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第255話 方針

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「で、まずは盗撮犯なんだけど。心当たりはあるの?」
長嶺が口火を切って話し出す。けれど、そこで愛翔がちょっと待てと口を挟んだ。
「俺たちの事を想ってくれるのは嬉しいけど、先に昼飯にしようぜ」
ハッと気づき、思い思いに持ち寄った弁当を開く。
そして集まったメンバー達は愛翔たち3人の弁当を見て羨まし気にため息をつく。
「今も3人で交代でお弁当作ってるの?」
その中の1人、表が羨ましそうに聞いた。
「うん?今はあたしと楓2人で交代でつくってる。今日のはあたしが作ったの」
桜が嬉しそうに返事をする。
「俺も作るっていってるんだけどな」
愛翔がちょっと申し訳なさそうに続けば
「そこは女の子が好きな男の子に手作りのお弁当を食べて欲しいって気持ちを汲み取ってあげて欲しいな。部活も引退して受験勉強も順調となればなおさらね。住吉君はサッカー頑張ってるけど、受験勉強もやってるんでしょ」
長嶺が愛翔に笑顔で告げた。
「ん、いつも美味いメシ作ってくれて感謝してる」
そこで、ふっと長嶺が気付いた。
「いつも?しかもお弁当じゃなくてご飯?そしてあの雑誌の盗撮?」
愛翔たち3人に目を向け、左手で顎を擦る。そして
「住吉君。今日の朝ごはんは誰が作ったの?」
”ん?何を言っているんだ?”そんな顔で
「桜が作ってくれたよ」
「んじゃ、昨日の晩御飯は?」
「楓が……って何を考えてる?」
「うんうん、あとひとつ。最近朝御飯や晩御飯は誰と食べてる?」
愛翔だけでなく桜と楓が首を傾げる。
「ああ、いいわ察したから」


「で、盗撮犯に心当たりは?」
メンバーが食事を済ませそれぞれが落ち着いたところで長嶺が再度切り出した。
「まあ、順当に考えれば山本が怪しいってなるんだが……」
「山本?」
「例のハロウィンパーティーの盗撮犯」
「ああ、あの時の……」
「でもなあ。山本じゃない気がするんだ」
「その根拠は?」
「明確な根拠と言えるほどじゃないんだが、あれは今回のような事が出来る器に見えなかったからかな」
「んー、じゃあ何をどうするのかしら?住吉君のことだから何もしないってわけでは無いのでしょう」
「うん、とりあえず例の事で知り合った弁護士の先生に依頼を出した」
「依頼?」
「ああ、雑誌の回収命令を出してもらえるように裁判所にね」
「愛翔、いつのまに?」
愛翔の手際にさすがに楓が問いかけた。
「雑誌の内容を見て桜と楓に話をした後に。実施されるかどうかは分からないけど、これはとりあえずだね」
「他には?」
”桜がそれだけじゃないでしょ”聞いてきた。
「まあ、まだこれからだけど、写真を撮られたあたりの防犯カメラについて見せてもらえるように回ってみるつもりだよ。で、そこからは法的な処置かな。でも本当にこんな時期に勘弁してほしいよな」
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