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第286話 新たな誘い

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「ね、愛翔。どうするの?私もミケルさんと同意見で、あの場で断るかと思ったのだけど」
楓が首をコテンと傾げて愛翔にたずねた。
「ああ、うん。まあ多分そろそろかな」
愛翔がなんとなくごまかすようにつぶやいた。その時
「ああ、君。ミスターアイト・スミヨシ」
愛翔に後ろから声が掛かった。愛翔が振り向いた先には、ライトグレーのブリティッシュスーツを着こなした40代と思われる男性が立っている。
「俺の事を呼びましたか?えーと、どちら様?」
「おっと、これは失礼。私、プレミアリーグ、ロンドン・ステイビレッジFCのスカウトでカール・グリフィン・バーンフィールドと申します」
言いながらカードを愛翔に手渡す。
「アイト・スミヨシです。よろしくミスターバーンフィールド。カフェでは後ろの席に座っていましたよね。ロンドン・ステイビレッジFCと言えば、現在プレミアリーグ4位のクラブですね」
「気づかれていたとはお恥ずかしい。そして当クラブをご存知でしたか。ここ数年上位に食い込めるようになってきているのですが、あと一歩で優勝争いにまで加われずにいて、悔しい思いをしています」
一旦言葉を切り、愛翔の目を見て”そこで”と言葉を続けるカール・グリフィン・バーンフィールド。
「ミスタースミヨシに当クラブに来ていただきたいと思い、声を掛けさせていただきました」
”ローマ・ソチエタには加入されないようですしね”と真顔で続ける。
「しかし、ミスターバーンフィールド。なぜあなたが俺を?」
「ミスタースミヨシ。この3週間あなたがどこで何をしていたか。そしてあそこは別に非公開というわけではありませんでしたからね。私は堂々とそのプレイを見させていただき、本部に報告を入れさせてもらったと、そう言うことです。ぜひ一度お話をさせていただけたらと思います」
「俺を評価していただいてありがとうございます。ただ、大変申し訳ないですが現時点ではミスターバーンフィールド、あなたが本当にロンドン・ステイビレッジFCのスカウトだということも確認できていません。少し時間をください」
「おお、サッカーでは積極果敢、そして実生活では慎重。すばらしい。ならばロンドンにある本部に問い合わせをして確認をしてください。そうですね1週間後には条件などを出しておくようにしますので、その頃に。いいお返事をいただけるのを楽しみにしていますよ。では今日はご挨拶だけということで、これで失礼します」
言いたいことを言うとカール・グリフィン・バーンフィールドは愛翔たちに背を向けて去っていった。
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