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第15話「なにが高嶺幸隆を縛るのか」
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アタシの名前は東城茜(トウジョウ アカネ)
横浜生まれの横浜育ち!好きな食べ物はたこ焼き!たい焼き!
中学3年生の時、うちの中学の生徒にちょっかい出してた地元の不良高校のヤンキー達を20人以上ボコったある日の帰り道に謎の怪物「メモリス」に遭遇。すぐボコってやった。そこに現れた隊員に気に入られレーテに所属することになる。これがアタシと師匠の出会いだ。
そこから2年をかけてレーテの隊員となり師匠のもとで日々メモリスと戦ってきた。ここからアタシが主役の物語が始まる!と思っていた。
アイツが現れるまでは......
「日代唯愛?」
「そうそうアカネちゃんと同い年の東京支部の子なんだけどね。すごい勢いで活躍してるんだって!」
女性隊員に見せてもらった資料にはピンク色のヒーローみたいなやつとその横に貼ってあった証明写真にめちゃくちゃ笑顔でピースしているギャルみたいな金髪サイドテールの女子高生が映っていた。
「きっと強いのねー」
(は?レーテに入って一年も経ってない素人が強い?だったらアタシがその日代唯愛ってやつを試してやる!タイマン張って勝って泣かせてやる!!)
そう意気込んで東京来たアタシだが今、その泣かせてやると言ったヤツの前で泣いている。
「師匠どこ~~!」
「大丈夫!あともう少しで着くから!」
【レーテ本部】
「なぁ。」
「うん?」
「ユイア帰ってこねえな。」
「バイク楽しんでるんだよーきっと!」
進助とルナがガレージの壁によっかかってユイアが帰ってくるのを待っていた。進助は自販機で買ってきたスポーツドリンクを飲み干す。
「おーーーい進助ー!」
遠くから自分の名前を呼ぶ声に気づいた進助は声がする方へ振り返る。そこには手を振りながらレジ袋を持って近づいてくる如月の姿があった。
「おー!如月ー!!どうしたー!」
「コンビニにおつかい頼んだ弟子が帰って来ないものでね、はじめてのおつかいの子供ですらもう帰ってきてるっつーの!」
「レーテの中にコンビニあるのに?」
「それたぶん知らずに外に出たんだと思う。」
如月はガレージまでいくとガレージの奥の端に置いてあったパイプ椅子を持ち出し進助の横に座った。パイプ椅子に座った如月はレジ袋からニワトリのイラストが描かれた小さな紙箱を取り出し中に入っている唐揚げを爪楊枝で刺し食べ始めた。
「何味?」
「期間限定のレッドホットチーズ」
「ふーん、よくあそこにパイプ椅子があるって分かったね。」
「何年東京支部にいたと思ってるんだよね。ここは私達同期のサボり場所だろ?あと「能力」で分かる。」
「アンタも同期なのか......」
ルナがそう言うと唐揚げを食べていた如月が振り向いた。
「うわ、ぬいぐるみが喋った......」
「ぬいぐるみじゃねぇし!あともうちょっと驚け!」
【数分後】
「そう、私とユキタカと進助は同期なの。同じ東京支部のね。」
唐揚げを食べ終わった如月はコンビニで買ってきたコーラを飲みながらそう言った。
「でもアンタだけ神奈川支部なのな。」
「どうせなら東京支部長になりたかったんだけどなーユキタカに取られたからなー2番手の神奈川支部長ってわけ」
「じゃあユキタカの方がアンタより強いのか?」
ルナがそう尋ねると如月はコーラを飲むのをやめ、少し間を置いてから答えた。
「総合的評価だろ。ユキタカは私なんかよりずーーっと優等生だし上下からの信頼もあったしな。その証拠にアイツ、「ドライバー」使って変身できるだろ?」
「ユキタカさんって変身できるの!?!?」
声がする方へ一斉に振り返るとバイクを押して歩くユイアと泣き腫らした顔をしたアカネの姿があった。
「あ、おかえりー!後輩達!」
「アカネ遅えぞ~」
「うっすみません師匠......」
「ユキタカさんが変身できるって本当ですか!!?!」
ユイアはバイクを押しながら早歩きで如月に近づく。
「あれ、知らねぇの?まさか....まだ引きずってるのか?」
如月が進助の方を向き尋ねると進助は少し曇った表情でうなずいた。如月はそうか、というとコーラを再び飲み始める。
「まだ....って何かあったのか?」
「1年くらい前かな、新宿の方でメモリス関係の爆発テロが起きたんだ。」
「ネットニュースで見たことあるわ。」
「爆発テロを起こしたメモリスは変身したユキタカが倒したんだけど.....別の場所にいた他のメモリスが避難途中だった一般人5人と避難誘導をしていた隊員3人を殺害したんだ。」
「.........」
「部下に避難経路の誘導を指示していたのはユキタカだ。自分の責任だって引きずってるんだろうぜ。」
コーラを飲み終えた如月はそう言ってペットボトルの蓋を閉めレジ袋に突っ込むとレジ袋の中から唐揚げが入った紙箱を取り出しアカネにひょいと投げ渡した。
「あっありがとうございます師匠。」
「だけど私はそれを理由にして変身しないのは違うと思う。」
如月の言葉を聞き、その場にいた全員が一斉に如月の方へ向いた。
「どうせ「俺にこのドライバーを使って戦う資格なんてない」とか言ってたんだろ?」
横にいる進助に尋ねると進助は黙ったまま少しうなずいた。
「あのドライバーはユキタカ専用に作られたものだ。アイツ以外資格があるやついねぇーつーの!それに変身した方が絶対良い!......だろ?」
先ほどまで進助の方を向いて喋っていた如月がユイアの方に首を向ける。ユイアは急に話しかけられ数秒黙ったがすぐに元気な声で「はっはい!」と言った。
「アイツは今、気づかないうちに自分で自分を縛ってんだ。それをなんとかいい感じにする......のが君の役目だ!」
如月はユイアの方を再び向き指をさす。
「え!私!?」
「そうだ!」
「......分かりました!任せてください!」
「よし!よく言った!」
如月はニカッと笑うと立ち上がりユイアの頭を優しく撫でるとアカネの方へ振り向いた。するとアカネは真っ赤な顔で唐揚げを泣きそうになりながら食べている。
「なに泣いてんだアカネ?」
「ししょ~この唐揚げ辛い~」
「そういえばお前、辛いのダメだったな......じゃあ食べなきゃ良かっただろ。」
「だっだって師匠がくれたから......」
「はぁー仕方ねぇな」と如月は息を漏らすように言うとレジ袋から取り出した天然水をアカネに渡した。渡した瞬間にキャップを開けゴクゴクと飲み始める。相当辛かったのだろう一気に水を飲み干してしまう。
「よし腹も満たされたことだし運動といこうか!」
如月は足首、手首を回したりして身体をほぐし始める。
「運動ってもう夕方の5時30分だぞ。」
「夜はこれからだろ、今日は会議やなんやで身体動かせなかったから退屈だったんだよ。ということでちょっと遊ぼうぜ日代唯愛....」
「あ!ずっずるいです師匠!アタシが先です!」
「お前はおつかいできなかったから明日だ、我慢しろ。」
「うーーー!!」
アカネは子供のように頬を膨らませ、すねながらも如月の隣に立つ。身長170センチ以上の如月はユイアを見下ろしながらユイアの瞳をじっと見つめた。
「遊ぶって何するんですか?あっゲームとかですか!」
「まぁゲームみたいなもんだ、ついてこい。」
「?」
【レーテ本部内・トレーニングルーム】
ユイア達は如月へついていくとレーテの施設内のトレーニングルームに到着した。様々な筋トレの用具あるなか一番奥の部屋へと向かう。一番奥の部屋、代々受け継がれた道場のような格技場に到着した。
「よし、まずはこれを変身してつけろ。」
如月はユイアにリストバンドのようなものを4本手渡した。黒いリストバンドのようなものには緑色に発光する小さな機械がついていた。ユイアはこれはなんだろうと思いながらも言われた通りドライバーを腰に巻き付け変身する。
3!2!1!
「変身!」
ヒーローアップ!You are HERO!!!!
ピンク色のバッタのアーマーがユイアの身体に装着されユイアはユーアに変身する。
「あれがユーア......」
「変身しましたよ!」
「じゃあそのリストバンドを両腕両脚につけてくれないか?」
両腕両脚にリストバンドをつける。するとリストバンド数秒点滅し再び緑色に発光し始めた。如月も同じリストバンドを1つ右腕に取り付ける。
「そのリストバンドはつけた部位が受けた衝撃を感知すると緑色から赤色に変わる。右腕に攻撃をくらったら右腕につけたリストバンドが赤色に変わる。簡単に言えばライフだ。君がライフ4で私がライフ1。」
「なっなるほど」
「ピー!って音が鳴ったらゲームスタート!先に相手のライフを0にした方が勝ち。ハンデとしてゲームが始まってから3分間は私は攻撃をしないしただ逃げるだけ。あと私のリストバンドはどこに攻撃が当たっても当たり判定になるよう設定してあるから。」
アカネは競技用の大きな画面のタイマーを運び3分を設定する。如月は伸脚などの準備体操をしながらそう言うとユーアを見つめニヤッと楽しそうに笑う。
「ハンデ多いけどいいんですか?」
「へー、君もしかして勝てる気でいる?」
一瞬、先ほどまでの明るい笑みが消え先ほどの人物とはかけ離れた鋭い目つきをした別人が少し顔を出した。
「ハハハ!こっちも全力でいくからさ。」
「そろそろだな。」
ピーーーーーー!!!!!
どこからかホイッスルのような音が鳴ったと同時にユーアは走り出し一瞬で如月との距離をつめる。
(いいね!ホイッスルが鳴った瞬間に私に向かって走り出した!だけど......)
タッタ!
ユーアが拳を握って振った瞬間に後ろに如月はバク転をして回避する。この時点で10秒が経過した。
「惜しいね!」
「次は当てます!」
ユーアは再び走り出す。ユーアはアカネのそばに置いてある競技用のタイマーの時間を気にしている。3分以内に攻撃を当てなければ如月の攻撃が始まってしまうからだ。
「頑張れ師匠!」
「言われなくても!」
ユーアは鬼ごっこのように逃げる如月との距離を2メートルまで縮めると立ち止まり右脚に力を溜める。右脚にピンク色の電流のようなオーラを纏わせ蹴りを放つ。ピンク色の電流のような衝撃波は壁に向かって走る如月を追いかけ勢いよくまっすぐ飛んでいく。
ズバァァァ!!
「その技かっこいいね!」
一瞬振り返った如月は壁の前までくると飛び上がり壁を蹴りバク宙をする。バク宙をしている間にユイアが放った衝撃波は壁に衝突し壁が黒く焦げた。
シュッ!タッ!
「やっぱり追尾性はないみたいだね!」
1分が経過、残り2分となった。
「まだ時間はある、でもこのままじゃ......よし!」
ユーアは腰のホルダーから水色のメモリカセットを取り出しピンク色のメモリカセットと入れ替えドライバーのホイールを3回回す。
ヒーローアップ!双頭が巻き起こす!切り裂く!シャーク!!You are HERO!!
ドパーン!!!
ピンク色のバッタのアーマーが外れ、サメのアーマーが装着されるとシャークフォームの能力を使い格技場の床へと潜った。
「なんだあれ!潜った!?どうなってんだよ!」
「確かにシャークなら相手のすぐ近くまで姿を見せずに一気を詰めれる。だが.........」
如月は走るのをやめその場で立ち止まりユーアが出てくるのを待った。3分以内に如月に攻撃したいユーアは必ず距離を詰めてくる。
「来いよ日代唯愛!!」
ザパーン!!!!
ユーアが飛び出したのは如月の3メートル後ろだった。
「距離詰めてくると思いました?残念!後ろは取ったよ!」
ズバァァァ!!!
ユーアはヒレに水を纏わせ斬撃を飛ばす。如月はまだ後ろを振り返っていない。ユーアが勝利を確信したその時だった。如月は思いっきり脚を開き、倒れるように姿勢を低くした。ユーアが飛ばした水の斬撃は如月の頭をスレスレに通ってそのまま真っ直ぐ飛んでいき壁に当たった。
「え!」
「君が後ろから来ているのは私の能力で気づいていたよ!」
「さすが師匠!!」
2分40秒経過。残り20秒、ユーアはすぐにメモリカセットを再び入れ替えすぐにホイールを回した。
3!2!1!ヒーローアップ!You are HERO!!!!
ピンク色のアーマーを装着したと同時に両脚に力を溜め走り出し天井ギリギリの高さまで飛ぶ。すぐにキックの体制で如月に向かって勢いよく降下する。
「ハァァァァアア!!!」
「師匠!!」
ピピピ!ピピピ!
バッ!
アカネの近くにあったタイマーが鳴り出した。如月はユーアが自分の身体に当たる寸前で両腕を使いユーアの両脚をバッ!と掴んだ。
「惜しかったね、でも....ここからは私の時間だ。」
「え!嘘!」
「おりゃぁぁぁぁあぁ!!!!」
ユーアの両脚を掴んだまま砲丸投げのようにグルグルと回り始める。
「わ!わぁぁあ!!目が回るー!」
「いっけぇぇぇえぇぇぇ!!!」
ドガァァァァァアアン!!!!!!
如月はユーアを壁の方へ勢いよく軽々と投げ飛ばした。ユーアは壁に打ち付けられてしまう。
「いてて......ってあ!」
右脚と左腕が身体への衝撃を感知し緑色から赤色の色が変わってしまった。
「これでライフ2、お前さっき私に本気で攻撃しようとしたよな?」
「すっすみません!!!つい勢いで!!」
ユーアはすぐに頭を下げた。何かが変、口調が少し変わっている。如月はニコッと笑ってこう言った。
「いいよ別に、私もこれから同じくらいでやるから。」
「え、」
「さっきまでは新人相手だから甘くやってたけど....ここからは隊長と隊員のタイマン稽古だぜ。」
如月の表情はこのゲームが始まる前に見せたあの鋭い目つきになっていた。
「やっちゃえ師匠!」
「今から私の力、見せてやるよ。」
横浜生まれの横浜育ち!好きな食べ物はたこ焼き!たい焼き!
中学3年生の時、うちの中学の生徒にちょっかい出してた地元の不良高校のヤンキー達を20人以上ボコったある日の帰り道に謎の怪物「メモリス」に遭遇。すぐボコってやった。そこに現れた隊員に気に入られレーテに所属することになる。これがアタシと師匠の出会いだ。
そこから2年をかけてレーテの隊員となり師匠のもとで日々メモリスと戦ってきた。ここからアタシが主役の物語が始まる!と思っていた。
アイツが現れるまでは......
「日代唯愛?」
「そうそうアカネちゃんと同い年の東京支部の子なんだけどね。すごい勢いで活躍してるんだって!」
女性隊員に見せてもらった資料にはピンク色のヒーローみたいなやつとその横に貼ってあった証明写真にめちゃくちゃ笑顔でピースしているギャルみたいな金髪サイドテールの女子高生が映っていた。
「きっと強いのねー」
(は?レーテに入って一年も経ってない素人が強い?だったらアタシがその日代唯愛ってやつを試してやる!タイマン張って勝って泣かせてやる!!)
そう意気込んで東京来たアタシだが今、その泣かせてやると言ったヤツの前で泣いている。
「師匠どこ~~!」
「大丈夫!あともう少しで着くから!」
【レーテ本部】
「なぁ。」
「うん?」
「ユイア帰ってこねえな。」
「バイク楽しんでるんだよーきっと!」
進助とルナがガレージの壁によっかかってユイアが帰ってくるのを待っていた。進助は自販機で買ってきたスポーツドリンクを飲み干す。
「おーーーい進助ー!」
遠くから自分の名前を呼ぶ声に気づいた進助は声がする方へ振り返る。そこには手を振りながらレジ袋を持って近づいてくる如月の姿があった。
「おー!如月ー!!どうしたー!」
「コンビニにおつかい頼んだ弟子が帰って来ないものでね、はじめてのおつかいの子供ですらもう帰ってきてるっつーの!」
「レーテの中にコンビニあるのに?」
「それたぶん知らずに外に出たんだと思う。」
如月はガレージまでいくとガレージの奥の端に置いてあったパイプ椅子を持ち出し進助の横に座った。パイプ椅子に座った如月はレジ袋からニワトリのイラストが描かれた小さな紙箱を取り出し中に入っている唐揚げを爪楊枝で刺し食べ始めた。
「何味?」
「期間限定のレッドホットチーズ」
「ふーん、よくあそこにパイプ椅子があるって分かったね。」
「何年東京支部にいたと思ってるんだよね。ここは私達同期のサボり場所だろ?あと「能力」で分かる。」
「アンタも同期なのか......」
ルナがそう言うと唐揚げを食べていた如月が振り向いた。
「うわ、ぬいぐるみが喋った......」
「ぬいぐるみじゃねぇし!あともうちょっと驚け!」
【数分後】
「そう、私とユキタカと進助は同期なの。同じ東京支部のね。」
唐揚げを食べ終わった如月はコンビニで買ってきたコーラを飲みながらそう言った。
「でもアンタだけ神奈川支部なのな。」
「どうせなら東京支部長になりたかったんだけどなーユキタカに取られたからなー2番手の神奈川支部長ってわけ」
「じゃあユキタカの方がアンタより強いのか?」
ルナがそう尋ねると如月はコーラを飲むのをやめ、少し間を置いてから答えた。
「総合的評価だろ。ユキタカは私なんかよりずーーっと優等生だし上下からの信頼もあったしな。その証拠にアイツ、「ドライバー」使って変身できるだろ?」
「ユキタカさんって変身できるの!?!?」
声がする方へ一斉に振り返るとバイクを押して歩くユイアと泣き腫らした顔をしたアカネの姿があった。
「あ、おかえりー!後輩達!」
「アカネ遅えぞ~」
「うっすみません師匠......」
「ユキタカさんが変身できるって本当ですか!!?!」
ユイアはバイクを押しながら早歩きで如月に近づく。
「あれ、知らねぇの?まさか....まだ引きずってるのか?」
如月が進助の方を向き尋ねると進助は少し曇った表情でうなずいた。如月はそうか、というとコーラを再び飲み始める。
「まだ....って何かあったのか?」
「1年くらい前かな、新宿の方でメモリス関係の爆発テロが起きたんだ。」
「ネットニュースで見たことあるわ。」
「爆発テロを起こしたメモリスは変身したユキタカが倒したんだけど.....別の場所にいた他のメモリスが避難途中だった一般人5人と避難誘導をしていた隊員3人を殺害したんだ。」
「.........」
「部下に避難経路の誘導を指示していたのはユキタカだ。自分の責任だって引きずってるんだろうぜ。」
コーラを飲み終えた如月はそう言ってペットボトルの蓋を閉めレジ袋に突っ込むとレジ袋の中から唐揚げが入った紙箱を取り出しアカネにひょいと投げ渡した。
「あっありがとうございます師匠。」
「だけど私はそれを理由にして変身しないのは違うと思う。」
如月の言葉を聞き、その場にいた全員が一斉に如月の方へ向いた。
「どうせ「俺にこのドライバーを使って戦う資格なんてない」とか言ってたんだろ?」
横にいる進助に尋ねると進助は黙ったまま少しうなずいた。
「あのドライバーはユキタカ専用に作られたものだ。アイツ以外資格があるやついねぇーつーの!それに変身した方が絶対良い!......だろ?」
先ほどまで進助の方を向いて喋っていた如月がユイアの方に首を向ける。ユイアは急に話しかけられ数秒黙ったがすぐに元気な声で「はっはい!」と言った。
「アイツは今、気づかないうちに自分で自分を縛ってんだ。それをなんとかいい感じにする......のが君の役目だ!」
如月はユイアの方を再び向き指をさす。
「え!私!?」
「そうだ!」
「......分かりました!任せてください!」
「よし!よく言った!」
如月はニカッと笑うと立ち上がりユイアの頭を優しく撫でるとアカネの方へ振り向いた。するとアカネは真っ赤な顔で唐揚げを泣きそうになりながら食べている。
「なに泣いてんだアカネ?」
「ししょ~この唐揚げ辛い~」
「そういえばお前、辛いのダメだったな......じゃあ食べなきゃ良かっただろ。」
「だっだって師匠がくれたから......」
「はぁー仕方ねぇな」と如月は息を漏らすように言うとレジ袋から取り出した天然水をアカネに渡した。渡した瞬間にキャップを開けゴクゴクと飲み始める。相当辛かったのだろう一気に水を飲み干してしまう。
「よし腹も満たされたことだし運動といこうか!」
如月は足首、手首を回したりして身体をほぐし始める。
「運動ってもう夕方の5時30分だぞ。」
「夜はこれからだろ、今日は会議やなんやで身体動かせなかったから退屈だったんだよ。ということでちょっと遊ぼうぜ日代唯愛....」
「あ!ずっずるいです師匠!アタシが先です!」
「お前はおつかいできなかったから明日だ、我慢しろ。」
「うーーー!!」
アカネは子供のように頬を膨らませ、すねながらも如月の隣に立つ。身長170センチ以上の如月はユイアを見下ろしながらユイアの瞳をじっと見つめた。
「遊ぶって何するんですか?あっゲームとかですか!」
「まぁゲームみたいなもんだ、ついてこい。」
「?」
【レーテ本部内・トレーニングルーム】
ユイア達は如月へついていくとレーテの施設内のトレーニングルームに到着した。様々な筋トレの用具あるなか一番奥の部屋へと向かう。一番奥の部屋、代々受け継がれた道場のような格技場に到着した。
「よし、まずはこれを変身してつけろ。」
如月はユイアにリストバンドのようなものを4本手渡した。黒いリストバンドのようなものには緑色に発光する小さな機械がついていた。ユイアはこれはなんだろうと思いながらも言われた通りドライバーを腰に巻き付け変身する。
3!2!1!
「変身!」
ヒーローアップ!You are HERO!!!!
ピンク色のバッタのアーマーがユイアの身体に装着されユイアはユーアに変身する。
「あれがユーア......」
「変身しましたよ!」
「じゃあそのリストバンドを両腕両脚につけてくれないか?」
両腕両脚にリストバンドをつける。するとリストバンド数秒点滅し再び緑色に発光し始めた。如月も同じリストバンドを1つ右腕に取り付ける。
「そのリストバンドはつけた部位が受けた衝撃を感知すると緑色から赤色に変わる。右腕に攻撃をくらったら右腕につけたリストバンドが赤色に変わる。簡単に言えばライフだ。君がライフ4で私がライフ1。」
「なっなるほど」
「ピー!って音が鳴ったらゲームスタート!先に相手のライフを0にした方が勝ち。ハンデとしてゲームが始まってから3分間は私は攻撃をしないしただ逃げるだけ。あと私のリストバンドはどこに攻撃が当たっても当たり判定になるよう設定してあるから。」
アカネは競技用の大きな画面のタイマーを運び3分を設定する。如月は伸脚などの準備体操をしながらそう言うとユーアを見つめニヤッと楽しそうに笑う。
「ハンデ多いけどいいんですか?」
「へー、君もしかして勝てる気でいる?」
一瞬、先ほどまでの明るい笑みが消え先ほどの人物とはかけ離れた鋭い目つきをした別人が少し顔を出した。
「ハハハ!こっちも全力でいくからさ。」
「そろそろだな。」
ピーーーーーー!!!!!
どこからかホイッスルのような音が鳴ったと同時にユーアは走り出し一瞬で如月との距離をつめる。
(いいね!ホイッスルが鳴った瞬間に私に向かって走り出した!だけど......)
タッタ!
ユーアが拳を握って振った瞬間に後ろに如月はバク転をして回避する。この時点で10秒が経過した。
「惜しいね!」
「次は当てます!」
ユーアは再び走り出す。ユーアはアカネのそばに置いてある競技用のタイマーの時間を気にしている。3分以内に攻撃を当てなければ如月の攻撃が始まってしまうからだ。
「頑張れ師匠!」
「言われなくても!」
ユーアは鬼ごっこのように逃げる如月との距離を2メートルまで縮めると立ち止まり右脚に力を溜める。右脚にピンク色の電流のようなオーラを纏わせ蹴りを放つ。ピンク色の電流のような衝撃波は壁に向かって走る如月を追いかけ勢いよくまっすぐ飛んでいく。
ズバァァァ!!
「その技かっこいいね!」
一瞬振り返った如月は壁の前までくると飛び上がり壁を蹴りバク宙をする。バク宙をしている間にユイアが放った衝撃波は壁に衝突し壁が黒く焦げた。
シュッ!タッ!
「やっぱり追尾性はないみたいだね!」
1分が経過、残り2分となった。
「まだ時間はある、でもこのままじゃ......よし!」
ユーアは腰のホルダーから水色のメモリカセットを取り出しピンク色のメモリカセットと入れ替えドライバーのホイールを3回回す。
ヒーローアップ!双頭が巻き起こす!切り裂く!シャーク!!You are HERO!!
ドパーン!!!
ピンク色のバッタのアーマーが外れ、サメのアーマーが装着されるとシャークフォームの能力を使い格技場の床へと潜った。
「なんだあれ!潜った!?どうなってんだよ!」
「確かにシャークなら相手のすぐ近くまで姿を見せずに一気を詰めれる。だが.........」
如月は走るのをやめその場で立ち止まりユーアが出てくるのを待った。3分以内に如月に攻撃したいユーアは必ず距離を詰めてくる。
「来いよ日代唯愛!!」
ザパーン!!!!
ユーアが飛び出したのは如月の3メートル後ろだった。
「距離詰めてくると思いました?残念!後ろは取ったよ!」
ズバァァァ!!!
ユーアはヒレに水を纏わせ斬撃を飛ばす。如月はまだ後ろを振り返っていない。ユーアが勝利を確信したその時だった。如月は思いっきり脚を開き、倒れるように姿勢を低くした。ユーアが飛ばした水の斬撃は如月の頭をスレスレに通ってそのまま真っ直ぐ飛んでいき壁に当たった。
「え!」
「君が後ろから来ているのは私の能力で気づいていたよ!」
「さすが師匠!!」
2分40秒経過。残り20秒、ユーアはすぐにメモリカセットを再び入れ替えすぐにホイールを回した。
3!2!1!ヒーローアップ!You are HERO!!!!
ピンク色のアーマーを装着したと同時に両脚に力を溜め走り出し天井ギリギリの高さまで飛ぶ。すぐにキックの体制で如月に向かって勢いよく降下する。
「ハァァァァアア!!!」
「師匠!!」
ピピピ!ピピピ!
バッ!
アカネの近くにあったタイマーが鳴り出した。如月はユーアが自分の身体に当たる寸前で両腕を使いユーアの両脚をバッ!と掴んだ。
「惜しかったね、でも....ここからは私の時間だ。」
「え!嘘!」
「おりゃぁぁぁぁあぁ!!!!」
ユーアの両脚を掴んだまま砲丸投げのようにグルグルと回り始める。
「わ!わぁぁあ!!目が回るー!」
「いっけぇぇぇえぇぇぇ!!!」
ドガァァァァァアアン!!!!!!
如月はユーアを壁の方へ勢いよく軽々と投げ飛ばした。ユーアは壁に打ち付けられてしまう。
「いてて......ってあ!」
右脚と左腕が身体への衝撃を感知し緑色から赤色の色が変わってしまった。
「これでライフ2、お前さっき私に本気で攻撃しようとしたよな?」
「すっすみません!!!つい勢いで!!」
ユーアはすぐに頭を下げた。何かが変、口調が少し変わっている。如月はニコッと笑ってこう言った。
「いいよ別に、私もこれから同じくらいでやるから。」
「え、」
「さっきまでは新人相手だから甘くやってたけど....ここからは隊長と隊員のタイマン稽古だぜ。」
如月の表情はこのゲームが始まる前に見せたあの鋭い目つきになっていた。
「やっちゃえ師匠!」
「今から私の力、見せてやるよ。」
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