雨姫様と晴れ王子様

文麗

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雨姫様2

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雨姫様は、嫁ぐことに不安を感じるとともに嬉しく思っていました。
相手は、自分を大切にしてくれないかも知れないからです。
だって、会ったこともないからです。嫁ぐのはもう明日。
といっても、遠いので実際に着くのは
出発してから一週間後のことです。
雨姫様は侍女のメアリーにずっと話し掛けていました。
「メアリー、どうしましょう。もう明日だわ。」
「大丈夫ですよ。きっとうまくいきます。」
雨姫様は小さい頃からずっと一緒のメアリーの
「きっとうまくいきます。」という言葉に、
いつも安心するのでした。
コンコンコン
その時、雨姫様の部屋の扉がノックされました。
「どうぞ」
ガチャ、パタン
「お姉様!こんな夜分にどうなさいました?」
やって来たのはあまり関わりの無いお姉さんでした。
「明日出発するのでしょう?」
「はい、お姉様。」
「…これをあげるわ。」
少しの沈黙の後、差し出されたのは綺麗な青空色の髪飾りでした。
青空色は、お父さんやお母さん、そしてお姉さんの瞳と同じ色です。
雨姫様の目は水色の雨の色です。
遠い昔に豪雨国から嫁いで来たお祖母さんと同じ色だそうです。
青空色は、雨姫様の憧れの色でした。
「どうしてこれを下さるのですか?」
「貴女とはあまり関わることが出来なかったけれど、
 妹だもの。嫁ぐ妹への祝福のプレゼントよ。」
「ありがとうございます、お姉様。」
雨姫様は、髪飾りを大切に抱き締めました。
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