上 下
90 / 314

第90話 一方的にみていた

しおりを挟む
「あいとー。おまたせー」
ぽすんと愛翔の右腕に抱きつく栗色の髪の少女。
「大丈夫だ桜。俺の予定が早まっただけだからな。楓も今来たところだし」
そう言いながらやさしく桜を撫でる愛翔。その流れのままにいつものように頬にキスを交わす。
「あー、橘さんとキスをしていたのを見ていて今更なんだけど、人前で平気なんだ」
周りの黄色い悲鳴をBGMに疑問を口にする丘。愛翔の影からキョトンとした顔で丘を見る桜。
「えと、どなた?」
「あ、ごめんなさい。わたし丘ゆう子2年C組。よろしくね。サッカー部での住吉君の扱いが酷かったって話をしてたの」
「華押桜です。えと丘先輩、初対面ですよね」
やや人見知りを発揮しつつ尋ねる桜。
「そ、そうね。わたしが一方的に見ていただけだから、華押さんからしたら初対面でしょうね。でも、わたしは、ずっとあなた達を見てきたわ。正直言うと本当は最初は住吉君への興味だった。15歳でプロとしてはそんなにレベル高くないとは言っても本物のプロのMLSにスポットとは言え招聘された住吉君が身近に来たんだもの。でも住吉君が帰国して最初の悲しそうだった華押さんを見て、グループから抜けたばかりだったのに住吉君と再会してとても幸せそうな橘さんを見て、サッカー部のイケメン剣崎君と決別して住吉君の隣に並んで笑うようになった華押さんも見てきたわ。そしてそんなあなた達2人に寄り添う住吉君もね。いいなぁって思ったの。素敵だなって。そしたらあの事件でしょ。住吉君がSNSやマスコミまで巻き込んで解決して。凄いなぁって思った。そのあとふっと思ったの。あれって失敗したら住吉君の今までを全部吹っ飛ばしかねないんじゃないかって。そして一緒にいるあなた達3人を見てたら、住吉君への興味があなた達3人への興味に変わってたのよね」
ふふふと笑う丘に3人は苦笑するばかり。
「って、こんな一方的にベラベラしゃべってもわけわかんないわよね」
そんな丘の態度に愛翔が最初に我に返った。
「よくわかりませんが、丘先輩は俺たち3人に興味があって、ここに突撃してきたわけですか?」
愛翔の言葉に丘はいたずらっ子の顔でウィンクをひとつ飛ばし
「まあそんなとこね。仲間に入れてもらえたら嬉しいわ」
愛翔は桜と楓の顔を順番に見回しそれぞれが頷いたのを見て。
「まぁ別に他人を排除する意図はなので。悪意や変な下心は無さそうですし別に構いませんよ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

どうして隣の家で僕の妻が喘いでいるんですか?

ヘロディア
恋愛
壁が薄いマンションに住んでいる主人公と妻。彼らは新婚で、ヤりたいこともできない状態にあった。 しかし、隣の家から喘ぎ声が聞こえてきて、自分たちが我慢せずともよいのではと思い始め、実行に移そうとする。 しかし、何故か隣の家からは妻の喘ぎ声が聞こえてきて…

処理中です...