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第130話 16歳

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今日も放課後、愛翔たち3人は学校の図書室の自習室で試験範囲の見直しをしていた。
「今日も、3人揃って試験勉強?」
今日も丘が声を掛けてきた。愛翔はチラリと周りを見回し、丘に向き合う。
「ええ、普段からやっているのでそれほど問題点はありませんけど、念のためですね」
それを聞いて丘は嬉しそうに微笑み。
「うん、やっぱりあなた達は良いわね」
「それで、丘先輩も試験勉強ですか?」
「まあね、あなた達と同じで問題点はあまりないけれど、これは自分のためだからね」
そこまで言ったところで、丘は話題を変えてきた。
「そういえばクラブの方は、試験期間中もやってるんですって?」
「そうですね。基本的に学校のスケジュールは関係ないので。まあ試験期間は休む人もいますが」
「愛翔君は?」
「俺は試験期間もいつも通りの練習をしてます。俺にとっては学校もサッカーも同じように大切なので」
「そっか、頑張って」
「はい、ありがとうございます」
そして丘は自分のスクールバッグに手を入れリボンのついた袋を取り出した。
「それからこれ」
袋を愛翔に差し出し。
「この前お祝いの席では突然だったので持って行けなかったから。最終選抜に残ったお祝いのプレゼント。大したものじゃないけれど」
「ありがとうございます。開けても良いですか」
素直に愛翔が受け取ると丘もホッとしたような笑顔を見せる。
「ええ、気に入ってもらえるといいのだけれど」
丘の返事を聞き、愛翔は丁寧に袋を開ける。
「これは、タオル。それも結構良い奴じゃないですか」
「どうかしら。前に見た時に使っていたのと同じメーカーだからスポンサードとかも大丈夫かなって選んだのだけど」
「そこまで考えてもらってありがとうございます。今のところこのメーカー関連でシューズとトレーニングウェアの供給を受けているだけですが、それでも同じメーカーなのはイメージ的に助かります」
今のところシューズとトレーニングウェア以外では縛られてはいないものの、やはりできる限りスポンサードメーカーの物や関連企業のものを使う方がイメージ的にも良いのは確かなため愛翔も丘の心配りに感謝しかない。
「よかった、使ってもらえると嬉しいな」
「はい、大切に使わせてもらいますね」

「じゃあ、俺はクラブ行くから」
「はーい、頑張ってね」
「じゃあ、また後でね」
愛翔は桜と楓を家まで送り、一旦家に戻り荷物を取り換えステラスポーツセンターに向かう。
ステラスポーツセンターの最寄駅で電車から降りた愛翔は、そのままクラブに向かわず、隣接したショッピングモールに足を向けた。
「じゃぁ、お店が閉まるまでに受け取りに来ますのでお願いします」
買い物と注文を済ませ、ようやく愛翔はクラブに急ぐ。
「やべ、思ったより時間掛ったな」
愛翔はモールを出ると軽い足取りで走り出す。愛翔の足ならば軽く走れば十分に間に合うだろう。

「おう、住吉。今日は珍しくギリギリに来たけどなにかあったのか?」
練習後、中間テスト期間でもクラブに顔を出している時枝が愛翔に声を掛けてきた。
「いや、ちょっと駅そばのモールで用事があってな。でも遅刻はしてないぞ」
「わかってる、ただ珍しいなと思っただけだ。で、何を買ったんだ?テスト期間に慌てて買わないといけないものって」
「大したものじゃないよ。スペアキーと財布をね」
少し考えるようなそぶりのあと時枝は気付いたように続けた。
「女か。同棲でもはじめるつもりか?」
「そんなわけないだろう。なんでそこに飛ぶ?」
「そりゃ、住吉は随分と親密な関係の女がいるように見えたからな。そこにスペアキーってなれば決まってるだろう」
「そこの飛躍が分からんのだけど」
「なんだ。前に住吉と一緒にいるところを見かけたけど随分と可愛い彼女だったじゃないか。何か不満でもあるのか?」
愛翔は溜息をつき呆れたように返した。
「不満とかじゃなく、俺がまだ16歳だって忘れてないか?」
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