと口を歪ませる。

「やっぱり2人とも優勝賞金の15万パールが欲しいのかな?それとも副賞のサファイアちゃんのぬいぐるみ?」

「「違います、私達がここに来たのは賞金や副賞の為じゃない」」

「え、じゃあ何でこの大会に?」

「「たくさん食べれるって聞いたから」」

そう!2人はただ大食い大会でお腹いっぱいになるまで.....いや!自分の限界まで食べたいから...その想いが彼女達をこの場に立たせている。2人の言葉に観客やマスカ達がポカーーンと顔をしている。

「は!さっ最後の挑戦者を紹介するね!えーーーーっと冒険者じゃないから説明できない!登場してもらいましょう!」

プシューーーーー!!!!

煙の中からピンク色の長髪をたなびかせながら高身長な女性が現れた。ピンク色の髪を見た瞬間にサファイアの目にどんどん光が失われていく。

「はーーい♪イバラちゃんですわ♪」

「最後の挑戦者はイバラちゃんです!」

サファイアはイバラの目の前まで近づく。

「なっなんで貴方がここに!?」

「あらやだサファイアちゃん♪そんな怖い顔しないで~昨日会ったばかりじゃな~い♪」

「あれ?サファイアちゃんとイバラちゃんはお知り合いなの?もしかしてジェネシスの新しい仲間とか!」

「違います!!!」

サファイアは強く否定する。この場にいるサファイア以外の人々は知らないのだ。イバラの恐ろしさを.........今までやってきた事を.........。

「イバラちゃん♪どうしてこの大会に出場したの?もしかして2人みたいにただたくさん食べたいだけとか?」

「ふふふっ.....違いますわ~私はね副賞のサファイアちゃんぬいぐるみが欲しくここに来たの!」

ドヤーーーーーーーーー!!

イバラはステージの横に飾られているとサファイアのぬいぐるみをキラキラとした瞳で見つめている。結構大きめなサイズで両手でぎゅーーーと抱きしめるにはちょうどいい。ディフォルメされていてゆる~い感じになっていた。サナも欲しいと言っていたらしい。

「なんて可愛いのかしら~♪絶対優勝して持ち帰って見せますわ!」

「それじゃ!4人共席に座って!」

マスカがそう言うと4人は椅子に座った。そこにスタッフさん達が長机を設置する。舞台裏から次々と和服姿の女性達がやってきた。どうやら紅桜の冒険者の方々らしい。

「さぁこれから始まるのは大食い大会!みんなに食べてもらうのは~「わんこそば」だよ!」

「わんこそば?」

「サファイアちゃん知らないの~?器に入ったお蕎麦を食べた瞬間に近くにいる店員さんが次のお蕎麦を入れてくれる。それを食べきれなくなるまで何度も何度も繰り返すのよ♪日本の岩手県の伝統的な料理の一つよ♪」

「イワテ?」

「何でもないわ♪さぁ始めましょう。」

4人が一斉に箸を握る。イバラは左利きなので左手で箸を握った。4人の前に一口分の量のお蕎麦が入ったお茶碗が置かれる。

「さぁーーみんな頑張ってね!よーーーーーいスターーーート!!!!」

「「「「いただます」」」」

マスカのスタートの合図と共に4人は合掌をし食べ始める。4人共順調なスタートを切った。その様子を観客達は楽しそうに見ている。

「さぁここで審査員の方を紹介します♪1人目はうちの社長ハンドさん!」

「ハンドです!」

「2人目は紅桜のココノビさん!」

「蕎麦を見ていると夏の間ずっとそうめんだったのを思い出しまーす」

「3人目はソードオーブベルサイユの団長!ヴァルキルくん!」

「食った分だけ動けば問題ない!うちのギルドにはトレーニング施設があるからな.......ジムでも始めてみるか」

それから数分が経過した、長机にはどんどん器が重ねられていく。

「はいどんどん♪はいじゃんじゃん♪はいよいしょ♪はいどっこい♪みんな頑張って~♪」

わんこそばは食べた瞬間に次の蕎麦が投入される。そして投入される時に聞こえるこのリズミカルな掛け声。この掛け声のせいでペースが自然と速くなっていってしまう。重要なのはどれだけ自分のペースを保てられるのか。

「............」

「..............」

「.............」

ペースが速い。そのため喋る余裕なんて彼女達にはないのだ。持久走と言ってもいいだろう。休憩できる時間といえばスタッフの女性達が新しい蕎麦が乗せられたトレイを用意するわずかな時間だけだろう。

「はいどんどん♪はいじゃんじゃん♪あれ?ガルムさんペース遅くなってませんか?」

「さっき食ったはずなのに目の前にありやがるぜ。」

「おいガルム!女子軍に離されてるぞー!頑張れー!」

「おっおう!」

「はいじゃんじゃん♪」

この時サファイアとテンは心の中で食べながら思った。

((ガルムのペースは確実に落ちている.....きっとあと15杯くらいでギブアップだ。問題は彼女!))

2人は食べながらお互いの事を睨み合っている。ペースが落ちる事はない、その差は僅か2杯差だ。

((きっと同じことを考えているに違いない......でも彼女に勝つのは私だ!))

「おっとここで2人のペースが上がった!」

「すごいね~」


16分後、するとこのタイミングでイバラが手を挙げた。

「どっどうしたんですかイバラちゃん!」

「............。」

「彼女はどうやらギブアップのようですよサファイアさん」

テンがそう言うとサファイアは微笑むように笑った。その不敵な笑みはまるでイバラのようだ。

「ふふっ....貴方は知らないんですよ.....彼女の恐ろしさを」

「何ですって?」

テンは横に座っているイバラの方に振り向いた。そこで彼女が見たのはメニュー表をペラピラとめくるイバラの姿だ。

「スタッフさーん♪えっとー海老天12本と柚子胡椒、わさび、山椒、ちくわの天ぷら。あ、卵焼きと刻み海苔もちょうだい♪」

「はっはい!ただいま!」

「なんッ.....だと.......「味変」このタイミングで?しかもかなりの量ですよ?海老天12本って........」

スタッフの子も驚いた表情をしながら舞台裏の方へ行ってしまった。

「この大会で時間制限はない.....どれだけ食べられるか、どれだけ自分のお腹に蕎麦が入るかを競う」

「ごめんなさいね~私結構飽き性だから味変えたかったのよ。同じ味ばかりだとつまらないですわよね~♪」

「その口ぶり......まるでまだ全然食べれるみたいな言い方じゃないですか」

テンの言葉にイバラはポカンとした顔をした後に優しく微笑みながらこう答えた。

「えぇそうよ?まだ「全然」食べてないじゃない?きゃはは♪」

「は?」

「だから言いましたよね?貴方はまだイバラの恐ろしさを知らないと.....私は知っている....彼女と丸一日ずっと食べ歩きをしましたからね。」

「楽しかったわよね~デート♪」















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