上 下
236 / 314

第236話 式

しおりを挟む
「うわぁ、素敵」
桜と楓が着替えて出て来たのに気づき新本が見惚れている。
「住吉君、これは思い切ったね」
加藤もやや呆然としながらも2人から目が離せなくなっている。
「桜、楓。素敵だよ」
愛翔が声を掛け、近寄りエスコートのため手を伸ばした。
いつものように桜と楓が愛翔の両腕に抱きつきハロウィンパーティー会場に向かって歩き始めた。その後ろを羨ましそうに加藤と新本がついていく。

ハロウィンパーティーの会場の入り口に近づくと女子バスケットボール部の部員たちがドアを開けて両側に並んだ。そして3人が会場入りをした時
”タタタターン、タタタターン、タタタタン、タタタタン……”メンデルスゾーンの結婚行進曲が軽音楽部の演奏により流れはじめた。
これには愛翔も驚きを隠せず桜と楓に交互に視線をむけ、その幸せそうな表情に”まあ良いか”と前を向いた。その愛翔の右腕には純白のマーメイドラインのドレスに高く結い上げた髪に薔薇の花をモチーフにしたカチューシャティアラをつけた楓が、左腕にはプリンセスラインの純白のドレスを纏い、ショートカットの髪にセンターにグリーンの宝石をあしらったプリンセスティアラをつけた桜がそれぞれ寄り添い表情を蕩けさせている。
そのまま3人は女子バスケットボール部の部員が作ったバージンロードを歩き、神父のコスチュームを身に着けた末成の前で止まった。
「住吉愛翔、あなたは華押桜、橘楓を妻とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」
「はい、誓います」
「華押桜、あなたは住吉愛翔を夫とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」
「はい、誓います」
「橘楓、あなたは住吉愛翔を夫とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」
「はい、誓います」
「それでは誓いの口づけを」
愛翔は、まず桜と口づけを交わし、
「桜愛してる」
「愛翔、あたしも愛翔を愛してます」
次いで楓と口づけを交わした。
「楓、愛してるよ」
「愛翔、私も愛翔を愛しています」
桜と、楓は幸せそうに顔を蕩けさせている。
「父と子と精霊の聖名において住吉愛翔、華押桜、橘楓が夫婦となったことを認める。神が結び付けたものを人が離してはいけない。彼らの愛が永遠なることをここに宣言する」
会場から拍手が起きた。それは最初は女子バスケットボール部、軽音楽部から始まり、そして徐々に広がり会場中からの大きな拍手となった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。

ねんごろ
恋愛
 主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。  その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……  毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。 ※他サイトで連載していた作品です

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

夫の幼馴染が毎晩のように遊びにくる

ヘロディア
恋愛
数年前、主人公は結婚した。夫とは大学時代から知り合いで、五年ほど付き合った後に結婚を決めた。 正直結構ラブラブな方だと思っている。喧嘩の一つや二つはあるけれど、仲直りも早いし、お互いの嫌なところも受け入れられるくらいには愛しているつもりだ。 そう、あの女が私の前に立ちはだかるまでは…

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

お兄ちゃんはお医者さん!?

すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。 如月 陽菜(きさらぎ ひな) 病院が苦手。 如月 陽菜の主治医。25歳。 高橋 翔平(たかはし しょうへい) 内科医の医師。 ※このお話に出てくるものは 現実とは何の関係もございません。 ※治療法、病名など ほぼ知識なしで書かせて頂きました。 お楽しみください♪♪

処理中です...