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流星祭 編

第17話 大型クエスト

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7月2日 午後10時

それは真夜中に起こった。暗い森の中、ホーホーとフクロウが鳴いている。
真夜中の森ってこんなに怖いのかと思ってしまった。

「もうすぐ着く......。」

そう俺達が目指しているのは森の中にあるという幽霊城。
そのために俺を含め50人のプレイヤーが集まった。


話は昨日の夕方に戻る

「大型クエスト?」

「そう!このクエストに5つのギルドが協力して挑もうと思う!」

「面白そうだな。」

3人共乗り気だなーーーーー。
超大型クエストって一体なんなんだろう。

「定員は50人!」

50人も必要になるの!?
どんだけヤバイ クエストなんだ..........。

「で?具体的な内容は?」

「クエストの依頼者は貴族のおじいさん。昔住んでいたお城に大切な物を忘れてしまったらしいので探して欲しいって言う内容。」

「それだけですか?」

「そーだよ(棒読み)」

「ハンドさん何か隠してるでしょ。」

ハンドさんのロボットの顔の画面に∑(゚Д゚)の顔が映し出される。
やっぱり何かを隠しているんだ。

「てへ、バレちゃった.......。実はね、そのお城にモンスターが住み着いているらしいんだ。しかもかなり強い。」

「なんだ、そんな事か。」

「モンスターくらい僕達なら簡単に倒せますよ!」

「そうだよね!ヴァルキル君やマサムネ君にかかれば「ギガモンスター」なんて楽勝だよね!」

「今なんて言った」ヴァルキルとマサムネ




「ねぇヴァルキル君「ギガモンスター」って何?」

歩きながら俺はヴァルキル君に質問した。

「ギガモンスターって言うのはかなり厄介な敵だ。ボスモンスターほど強いってわけではないが知能が高く、よく喋る。こいつに勝つと特別なカードを貰えるらしい。」

らしいって事はあまりよく知らないのかな。そうこうしてる間に俺達は例の城の目の前まで着く事ができた。

外見は本当にお城だ。でもツルが巻きついていたり壁がボロボロで天井に穴が空いていたりしている。本当に幽霊が出そうな雰囲気だ。

「それではグループ分けしまーす!」 

ジェネシス 3人

黄昏の流星 5人

紅桜    12人

ソード オブ ベルサイユ 15人

ファンタジーモール 15人

合計50人で行う大型クエスト

「グループ分けはくじで決めます!」

「なんだろ、学校みたいだな。」

そしてハンドさんが持っていた箱からくじを取ることでグループ分けが行われた。

Aグループ
リオ サナさん マサムネ ベガス

「よろしくマサムネ君!」

「リオさん頑張りましょう!」

「ベガスちゃんもね!」

「さて......このチームは吉と出るか凶と出るか。」

Bグループ 
メガネ君 ジャンヌ ハンド テン

「僕達で引っ張っていこう。」

「そうですね.......あはは」

「僕も行かなきゃダメなの!?」

「そうです、貴方が用意したクジに自分が当たったのです。貴方もプレイヤーです、ちゃんと働いてもらいますからね。」

Cグループ
ダルタン キッド ヴァルキル ココノビ

「さて、キッド。銃の腕...落ちてないよな。」

「そう言うダル兄だって旅の間で腕にぶってたらジャン姉に言いつけるからね!」

「ダルタン.....レベル70の力見せてもらおうじゃないか。」

「あはは....ヴァルキル君、そんな怖い顔しないで.......。」

Dグループ

ウィルター ゾルア ショコラ シフォン

「団長!?なんか変なオネェがいますよ!」

「私はゾルア......気軽にゾルちゃんって呼んでね。可愛い坊や💕」

「シフォンお姉ちゃん....変な人が.......。」

「大丈夫、あの人は良い人だから。」

Eグループ

ゾロ エジソン ポワ カスタード

「私がいるから安心したまえお嬢さん達........。」

「ふん!私を誰だと思っている!ファンタジーモール所属の発明王エジソンだぞ!お嬢さん呼ばわりはやめてもらおうじゃないか!」

「ゾロさん....かっこいい.....あへへへぇ。」

「ポワ?ポワ!?大丈夫!?おーーい返事して!」


「残りは外で待機.....5組のグループに指示を行なうのと傷の治療などを行なってください!」

「はい!分かりました!!」(みんな)

司会がハンドさんからテンに変わっている。行きたくなかったんだろうなハンドさん.........。


「今回のクエストのクリア条件は忘れ物の入ったピンク色の箱を探し出し持ち帰る。モンスターとの戦闘は個人に任せますが、大前提は「箱の捜索」です。いいですか?」

「その箱ってそんなに大切なんですか?」

「依頼者いわく亡くなった奥さんが身につけていたネックレスと指輪のようです。奥さんが隠していたそうで老いた身体では探す事が難しいそうです。」

「大切な奥さんの遺品って.........。」

「泣かせるじゃないですか!!!!!!!」(全員)

依頼者の為にも頑張らないと......ここに集まったプレイヤーのほとんどがそう誓った。

「このお城は上は5階、下は地下2階まであります。マップはそれぞれのデバイスに送るので後で確認してください。ではこれより捜索を開始!!!」


「行くぞーーーーー!」

「えい!えい!おーーーーー!!」



テンの合図により俺達はグループに分かれ動き始めた。

Aグループ 二階捜索

「うーーんソファーの下は無いな。そっちはどう?」

「ダメです、廊下にはそれらしき物は........。」

「この床.....今にも壊れそうだな。奥さんはどうして隠しちゃうかなー?」


Bグループ 地下一階

「モンスター出てこないよね?」

「社長がそんなんでどうするんですか?働きなさい。」

(このグループは大変だなー)メガネ君とジャンヌ


Cグループ 四階

「モンスターは俺達が見張っておく」

「その間に見つけてくれ。」

「はーーい、物探しは得意じゃないんだよなー。テレビのリモコンとか」

「あ、それ分かる。なんでリモコン無くなるんだろうね。」


Dグループ 五階および屋上

「ねぇ、ウィルター君。星空が綺麗よー!」

「そっそうですねー(助けて団長!)」

「ゾルアさん意外と良い人ですね!」

「でしょー。」

捜索から約1時間が経過した。どんなに探しても箱が見つからない。
一体どこにあるんだ。その時、一件の連絡が来た。

「はい、こちらAグループです......。」

「こちら司令グループ。Eグループがギガモンスターと交戦!気をつけてください!」

「な!」

「Eグループってゾロがいる所か!」



Eグループ 地下二階

「こちらEグループ......ただいま交戦中.......。すごいな、本当にモンスターが喋ってるよ。」

私の前には蜂の顔をしたモンスターがレイピアを構えている。
まずはこの子達を守らなければな........。

「ご機嫌よう、私の名前はリビュエ。以後お見知り置きよ.........。まぁ貴方方はここで死んでもらいますがね。」

「はは、面白い事を言うね......誰も死なせるわけないだろ。」

そう言うとそのリビュエと名乗る蜂の顔を持つモンスターはレイピアで私の顔を攻撃する。避けろ!

グサ!

私が避けるとそのレイピアは木の壁に刺さると、そこが溶けてしまう。

「なんだと......。」

「申し遅れました。私のレイピアには物を溶解させる毒があるのです。」

「君達は一階に逃げて!」

私は後ろにいる子供達に避難を呼びかける。この子達を避難させよう。

「でっ.....でも.....。」

「いいから、お願いだ.........。」

「わっ分かりました!いくよ2人共!」

子供達は小さな足で急いで部屋を出て行った。これで避難させる事ができた。

「おー子供を先に逃すとは何と素晴らしいのでしょう。今まで戦ってきた人間で一番素晴らしい!」

こんな奴に称賛を受けても全然嬉しくないな。でもこれで本気を出せる.......。


「私はゾロ!黄昏の流星所属!行くぞリビュエ!」

刀を取り出すとリビュエの攻撃を避けつつ攻撃を開始した。

シュン!シュン!シュン!

レイピアの刺す速さが先程より上がっている。こちらも本気という事か.......。




戦闘開始から10分
両者共に無傷、どちらも体力を少し消耗

「どうしたリビュエ!」

リビュエは壁にかけられた時計を眺める、なんで時計がちゃんと時を刻んでいるのか分からない。

「まずいな......もうすぐ「旦那様達」が帰ってきてしまう.....。」

「今........なんて言った?」

「食事はできている。でも用意がまだだ......すまないな人間、もう少し戦っていたかったが五分で終わらせないといけない。」

リビュエが言っている事が本当なら、ここにまだ仲間がいる。これを早くみんなに伝えなければ!そう思い私はデバイスで連絡しようとしたその時だった!

ズバッ!

リビュエのレイピアが私の腕を擦り、そこから火傷のような跡が広がる。

「くっ!!」

「おっと......戦闘中によそ見して良いのですか?」



Aグループでは

「ゾロちゃんがギガモンスターと交戦か.......。大丈夫かな。」

「君はやけに落ち着いているねベガスさん。仲間が危ないって言うのに?」

「うん?私は信じているからね、彼女はきっとこう言うさ......「心配されるとは私も甘く見られたものだ」とね........。私達の絆を舐めないでくれ......。」

そう言うと彼女は捜索を続けた。

「勝つ事を信じているから......心配しないか......。」

「ね、ねぇリオ君....あれって.....。」

サナさんが怯えた顔で廊下の奥の影を指差す。ゆっくり近づいてくる影は刀を持っていた。最初にプレイヤーかと思った....でも違う.....。あれは!

「モンスター!!」

月の光に照らされて姿が露わになる。カブトムシだ、角が生えて水色の目で俺達を見つめていた。

「拙者......ゴウジンマルと申す.......。いざ.....参る!!」

「来るぞ!戦闘の姿に変わるんだ!」

俺達の元にもギガモンスターがやってきた。



司令グループでは

「Aグループもギガモンスターと交戦を開始!このまま他のグループも交戦にならないといいんだけど........。」



Bグループ 地下一階

「社長!ちゃんと探してください!」

「ねぇ?こっちからいい匂いがしない?」

ハンドさんはそう言うと部屋の扉を開けた。僕達もその部屋に入って行った。

「見て!すごいよ!料理が作られてる!」

僕達が入ったのは調理場だったようで料理の入った鍋や切っている途中キャベツが残されていた。

「これはシチューですかね?」

おかしい....おかしすぎる.......。そう思うと震えが止まらなくなってきた。どうして廃城で料理が行われているんだ?

「一口貰っちゃおうかな。」

ハンドさんがそう言った瞬間だった。

「おい人間、何食おうとしているんだ?」

部屋のどこからか声がして、僕達の動きは止まった。
どこだ......どこから声がするんだ......。

「ここだよ、ここ.....。天井を見ろ。」

4人で一斉に天井を見上げる。そこにいたのは大きな2つの鎌を握ったカマキリの顔をしたモンスターだった。

「人間、俺の城から立ち去れ。」






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