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第197話 女子バスケットボール部のIH②

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大会2日目いよいよ光野高校女子バスケットボール部が1回戦にのぞむ。
「さあ、ちーちゃん気合をいれてね」
桜の呼びかけに末成がチームメンバーを呼び円陣をくむ。
「うん、みんな全国大会なんて今でも夢みたいだけど、せっかくの夢だったらインターハイ初戦楽しんで勝とう」
「はい!!」
一斉にコートに向かう。その表情は少しの緊張と不安を気合で封じ込めた良い顔をしていた。
対戦相手も初出場の初出場どうしの対戦。お互いやや硬さの見える立ち上がり、桜が走った。
「ちーちゃん、こっち」
パスを要求しドリブルで切り込む。相手のディフェンスをスルスルと抜き去りあっという間にレイアップシュートを決めた。
「しゃー!!」
そして両手を上げチームメンバーに声を掛ける。
「Give me five!!」
「イエイ!!」
ハイタッチを交わし喜びを表す。そして
「さあ、ディフェンス1本」
早々に右手人差し指を差し上げ次に向かう。桜は普段のおとなしめで、やや人見知りが嘘のような快活で積極的・攻撃的なプレイを見せる。不用意なパスは飛びつきカット、光野の得点後にドリブルで無防備にあがる相手からするりとスティール。ゴール下を固めてくればスリーポイントを決め、それをガードしてくる相手にはフェイドアウェイでシュートをしながらバスケットカウントを狙う。

そんな桜の活躍にチームメンバーも生き生きとコートを走り回る。声が出る、パスを回す、ゴール下で存在感を示しリバウンドを奪う。

女子のゲームなため、派手なダンクシュートこそないけれど、ダブルクラッチ、レイバック、ベビーフック基本となるシュートテクニックを正確に決める。
ボールを運ぶドリブルもフロントターン、ロールターン、レッグスルー様々なテクニックを惜しげもなく使い相手を抜き去る。

さらに味方がフリーとなれば鋭いパスでチャンスを演出する。それは1年時からただ一人全国クラスの実力を持ちチームを引っ張ってきた桜の姿。

そして今となっては桜に引き揚げられた光野高校女子バスケットボール部員は全国大会出場に恥ずかしくない実力を持っている。先取点から桜のゲームメイクに最初見られた僅かな硬さも取れグイグイと相手を圧倒する。ファーストクォーター終了17対7、セカンドクォーター終了42対16、既に相手チームの戦意はくじけ選手たちは下を向いている。それでもバスケットボールのルールはファイナルクォーターまでのプレイを求める。コールドゲームも逆転満塁ホームランもない淡々と進んだ試合は
「97対26。光野高校の勝ち」
「ありがとうございました」
お互いに礼をしそれぞれのサイドに分かれる。喜びに沸く光野高校サイドとうなだれる相手チーム。明暗が分かれていた。それでも桜が釘をさす。
「今のゲーム。結果的には大差で勝ったけど、最初に畳み込んで相手の戦意をくじいて勢いで押し切っただけだからね。油断したら逆だってあったんだから。緩めちゃだめだからね」
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