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第248話 これからの事

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日曜日の夜6時30分、愛翔は黒のスーツにボウタイ、黒のベスト、黒のエナメル靴とあまり見せたことのない正装でフレンチレストラン『エールブリリヨン』の個室に居た。桜色のサテン地のノースリーブワンピースにピンクゴールドのチェーンに鮮やかな青いペンダントトップをあしらったネックレスで着飾った桜が愛翔の右腕に抱きつき、濃紺のラメ生地の半袖の足元までのロングドレスにホワイトゴールドのチェーンに深い緑色のペンダントトップのネックレスで胸元を飾った楓が愛翔の左腕に寄り添っている。
やや緊張した面持ちの愛翔に桜も楓も苦笑気味だ。
「あーいと、まだ時間あるんだから、今からそんな緊張してたらもたないわよ」
「ふふ、ピッチや学校での愛翔しか知らない人に愛翔のこんな面を見せたら驚くわね」
愛翔がこんな面を見せるのは桜と楓の前だけ。だからこそ桜も楓もそんな愛翔も愛しく、愛翔がそんな面を見せてくれることが嬉しい。だからこそ今こんな時間さえも大切にする。3人寄り添い何気ない会話で時間を過ごしていると7時になり桜と楓の両親、理沙、直樹、麗奈、慎一郎、そして楓の弟柾の5人が店員に案内されてきた。
「今日は招待ありがとう」
5人が異口同音に口にする。
「愛翔君が高級フレンチに招待してくれるとはね。随分と張り込んだね」
”それに”と愛翔たち3人の様子を見て直樹がフッと笑顔を見せた。他の親3人も何かを察しているように温かい視線を向けている。
「スポットとは言えJに参戦しましたからね。このくらいは何でもありませんよ。それに今回はそういう部分も見てもらうのも目的ですから」
”とりあえず”と愛翔は5人をテーブルに誘う。
そこに”コンコンコンコン”入口ドアをノックする音が聞こえる。
愛翔は全員の様子を見渡し返事をした。
「どうぞ」
愛翔の返事にスッとドアを開けウェイターが入ってくる。そして
「お飲み物はいかがしましょうか?」
メニューを差し出しオーダーを受ける。
「うん、こちら4人はコースに合わせてお勧めで」
大人を代表して慎一郎がオーダーを先に済ませる。
「こちら3人はノンアルコールでお勧めを」
愛翔が愛翔、桜、楓のドリンクをオーダーし、
「柾はどうする?」
「え、えと良く分からないんだけど……」
戸惑う柾の様子に
「そういう時はお勧めにするのがいいよ」
愛翔が優しい目で柾に勧める。
「じゃ、じゃあ僕もノンアルコールでお勧めでお願いします」
ウェイターが下がるとホストとして愛翔が会話を切り出す。
「今日は、来ていただいてありがとうございます。俺のJデビューの成功とこれからの事へのことを含めて席を設けさせてもらいました。とりあえずは料理を楽しんでください。ここのディナーは結構評判良いんですよ」
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