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第81話 一緒が良い
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「まさか、あそこでバイシクルとは思わなかったぞ」
ゲーム後のミーティングルームで守護神若山が愛翔の背中をバンバンと叩きながら大笑いをしている。
「だって、あそこでトラップして振り向いてなんてやってたらシュートチャンス自体潰されるでしょう?」
「それにしてもあそこしかないってとこによく打てたな」
愛翔は目をそらしながら気まずそうに答えた。
「あぁ、あれは流石にまぐれです。そもそも俺、バイシクルでのミート率70パーセントくらいですから、コースなんか狙ってられないです」
ゲームは結局10対1でJ1チームの勝利だったけれど、チームの雰囲気は明るい。そしてU18監督織部岳(おりべたけし)が評をくだした。
「時枝と住吉以外のU18メンバーはスタミナが足りなすぎる。今日のゲームは通常のゲームのハーフだからな。いくらJ1チーム相手とはいえハーフで潰れてちゃどうにもならんぞ」
「うへぇ」
「へーい」
「だいたい、最後までもった住吉にしてもMLSではフルゲーム走り切れなかったんだろう」
話を振られた愛翔が
「え、ええ。最初はマークもつかずに自由に動けたので楽だったんですが、マークがついてからはきつくて、ゲームの最後はまともに走れませんでしたね」
「わかったか。今日のゲームで最後までもった住吉でさえプロのゲームではスタミナ不足なんだ。プロを目指す以上スタミナ向上は必須だからな。それぞれトレーナーにメニューを作ってもらうように。今日は以上だ。解散」
シャワーを浴び着替えた愛翔がロビーに足を踏み入れるとスポーツ誌や地元テレビ局など5社のマスコミに囲まれた。
「住吉さん、ステラスターFC加入後初練習でしたね。しかもJ1チームとのハーフゲーム。いかがでしたか?」
「さすがはJ1チームでした。フィジカルもテクニックも素晴らしく勉強になりました。それにスタミナ的にもハーフゲームでなければ最後までもちませんね。何もかもが大きく違う世界を見せていただきました。これからずっとこれを身近に感じられる。素晴らしい環境を与えられ感謝の言葉もありません」
「それでも最後シュートを決められましたね。少しは手ごたえあったんじゃないですか?」
「あはは、あれは奇襲攻撃みたいなものですから。実力とはまた別です」
「ありがとうございます。最後に写真をお願いします」
パシャパシャとフラッシュが光りにこやかに写真を撮らせる愛翔。
「それではありがとうございました。ご活躍を楽しみにしています」
マスコミが去ると、さっそく桜と楓が飛びついてきた。
「凄いねぇ。もう愛翔もスターの一員じゃないの」
桜がニコニコと笑顔で声を掛ける。
「いや、まだ物珍しいからだよ。きちんと実力をつけていかないと、簡単にそっぽ向かれるよ」
「でも、今日の試合、愛翔とあの最後に愛翔にパスを出した人。2人は頭一つ抜けてる感じあったよ。初参加としては充分じゃないの?」
楓も嬉しそうだ。
「まぁ現時点ではね。でも最終的にJ1チームにってなるとまだまだ課題は多いよ。ってところでふたりとも部活の日じゃなかったのか?」
「そんなの、愛翔の初練習だからって言って休ませてもらっちゃったわよ」
「あたしも楓と一緒」
「えぇ。そんなんで休ませてもらえるのか?」
「ほら、あたし達付き合ってるって噂流れてるじゃない。それで”彼の初練習なら仕方ないね”って感じ」
愛翔はため息をひとつ。そして
「ま、いいか。じゃぁ一緒に帰ろう」
いつものように桜が右腕に楓が左腕に抱きつき。
「やっぱり愛翔が一緒が良い」
ゲーム後のミーティングルームで守護神若山が愛翔の背中をバンバンと叩きながら大笑いをしている。
「だって、あそこでトラップして振り向いてなんてやってたらシュートチャンス自体潰されるでしょう?」
「それにしてもあそこしかないってとこによく打てたな」
愛翔は目をそらしながら気まずそうに答えた。
「あぁ、あれは流石にまぐれです。そもそも俺、バイシクルでのミート率70パーセントくらいですから、コースなんか狙ってられないです」
ゲームは結局10対1でJ1チームの勝利だったけれど、チームの雰囲気は明るい。そしてU18監督織部岳(おりべたけし)が評をくだした。
「時枝と住吉以外のU18メンバーはスタミナが足りなすぎる。今日のゲームは通常のゲームのハーフだからな。いくらJ1チーム相手とはいえハーフで潰れてちゃどうにもならんぞ」
「うへぇ」
「へーい」
「だいたい、最後までもった住吉にしてもMLSではフルゲーム走り切れなかったんだろう」
話を振られた愛翔が
「え、ええ。最初はマークもつかずに自由に動けたので楽だったんですが、マークがついてからはきつくて、ゲームの最後はまともに走れませんでしたね」
「わかったか。今日のゲームで最後までもった住吉でさえプロのゲームではスタミナ不足なんだ。プロを目指す以上スタミナ向上は必須だからな。それぞれトレーナーにメニューを作ってもらうように。今日は以上だ。解散」
シャワーを浴び着替えた愛翔がロビーに足を踏み入れるとスポーツ誌や地元テレビ局など5社のマスコミに囲まれた。
「住吉さん、ステラスターFC加入後初練習でしたね。しかもJ1チームとのハーフゲーム。いかがでしたか?」
「さすがはJ1チームでした。フィジカルもテクニックも素晴らしく勉強になりました。それにスタミナ的にもハーフゲームでなければ最後までもちませんね。何もかもが大きく違う世界を見せていただきました。これからずっとこれを身近に感じられる。素晴らしい環境を与えられ感謝の言葉もありません」
「それでも最後シュートを決められましたね。少しは手ごたえあったんじゃないですか?」
「あはは、あれは奇襲攻撃みたいなものですから。実力とはまた別です」
「ありがとうございます。最後に写真をお願いします」
パシャパシャとフラッシュが光りにこやかに写真を撮らせる愛翔。
「それではありがとうございました。ご活躍を楽しみにしています」
マスコミが去ると、さっそく桜と楓が飛びついてきた。
「凄いねぇ。もう愛翔もスターの一員じゃないの」
桜がニコニコと笑顔で声を掛ける。
「いや、まだ物珍しいからだよ。きちんと実力をつけていかないと、簡単にそっぽ向かれるよ」
「でも、今日の試合、愛翔とあの最後に愛翔にパスを出した人。2人は頭一つ抜けてる感じあったよ。初参加としては充分じゃないの?」
楓も嬉しそうだ。
「まぁ現時点ではね。でも最終的にJ1チームにってなるとまだまだ課題は多いよ。ってところでふたりとも部活の日じゃなかったのか?」
「そんなの、愛翔の初練習だからって言って休ませてもらっちゃったわよ」
「あたしも楓と一緒」
「えぇ。そんなんで休ませてもらえるのか?」
「ほら、あたし達付き合ってるって噂流れてるじゃない。それで”彼の初練習なら仕方ないね”って感じ」
愛翔はため息をひとつ。そして
「ま、いいか。じゃぁ一緒に帰ろう」
いつものように桜が右腕に楓が左腕に抱きつき。
「やっぱり愛翔が一緒が良い」
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