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第186話 3人の問題だ

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月曜日の朝、いつもの登校風景。愛翔の両腕にぶら下がるように抱きつている桜と楓。そしてある交差点、先月までは丘と合流していたそこに別人が立っていた。
「た、橘先輩、なんでそんなことを」
呆然と立ち尽くす吉澤だった。
「そんなこと?」
楓は意味が分からないとばかりに返す。
「そうです。そんな男の腕に抱きついて。橘先輩はそんなひとじゃなかった」
「それは吉澤君が知らなかっただけよ。私は昔から愛翔にこうしてたわ。吉澤君は愛翔のいなかった私の中学2年と3年しか知らないからそう思うだけ」
ぐっっと言葉につまりながら、吉澤は今度は愛翔をターゲットにする。
「そ、それにあなたも不誠実だ。住吉先輩。そんなふうに女性を2人も侍らせるなんて」
クスリと笑った愛翔の返事は
「それは俺たち3人の問題だね。吉澤君と言ったか。君には全く関係の無い俺たちのプライベートな問題だな。どんな権利があってそんな口出しをしようとするんだ」
愛翔の言葉に一旦口ごもったものの吉澤が反論しようとする。
「世間一般では二股は不誠実なのはあたりまえじゃないですか」
「世間一般ね。愛の形は人それぞれだよ。たとえ不誠実と言われようと俺は桜も楓も愛している。そしてこれはあくまでも俺たち3人の問題だ。君には関係ないね」
愛翔が言いきるけれど、
「か、関係ある。関係あるぞ。ぼ、僕は橘先輩の事が好きだ。だから関係ある」
真っ赤になって言い切った吉澤だった。それでも
「うん、吉澤君が、私の事を好きなのはわかっていた。でもごめんね。私は愛翔が好き。愛翔を愛してる。愛翔じゃないとだめなの。だから吉澤君とは先輩後輩以上の関係にはなれない」
そう言うと楓は愛翔と目を合わせ、そして唇を合わせた。
「な……」
絶句する吉澤の前で愛翔はさらに桜とも口づけを交わした。
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