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第79話 一緒に

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 「住吉君おはよう。噂で聞いたんだけど、天使様と女神様の2人と付き合っているって本当?」
愛翔たち3人が登校すると愛翔のファンを公言する加藤健治が声を掛けてきた。
「おはよう加藤君。は?どうしてそんな噂が……。まぁいいよ。ほっといて。桜や楓となら別に噂になろうが平気だから」
愛翔の答えに加藤は戸惑う。そんな加藤の様子に桜と楓は愛翔の腕に抱きつきながらクスクスと笑い。
「あれじゃない。昨日愛翔があたし達の事を大切な人って言ってくれたから」
「急に噂になるとすればそれくらいしかないわね。でも私は良いわよ。相手が愛翔なら。それになんなら噂を本当にしたっていいわよ」
「あ、あたしだって愛翔とだったら噂になっても平気だし。本当に付き合ってくれるならむしろ嬉しいし」
桜も楓も噂については気にしない。むしろ肯定してしまいたいようだ。
加藤は更に愛翔に聞いてきた。
「なるほど付き合っているって噂は今のところは噂でしかないんだね。それとね、住吉君、いつの間にか守護神って呼ばれてるんだけど、サッカーで守護神って普通ゴールキーパーの事だよね?住吉君は基本的にフォワードだよね。ゴールキーパーに転向する予定でもあるの?」
さすがにこれには3人とも首をひねる。
「ま、呼び名なんてどうでもいいよ。俺は俺で、何かが変わるわけじゃないから」
流れた噂は……
”守護神住吉愛翔は天使様華押桜と女神様橘楓ふたりと堂々と二股している”
”天使様や女神様に悪意を向けると守護神に地獄に落とされる”


教室に入るとさっそくクラスメートが寄ってくる。
「住吉君、おはよう。いくら幼馴染同士とは言っても羨ましいよ」
「ああ、おはよう。悪いな昔からだから自然にこうなるんだよ」
「華押さん、おはよう。その距離感でお付き合いしていない……のよね」
「ええ、おはよう。そうね、残念ながら付き合ってはいないわ」
「橘さん、おはよう。いつも通り3人ぴったりで羨ましいわ」
「ふふ、おはよう。やっと昔通りになれて嬉しいのよね」
「あ、でもこれからは一緒に帰れない日が多くなるな」
「え、どうして?」
桜が寂しそうに聞くと
「いや、俺はクラブの練習に参加するから、放課後はそっちに行くからさ」
「毎日なの?」
「一応毎月曜は休みで長期休暇も休みみたいだ。あと不定期に休みがあるらしい。だから月曜日は待ってるから一緒に帰ろう」
「じゃ、じゃぁバスケ部が休みの時は一緒に帰れるよね」
「私も軽音部が休みの時は一緒に帰りたいな」
桜も楓も愛翔と一緒の時間を出来るだけ増やしたいと一生懸命だ。
「おう、それは俺も嬉しい」
「あ、クラブの練習って見学できない?」
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