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第293話 ヒースロー空港

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8月11日の朝、愛翔はロンドン・ヒースロー空港の送迎エリアのソファに座って紙コップに入った世界最大級のコーヒーチェーン店のコーヒーを飲んでいた。時計を見ては立ちあがり到着便の表示を見に行き、また座ってコーヒーをすするという行動を繰り返している。傍から見ればかなりソワソワしている様子が分かる。そこにアナウンスが入った。
『……航空東京発JAD074便はまもなく第3ターミナルに到着いたします……』
それを聞いた途端に愛翔はバッっと立ち上がりコーヒーを飲み干し空になった紙コップをゴミ箱に投げ入れるとゲートに向かう。
ゲートの前で愛翔は奥を覗き込みながらソワソワと人待ち顔で立っている。周囲の旅行客の一部が愛翔を2度見3度見していく。
後ろから人が来るため通り過ぎていくが同行者同士で話をしているのが聞こえてくる。
「な、なああれ、住吉愛翔じゃないか?」
「やっぱり、そうだよな」
「わ、生住吉愛翔よ。私ファンなのサインもらえないかしら」
「でも、なんでこんなとこにいるんだ?」
「ここにいるって事は誰かを迎えにきてるんでしょ」
「あ、ひょっとして、あの噂の彼女?」
ひそひそと小声で話しているつもりなのだろうけれど、興奮しているからだろう、割と大き目の声で愛翔にも聞こえている。そうは言っても悪意を持って突撃してくる風もないため愛翔は聞こえないフリをしている。それよりもとゲートの奥に視線を送り目的の人物が現れるのを今か今かと待ち構えていた。そして愛翔の表情が輝いた。
「あいとー」
「愛翔」
「桜、楓」
名を呼び合う3人。そして桜と楓が愛翔に飛びついた。
「会いたかったよ」
「あたしも愛翔に会いたかった」
「私も、こうして愛翔と触れ合いたかった」
3人が抱き合い、キスを交わす。そして
「う、うん」
後ろで咳払いが聞こえた。ハッとして振りむく3人の前に
「お取込み中のところ申し訳ないけど。わたしもいるからね」
少しいじけた丘が立っていた。
「え、姉さん。なんでここにいるの?」
「「お義姉さんごめんなさい。愛翔に会えたのが嬉しくて、つい」」
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