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灼熱の太陽 編

第46話 深緑の弾丸

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「はぁ...はぁ.......。」

「.........。へーまだ生きてるんだ。」

私が来た時にはあのモンスターは全身から血を流しながら、うずくまって震えていた。元々の模様だったかのように弾丸の撃ち込まれた跡が残っている。

ガチャ

「..........。」

私は無言で銃をモンスターに向ける。

「まっ待ってぇ!お願い!殺さないで!」

先ほどまでうずくまっていたモンスターがゆっくり立ち上がり手を挙げる。それでも足はガクガクと震えていた。

「しょっ....しょうがなかったの!ラグル族のモーゼってやつに....脅されてたの!」

彼女はさらに語る。

「もっ元々人間だったの!でも...でも!朝起きたら家族が殺されていてっ......そこにモーゼが現れて無理矢理ッ..........従わないと私も酷い目にッ!!」

怯えるような震えた声で彼女が言う。目のような部分からは涙らしきものが溢れていた。

「..............。」

私は銃口を向けるのをやめ彼女に近づく。

「たっ助けてくれるの!」

彼女のすぐ近く、そう.....簡単に抱きしめられるくらいの距離で私は彼女の耳元で囁いた。

「あのさ.....そういう嘘やめたら?」

「え?」

彼女のお腹に銃口を突きつけ.....そして引き金を引く。
  



バァンッ!!!


「ギャァァァア!」

弾丸がお腹を貫通して背中から血が飛び散る。そのままモンスターの彼女は逃げるように私から離れる。


「君って演技が上手いんだね。」

「なんでバレたのかしら?結構自信があったんだけど........。」

先ほどまで涙はどこへ行ったのか.....あの足の震えも嘘だったらしい。全然震えていない。ピンピンしているように見える。


「私ね、こういう嘘には直感がいいの。それに脅されてる人はあんな笑顔できないよ。」

「へーー」

そう言うと彼女はバラのツルのようなムチを私に叩きつける。

バチッ!!!!

「うっ....!!!」

さっきより強くなっている。私の装甲には引っかかれたような傷が残った。

「私は死にたくない!まだ殺し足りなくてッ!満足できないのォッ!!アハハハハアハアハハハハハ!!!」

とても狂気で楽しそうな笑顔で彼女は笑い始める。

「..........。やっぱり分かり合えないよね。はは.....私って本当馬鹿だよね......こんなんだからいつも編集長達に迷惑かけてさ........。」

暴力は暴力でしか解決できないなんて矛盾だよね、でもこれが現実なの。


「貴方が奪った命はもう戻ってこない.......。残るのは悲しみと怒りだけ......でもね貴方を倒せば....救われる人もいるんだよ。」

私はベルトに刺さっているパワーアップアイテムのボタンを押す。


\\\ボルテックウルフ///


すると両肩のランチャーから磁力のようなものが発生する。

「なっ何が起こってるの!?」

モンスターの彼女は宙へと浮かび始める。身動きができないようだ、脚が拘束されているように見える。まるで十字架みたい.......。

「...........。」

「離しなさい!十字架だなんて屈辱よ!.......離して!.......離せって言ってんだろガァッ!!」

どんどん口が悪くなっていく。

私はベルトにあるレバーを引っ張る。すると緑色の魔法陣がドミノのように列になって出現して私と彼女の間に魔法陣の道ができる。

「そう.......この魔法陣に弾丸を撃てばいいのね。」

ガチャ

銃口を魔法陣に向ける。そして引き金を思いっきり引く。

バァン!!!!

深い緑色の弾丸は魔法陣を通ると次の魔法陣を通る.....それを繰り返して最後には彼女の身体に..........。


ドゥン!!

深緑の弾丸は彼女のお腹当たりに入って穴を開ける。でも貫通はしていない、どうやら中で止まっているらしい。



「あら?これで終わり?大したことないわ........え?」


彼女の右腕が震え始める。そして.......。

ゴギィッ!!

「ウギャァァァア!!」

彼女に右腕は通常だとありえない方向へと曲がってしまった。

「痛い....痛い痛いィィ!!」

すると続いては左腕も震え始め、そして.........。

ゴギィッ!!

右脚、左脚も同様にありえない方向へと折れてしまった。その姿はもう幼稚園児くらいの子供に乱暴に遊ばれたお人形さんのようだ。

「痛い......痛い.....痛いィッ」

「まだ終わらないよ。」

私のその言葉に彼女は怯えたような表情をする。


「いっ嫌...........ァァアァァァア!!」

ゴギッ!グギ、ズボォッ!!

次の瞬間だ、彼女の右腕は胴体の中へと入っていった。説明するのは難しいが例えるなら......そうだ、亀が自分の四肢と首を甲羅の中に入れるような感じだ。

ゴギズボォッグシャ!

グギズグ....グチャ!

ズヂャグジィヤ!グチャ!


1分後には四肢全てが胴体の中へと無理矢理詰められ胴体と首だけの雪だるまのようになってしまった。

「アッ....ァァアァァ......ア.......。」

普通だったらこの辺で完全に死んでいるはずだ、でも彼女は僅かに息をしている。さすがモンスターと言っていいだろう。

ゲボッ

彼女の口から血が肉の塊と共に流れ出て地面へと落ちる。

「ナ.......ンデ.....死にたく.....ナイ。痛イのヤダ......苦しい........。」

「その言葉きっと貴方が今まで殺してきた人達も言っていたはずだよ、でも貴方は無視してきた。罪の重さにやっと気づいた?もう遅いよ。」


彼女の首が少しだけど震え始める。四肢が胴体に入っていったのなら最後は首だね。

「嫌....ァァァアァァァアァァ.....ァァァァアグェェ!!」

泣きながら叫び続ける。抗う事もできない、ゆっくりと沈んでいく首を私は見続けた。

グチャ.........。


空中に胴体だけの肉の塊がある、そしてその肉の塊はどんどん圧縮されていき限界まで圧縮されると........。

「じゃあね、バイバイ。」



ドガァァァァアァァァァァァン!!!!



ボルテックバースト!ブラスト!!



爆散!そして数秒後にはあの肉の塊は完全に跡形もなく消えていた。でも地面にカードが一枚を落ちていた。あのモンスターのカードだ、私はカードを取ると腰のホルダーにしまった。

「.........。」

私はベルトの開いたパーツを折りたたむとベルトからパワーアップアイテムを取り出す。

ガチャ

取り出すと同時に私の姿は元の人間の姿に戻っていた。




「..............え?」


ベルトからアイテムを取り出すと同時にふと我に帰る。私は今まで何をしていたの?記憶にはしっかりと残っている。私がどうやってあのモンスターを倒したのかもはっきり覚えている。でも........。

「私はどうしてあんな酷い殺し方をする事ができたの?」

私は座り込む。

あのモンスターの血を吐く姿と最期の表情を思い出してしまい吐き気を感じてしまった。

「オエッ..........。」

大丈夫吐いていない.....でも涙が止まらない、震えもだ。


「ごっ....ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

必死に手を合わせる。なんで?どうして?


「サナ.........。」

泣きながら振り返るとメガネ君とスララが私を見つめていた。

「見てたの?」

私がそう尋ねると2人は悲しそうな表情をしながらゆっくりと首を縦に振った。

あ......ああ........

「ねぇ?2人には私はどう映ってた?」

「そっそれは.........。」

2人共答えたくなさそうに下を向く。やめて.....やめて.......

「答えてよ........なんで....なんで?あれ....なんで私.......。」

分かってる.....分かってるよ。私が一番よく分かっている。あんなのモンスターとやってる事.......変わらないよね?







おまけコーナー

ボルテックサバイバー必殺技「ボルテックバーストブラスト」

ベルトのボタンを押した状態でレバーを引く事で発動。両肩のランチャーからボルテックフィールドが生まれ、対象を十字架のように宙へ固定する。

緑色の魔法陣が列のように出現し、弾丸が魔法陣を通過するたびに速度と力を増していく。

弾丸が標的の身体に入ると標的の身体の「圧縮化」がゆっくりと進んでいく。最初に四肢が折れ、次に胴体に四肢と首が沈んでいく。最後は肉の塊になって限界まで圧縮されると爆発する。

ただしこの技は一回の変身で一回だけしか使えないしドラゴンのような大型なモンスターに通用しない。

ちなみに大型モンスターにこの技を使うとボルテックフィールドは展開せずシンプルに強い技になる。










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